2022年5月24日火曜日

陶芸展『卓』初日

 



















5月24日(火)より29日(日)まで、
神奈川県民ホールギャラリーにて、
陶芸展『卓』が始まった。

今日は初日だったので、
午前中に搬入と展示が行われ、
会員は朝9時に会場に集合した。

まずは二派に分かれ、
展示用テーブル21台をくみ上げる組と、
展示室のレイアウト・セッティング組とで、
手際よく作業が進められた。

11時半ごろには
各自のテーブルへのセッティングも終わり、
照明係がスポットライトを当て、
計26名の作品がすべて出揃った。

『卓』の展示会は2年おきだが、
昨年秋の予定がコロナで延期になったので、
2年半ぶりとなり、
その間に辞めた会員や新しい会員がいて、
作品の傾向もずいぶん違ってきた。

リタイア組のおじさんがごそっと抜け、
若い女性が増えたせいか、
イマドキのスタイリッシュな器も多く、
テーブルセッティングのセンスも上がった
気がする。

いつもは第1・3の土曜日にご一緒する
メンバーの作品しか見ていないので、
こうして他の曜日の会員の作品を見るのは
とても新鮮だ。

予定より早く展示が終わり、
1番乗りで観に来てくれるという友人との
約束にはあと1時間ほど間があったので、
外に出て、バラ園の薔薇を見に行った。

お天気はこの上ないほどの上天気。
会場から海側に出ると、
山下公園の向こうの海には氷川丸があり、
手前にはそこかしこに花が咲き乱れ、
人が大勢出て散策を楽しんでいる。

まるで絵に描いたような横浜の風景だ。

ホテル・ニューグランドの前のバラ園では
少し盛りを過ぎたとはいえ、
むせかえるほどの薔薇が咲き誇り、
初夏の日差しを浴びて輝いている。

散策の途中で友人も近くにいると分かり、
私達は合流し、
まずは大盛で美味しいと有名な
お蕎麦屋さんで腹ごしらえ。

次に肝心の陶芸展を見てもらい、
そのまた次は別腹スイーツを食べることになった。

ギャラリーの隣、神奈川県民ホールでは
今宵、JUJUのコンサートが行われると聞いていたが、
まさにJUJUのイラストがボディ一面に描かれた
トラックが裏手の出入り口に止めてあった。

JUJU当人が乗っていたわけではないだろうが、
機材やドレスなど
コンサートに必要な諸々が運び込まれたに違いない。

ついでにホテル・ニューグランドを覗いたが、
案の定、カフェはバラ散策の後に
お茶をしようとやってきた人で
溢れかえっていた。

結局、私達は元町まで歩き、
クラシックなカフェ・ラ・ミルに落ち着き、
お蕎麦で満腹だったはずのお腹に
濃厚なソフトクリームがのった珈琲フロートを
ペロリ。

こうして慌ただしくも優雅でリッチな
展覧会初日が無事に終了した。

今日、最も感じたことは
自分が「横浜に住んでいるんだな」ということ。

目に入ってきた数々の風景と
潮の香、艶やかなバラ、
きらめく海に浮かぶ大型船とベイブリッジ、
古いホテルの重厚な内装など、
それらはいつもの日常にはなかったけど、
横浜ならではの魅力に満ちていた。

そこに
住みたい街NO1の人気の秘密を見たようで、
ここにいる幸せを享受するために
もっと散策したりお茶したり
横浜を味わう時間をとろうと思った、
そんな美しい1日だった。





































2022年5月18日水曜日

フジコヘミング 命の限り

 












待ちに待った
「フジコ・ヘミングのコンサート」に
行ってきた。

場所はミューザ川崎シンフォニーホール。
席は最前列1階Ç 1列17番

席についてみれば、
50cmほどしかない低い舞台の
真ん中にグランドピアノがあり、
2,5m先にはフジコさんがいる。

ご一緒したのは先月も三浦一馬君の
コンサートに行ったご近所の友人3人。

その時もミューザ川崎だったが
席は2階の上の方で
舞台ははるか遠くに見えていた。

今回、
ふたりずつ分かれてもいいからといって
希望を出し、割り振られたチケットが
まさかこんなに最前列の凄い席だとは!

チケットが取れた時点で
みんなにはお知らせはしてあったが、
現実に見ると、あまりのピアノの近さに
思わずみんなの歓声が上がる。

こんなに近いことを記念写真にと
開演前の時間に、同行の友人が
何枚も写真を撮ってくれた。

周囲のひとりで来ているおばさま達も
自分の心の声を
私達がキャーキャー言って表してくれているので
一緒にニコニコして見ている。

そして、いよいよ会場が暗くなり…。
楽団員がぞろぞろと入場し、
最後に指揮者のマリオ・コシックの腕に
支えられて、遂にフジコ・ヘミング登場。

そこにはテレビで見ていたフジコさんが確かに
いるのだが、
腰が大きく曲がって杖をつきながら
それでもひとりでは歩けない老婆の姿があった。

黒いスパッツとスカートの上に、
白いレースに銀色の蝶々が刺繍された
ガウンをはおり、
その裾が舞台をすって
よろけながら舞台に向かうその姿に
客席の誰もが息をのんだ。

「あれが本物のフジコ・ヘミング。
あんなによぼよぼで大丈夫?」
そんな心の声が聞こえるようだ。

プログラムの1番は
ショパン ピアノ協奏曲第1番ホ短調Op.11
第2楽章 ロマンスラルゲット

フジコさんがピアノの前に座り、
指揮者がタクトを振り、
演奏が始まった。

ほどなくして
フジコさんが最初の1音の鍵盤を叩いたその時、
「まだ!」と後ろで譜面を見ていた
介添えの女性が小さく叫んだ。

会場がざわつく。
フジコヘミング、出とちったのか?!

そして、何ごともなかったかのように
1小節後に1音目の鍵盤を叩いて、
演奏はつつがなく始まったが、
「え、本当に大丈夫」と
こちらの心臓がドキドキしてきた。

目の前の老婆の手は
私の知っている太くてふっくらした
フジコヘミングの指ではなく、
皺皺になった老婆の手だ。

しかし、最初こそ間違えたかもしれないが、
その後は徐々にフジコヘミングの世界を
紡ぎ出しながら
一切、譜面も見ずに
1時間あまりのピアノを弾ききった。

2曲目は
モーツアルト ピアノ協奏曲第21番ハ長調K467
第1楽章 アレグロ
第2楽章 アンダンテ
第3楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ

ここまでがオーケストラと共に弾く曲で
この後、楽団員と指揮者は退場した。

舞台にひとり残ったフジコさんは
傍らのマイクを手に取り話し出した。
テレビで観たことのあるあのフジコさんだ。

「4~5年前に腰を痛めて、
こんな姿になってしまいました」と挨拶し、
このあと、
『トロイメライ』と
『ラ・カンパネラ』を弾いた。

舞台の照明が落とされ、
スポットに浮かび上がった白い蝶の舞う
ガウンを羽織ったフジコヘミング。

1音1音、まさに魂の音色が
広いホールの隅々にまで届いて、
胸が熱くなる。

私の席からは
フジコさんの斜め後ろ姿が見えているのだが、
グランドピアノの鍵盤の上の黒い部分、
ちょうどStainwayの文字の上あたりに
フジコさんの正面の顔が映っている。

その顔は少し寂し気で憂いを含み、
彼女にとってのピアノとは
彼女にとっての音楽とはということを
感じさせた。

まるでこのひとときのために
このコンサートがあったと思わせる
そんな美しい『ラ・カンパネラ』だった。

そうして1部が終わり、
フジコヘミングは介護用乳母車で退場し、
グランドピアノも袖に消えた。
2部はオーケストラによる交響曲だ。

東京21世紀管弦楽団と
指揮マリオ・コシック

1部とは打って変わって
のびのびと高らかに
モーツアルト 交響曲第41番「ジュピター」が
演奏された。

終演後、会場からはため息のような
ざわめきと共に、
今日のコンサートに立ち会えたことの奇跡が
口々に漏れた。

私達4人も「かに道楽」に場所を変え、
一献傾けながらも、
フジコさんへの賛辞と感動が止まらない。

いつもはひとりで演奏会に行ったり
映画を観ても全く平気な私だが、
今回ばかりはその感想を述べあうことのできる
友人と共にあの場にいられたことが嬉しかった。

きっと一生忘れられない
思い出になるに違いない。

そんなフジコヘミング
「魂のピアノ」だった。























2022年5月11日水曜日

石田泰尚スぺシャル第1夜

 










遂に「石田泰尚スペシャル」
『熱狂の夜』と題されたコンサートの
第1夜が始まった。

5月から9月まで、月に1回、
我が愛する石田様があの手この手で
いろいろな人と組んで演奏する5日間。

お供の友人は私よりはるかに
石田様フリークのSさん。

まずは私の最寄り駅で夕方、集合し、
早い夕飯をとってから会場に向かった。

コンサート会場は
ミューザ川崎シンフォニーホール。
収容人数1997名

その大ホールが9割がた埋まっている。
私と友人はこれから5回連続で
このコンサート会場に足を運び、
5回とも同じ席に座ることになる。

その席は前から2列目中央より少し左。
今日は石田様は舞台中央に立っていたので、
やや遠かったが、
他に何人かいる編成の時は
ほぼ真ん前に石田様がくるという
願ってもない好位置だ。

第1夜の今日は
「無伴奏」
つまり、石田様ひとりで2000人を相手取り、
ヴァイオリン1本で2時間半
聴衆を引っ張る真剣勝負の大舞台だ。

ゲストとしてチェロの山本裕康さんが
第2部から登場したが、
第1部は初めて聴く難解な曲をひっさげ
ひとりで戦うという感じだった。

曲目は
ハインリヒ・ビーバー 
「パッサカリア」
ゲオルグ・フィリップ・テレマン
「ヴァイオリンのための12のファンタジア」
エルネスト・ブロッホ
「無伴奏ヴァイオリンのための組曲第1番」
コダーイ・ゾルターン
「ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲」
ヨハン・セバスチャン・バッハ
「シャコンヌ 無伴奏ヴァイオリン・
パルティータ第2番より」

と、いうわけで、
私が知っていたのは
最後のパルティータだけ。

きっと途中で寝てしまうかもと
一抹の不安がよぎったが、
今日は前から2列目中央寄りのいい席なので、
気合を入れて着物で向かったからには、
それで舟を漕ぐわけにはいかない。

舞台中央にライトに浮かび上がった
石田様の横顔をただ見ているだけでは
眠くなってしまうだろう。
現に右隣のおばさまは完全に熟睡状態だ。

そういう難解な曲の時は
私は目をつぶり、
脳内に映像を浮かべることにしている。

いい演奏には必ずその曲から想起する
映像が浮かび上がってくるのだ。

ヴァイオリンのための12のファンタジアでは
16~17世紀のオーストリアあたりの
古いお城に住んでいる女性が見えてきた。
優雅で壮大な曲調で、
制服を着た軍人の男性に思いを馳せている。
ついさっき別れてしまい当分戻らない様子。

その次の無伴奏ヴァイオリンのための組曲も
ドイツあたりの風景と
窓辺にゆれるゴブラン織りのカーテンの下
物思いにふける女性の後ろ姿が見えた。

もう、
ほとんど妄想の世界。

しかし、ヴァイオリンとチェロの二重奏曲では
急に全くちがう曲調になり、
最初は中国かと思ったが、
しだいにモンゴルだと確信する風景が広がり、
チェロは馬頭琴の調べにしか聞こえてこない。

石田様は2本のヴァイオリンを所有しており、
私たちが本妻と呼んでいるのは
1690年製 G.Tononi
愛人と呼んでいるのは
1726年製 M.Goffriller

今日の演奏ではまず1曲目は愛人を使用。
愛人は艶やかで広がりのある音色なので、
まずは謳わせようという時に登場する。
ヴァイオリン自体の色もやや赤紫を帯びて
艶々していて、赤いダイヤが2か所に
はめ込まれている。

しかし、ニュアンスのある複雑な曲では
必ず本妻を使う。
Tononiは
落ち着いていて思慮深い音色なのだ。

石田様のプロフィール撮影の写真は
本妻を抱いて写っている。

今日も最初こそ愛人で演奏したが、
1部の途中で舞台袖に引っ込み、
本妻に持ち替え登場し、
曲調の変わり目でヴァイオリンを変えた。

ヴァイオリニストにとっての
ヴァイオリンは体の一部だとしたら、
石田様はタイプの違うふたりの女性を
抱き分けているということになる。

最後のシャコンヌは本妻ヴァイオリンで
演奏されたのだが、
コンサートの最後には石田様の体から
ヴァイオリンが生えているのかと思うほど、
それは一体と化し、
鬼気迫る音となって会場に響き渡った。

「無伴奏」の覚悟をそこに見た思いで、
しばし呆然、
友人とふたり「凄かったね」と
顔を見合わせた。

アンコールも大サービスで3曲弾き、
1曲目は愛人ヴァイオリン、
2曲目は本妻ヴァイオリン、
3曲目は本妻でチェロとの二重奏だった。

会場を出たのは夜9時半をまわっていたので、
本当に久々に「YOASOBI」に
なってしまった。

これが5回の内の第1夜。
毎月のお楽しみができ、
なんだかコロナ前に戻った気分だった。

ブラボー石田様!!























2022年5月8日日曜日

課題の器 完成

 














昨日の土曜日、
4月22日に釉薬をかけた器が
本焼きを終えて、出来上がってきた。

今回は初めて使う「氷裂」という釉薬を
試しにほとんどの器に使ってみた。

出来上がりのイメージでは、
赤土に青磁色の釉薬がかかり、
貫入といってひび割れが美しい表情を
見せるはずだった。

しかし、実際には「透明」をかけたかのように
赤土の色が勝っていて、
青磁の器という感じにはならなかった。

しかも、「失透」と呼ばれる
不透明の白い釉薬との相性がよくなく、
ここにはないが、
氷裂を全体にかけた茶碗に
半分、失透をかけたものは
弾いてしまって滝のような模様を作った。

工房のメンバーは
「これはこれで面白い」と言ってくれたが、
私的には失敗作品だ。

明日のゴミの日に出して、
なかったことにするつもり。

写真に残した器たちは
今回の課題作品
「植木鉢」と「箱」

こちらは同じ氷裂を使用したが、
失透や織部は縁にしかかけなかったので、
青磁色ではなかったが、
一応、課題作品として提出できるだろう。

植木鉢には実際に植木を入れて展示のこと
という注意書きがあるので、
今日は多肉植物を求めて、
金沢区の大きな花の苗やタネを売っている
お店まで車を出した。

折しも5月8日は「母の日」

お店はカーネーションの切り花や鉢で
華やいでいたが、
私は多肉植物のコーナーに一直線。

元々、多肉植物をイメージした植木鉢なので、
実際の植木鉢を片手に
ちょうどいい大きさのものを選んでみた。

どうしても3種類、手放しがたく、
1種類の鉢として渋いグリーンの缶のものを選び、
土は専用の土、飾りの白い小粒の石も購入した。

自作の植木鉢は2つある。
陶芸の展示会にはどちらを出すか分からないが、
それまで植木が枯れずにいてくれた方を
出品の予定。

何分、多肉植物を育てるのは初めてなので、
おっかなびっくりだ。

もうひとつの課題は「箱」

箱と言われても
歪みのない四角い箱を陶器で作るのは
とても難しいので、
私はちょっと斜めからせめて、
「ハート型の小物入れ」と
「楕円形の蓋物」という形にした。

蓋の付く器というのは
蓋と身の収縮率が違うので
ピッタリ合わせるのが至難の業なのと、
焼くときに蓋をした状態で焼くので、
熱で釉薬が垂れて蓋と身がくっつかないように
するのがこれまた難しい。

幸い、ふたつの小物入れは
両方ともトラブルに巻き込まれずに
無事に焼きあがってきた。

蓋と身がくっついてしまった人は、
えいっとばかり、
身と蓋の隙間にナイフをいれたところ
器の蓋が割れてしまった。

そうなるとせっかくここまで作陶しても
単なるゴミになってしまう。

今回の課題作品コーナーには
「箱」のシリーズは出さなくてもいいことに
なっている。

しかし、何とか形になったので、
自分の作品のテーブルには並べようか、
目下、ちょっと思案中である。

5月下旬、
搬入日が近づいたら、決定しよう。
それより、
そこまで多肉植物を枯らさないこと、
これが当面のミッションだ。