2022年5月11日水曜日

石田泰尚スぺシャル第1夜

 










遂に「石田泰尚スペシャル」
『熱狂の夜』と題されたコンサートの
第1夜が始まった。

5月から9月まで、月に1回、
我が愛する石田様があの手この手で
いろいろな人と組んで演奏する5日間。

お供の友人は私よりはるかに
石田様フリークのSさん。

まずは私の最寄り駅で夕方、集合し、
早い夕飯をとってから会場に向かった。

コンサート会場は
ミューザ川崎シンフォニーホール。
収容人数1997名

その大ホールが9割がた埋まっている。
私と友人はこれから5回連続で
このコンサート会場に足を運び、
5回とも同じ席に座ることになる。

その席は前から2列目中央より少し左。
今日は石田様は舞台中央に立っていたので、
やや遠かったが、
他に何人かいる編成の時は
ほぼ真ん前に石田様がくるという
願ってもない好位置だ。

第1夜の今日は
「無伴奏」
つまり、石田様ひとりで2000人を相手取り、
ヴァイオリン1本で2時間半
聴衆を引っ張る真剣勝負の大舞台だ。

ゲストとしてチェロの山本裕康さんが
第2部から登場したが、
第1部は初めて聴く難解な曲をひっさげ
ひとりで戦うという感じだった。

曲目は
ハインリヒ・ビーバー 
「パッサカリア」
ゲオルグ・フィリップ・テレマン
「ヴァイオリンのための12のファンタジア」
エルネスト・ブロッホ
「無伴奏ヴァイオリンのための組曲第1番」
コダーイ・ゾルターン
「ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲」
ヨハン・セバスチャン・バッハ
「シャコンヌ 無伴奏ヴァイオリン・
パルティータ第2番より」

と、いうわけで、
私が知っていたのは
最後のパルティータだけ。

きっと途中で寝てしまうかもと
一抹の不安がよぎったが、
今日は前から2列目中央寄りのいい席なので、
気合を入れて着物で向かったからには、
それで舟を漕ぐわけにはいかない。

舞台中央にライトに浮かび上がった
石田様の横顔をただ見ているだけでは
眠くなってしまうだろう。
現に右隣のおばさまは完全に熟睡状態だ。

そういう難解な曲の時は
私は目をつぶり、
脳内に映像を浮かべることにしている。

いい演奏には必ずその曲から想起する
映像が浮かび上がってくるのだ。

ヴァイオリンのための12のファンタジアでは
16~17世紀のオーストリアあたりの
古いお城に住んでいる女性が見えてきた。
優雅で壮大な曲調で、
制服を着た軍人の男性に思いを馳せている。
ついさっき別れてしまい当分戻らない様子。

その次の無伴奏ヴァイオリンのための組曲も
ドイツあたりの風景と
窓辺にゆれるゴブラン織りのカーテンの下
物思いにふける女性の後ろ姿が見えた。

もう、
ほとんど妄想の世界。

しかし、ヴァイオリンとチェロの二重奏曲では
急に全くちがう曲調になり、
最初は中国かと思ったが、
しだいにモンゴルだと確信する風景が広がり、
チェロは馬頭琴の調べにしか聞こえてこない。

石田様は2本のヴァイオリンを所有しており、
私たちが本妻と呼んでいるのは
1690年製 G.Tononi
愛人と呼んでいるのは
1726年製 M.Goffriller

今日の演奏ではまず1曲目は愛人を使用。
愛人は艶やかで広がりのある音色なので、
まずは謳わせようという時に登場する。
ヴァイオリン自体の色もやや赤紫を帯びて
艶々していて、赤いダイヤが2か所に
はめ込まれている。

しかし、ニュアンスのある複雑な曲では
必ず本妻を使う。
Tononiは
落ち着いていて思慮深い音色なのだ。

石田様のプロフィール撮影の写真は
本妻を抱いて写っている。

今日も最初こそ愛人で演奏したが、
1部の途中で舞台袖に引っ込み、
本妻に持ち替え登場し、
曲調の変わり目でヴァイオリンを変えた。

ヴァイオリニストにとっての
ヴァイオリンは体の一部だとしたら、
石田様はタイプの違うふたりの女性を
抱き分けているということになる。

最後のシャコンヌは本妻ヴァイオリンで
演奏されたのだが、
コンサートの最後には石田様の体から
ヴァイオリンが生えているのかと思うほど、
それは一体と化し、
鬼気迫る音となって会場に響き渡った。

「無伴奏」の覚悟をそこに見た思いで、
しばし呆然、
友人とふたり「凄かったね」と
顔を見合わせた。

アンコールも大サービスで3曲弾き、
1曲目は愛人ヴァイオリン、
2曲目は本妻ヴァイオリン、
3曲目は本妻でチェロとの二重奏だった。

会場を出たのは夜9時半をまわっていたので、
本当に久々に「YOASOBI」に
なってしまった。

これが5回の内の第1夜。
毎月のお楽しみができ、
なんだかコロナ前に戻った気分だった。

ブラボー石田様!!























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