2019年7月30日火曜日

生「反田恭平の世界」

 
 
 
 
 
 
 
日頃から「題名のない音楽会」などで目にしていて、
この人の生の演奏が聴いてみたいと思っていた人がいる。
 
ピアニストの「反田恭平」である。
 
まだ、20代半ばの若さながら、
その風貌、醸し出す雰囲気、ピアノを弾いている時の圧倒的な迫力など、
これは一度本物を見てみたいと思わせるオーラが全開だった。
 
そんな時、昔からの友人Kさん(ピアノ講師)からLINEがあり、
「誰か必ずいく人がいると思って2枚チケットをとった」と、
サントリーホールでのコンサートのお誘いを受けた。
 
即、「行きます!」と返信し、
先週の金曜日にいそいそと出掛けてきた。
 
場所は溜池山王か六本木一丁目からいくサントリーホール。
時間は夜の7時開演。
 
最近私が行くコンサートホールとしては、遠方だし、遅い時間帯だ。
6~7年はご無沙汰のホールなので、
まるでおのぼりさんのように早めに出掛けた。
 
約束の5時にはだいぶある4時半にはサントリーホール前の
カラヤン広場に到着し、
ホールと反対側の真ん前にあるガラス張りのレストランに入った。
 
オシャレなレストランの三浦春馬に似たお兄さんに
リンゴのジンジャーソーダを注文し、
イヤホンで英語のレッスンをスマホで聴きながら、友人を待った。
 
外から見れば、何の何の立派にこなれたシティガールに見えるのでは?
 
ふと見れば外は長蛇の列。
「指定席なのになぜ?」といぶかしく思っていたが、
どうやら反田恭平の熱狂的ファンがCDを買うために並んでいたらしい。
その数は優に100人は超えていたと思うので、
恐るべし反田恭平!
(結局、CDの数が足りずにコンサート後に予約注文を受けていたから
その人数の多さがわかるというもの)
 
友人にはそのレストランにいることを伝え、 店内に来てもらった。
エスニックな料理を注文し、
久しぶりの近況報告で楽しい時間を過ごした。
 
そして、開演30分前には会場入りし、
大きな美しいホール、お祝い花のセンスの良さに感心しながら、
開演の時を待った。
 
肝心のコンサートは、反田恭平のピアノコンサートだとばかり思っていたが、
そうではなかった。
 
反田恭平が編成した?管弦楽団16名と共に演奏するプログラムだった。
その16名の演奏家達の経歴の素晴らしいこと。
きら星のごとくに芸大出身者が並んでいる。
若手の管弦楽器の奏者が多いが、いったいどうやって集めたのか。
 
曲目によって、その16名の内の何名かが演奏するというもので、
1部2部通して、反田恭平がソリストとしてピアノを弾いたのは1曲だけ。
モーツァルトのピアノソナタ第8番ニ長調 KV311
 
終わってみれば、
反田恭平の弾くグランドピアノを正面に置き、
(観客からは反田恭平が背中を見せている形)
その周囲を16名が二重に取り囲み、反田恭平が指揮をする、
そんな演奏スタイルが目に焼き付いた。
 
指揮者反田恭平の部分が強く印象に残るコンサートだった。
 
指揮者としての反田恭平はピアノを弾く時と同じように、
とても緩急が激しい腕の動きで指示を出し、
たぶん表情も豊かに全身で曲の感情を表していたに違いない。
 
反田恭平のピアニッシモ。
その繊細かつエレガントが音を彷彿とさせる指揮する美しい手。
グランドピアノの黒に映える長く白い指が印象的だった。
 
残念ながら、S席からはその後ろ姿ばかりしか見えなかったので、
オペラグラスを持っていっていたが、透けては見えないので、
表情は想像するしかない。
 
かえって、舞台裏手のお安い席を取った人の方が
反田恭平の指揮する顔が正面から見えたと思うので、
彼らはお得感があっただろう。
 
それにしても弱冠20代半ばのピアニストが率いる?管弦楽団が
全国5箇所にツアーに出て、演奏会を行うなんて、
本当に凄いことだと思う。
 
ヴァイオリニスト石田泰尚も追いかけているが、
ピアニスト反田恭平もきっと大きく化けるに違いない。
 
また、機会があれば、
生「反田恭平」を観に、そして、聴きに行こう。
 
彼が何を考え、何を表現し、
どこに行こうとしているのか、
見守っていきたいと思ったおばちゃんファンであった。
 

2019年7月24日水曜日

孫の気分はお天気次第

 
 
 
 
毎週火曜日の孫の食事当番。
昨日も午前中に美容室を済ませ、きれいにカラーリングしてもらって、
その足で東京の長女の家に向かった。
 
いつもの日より少し早めの到着だったので、
ゆっくりお弁当を食べつつ、その日作るアイテム9品の段取りを考える。
 
先ずは煮込み時間の長いものの野菜を切る。
肉の下処理をする。
 
オーブンを使うものの下準備として、カリフラワーを茹でる。
冷めても大丈夫なものとして、きんぴらのごぼうと人参を千切りにする。
 
などなど、めまぐるしく頭を働かせ、
鍋やフライパンをどう効率よく使うか考える。
なにしろ我が家より狭いキッチンと、少ない鍋釜を上手に使わないと
台所が大変なことになる。
 
で、昨日作ったのは、
 
「鶏手羽元のトマト煮込み」
「海苔巻き卵焼き」
「サーモンの中華風ごま揚げ」
「なすとピーマンの麻婆なす」
「アスパラとえのきの豚巻き」
「カリフラワーのグラタン」
「ブラウンマッシュルームのポタージュスープ」
「きんぴらごぼう」
「はんぺんのチーズサンド焼」
以上の9品。
 
あまり2歳児を意識したメニューではないが、
最近は大人っぽい味でも食べてくれるので、
塩加減だけ気をつけて、あとは花胡椒やタイムなどのスパイスも
使い放題使ってしまう。
 
5時半過ぎ、孫を保育園まで迎えにいくと、
私の顔を見るなり、ニコニコし、作業中のレゴなどを見せびらかす。
それを褒め、お帰りの仕度をし、
お手々をつないで、あっちこっち寄り道しながら帰宅。
玄関先で靴を脱ぎ、靴下も脱ぐ。
洗面所で手洗いうがいを済ませる。
 
ここまでが2歳児の決めたルーティンワークだ。
 
ルーティンワークだからといって、
さほど強いこだわりがあるわけではないので、ごねたりはせず、
途中でアリさんだのダンゴムシさんだのを確認し、
クリーニング屋さんのおばちゃんに手を振り、
ちょっと蛇口の水の出が多くなったといっては、
きゃっきゃと楽しそうにしている。
 
そして、次は自分の椅子によじ登り、
ずらり並んだご飯を眺め渡し、
さあ、食べるわよ!とばかりに「スプーンちょうだい」とせがむ。
 
「どれからいく?」と尋ねると、
必ず焼き色のついたチーズを指さし、
グラタンやラザニアなどからいこうとする。
カロリーの高いものが一番好きみたいだ。
 
昨日も
「カリフラワーのグラタン」のチーズ中心。カリフラワー少し。
 
「鶏手羽元のトマト煮込み」のジャガイモ、大豆、人参、トマト。
とにかく大豆が好きなので、スプーンに大豆とともに他のものものせ、
一緒に食べるよう仕向ける。
 
「海苔巻き卵焼き」2個
3個目はママのだといって引き留めた。
 
「ブラウンマッシュルームのポタージュスープ」のスープだけ。
 
「サーモンの中華風ごま揚げ」ひとつ。
 
「はんぺんのチーズはさみ焼き」少し。
パンだと思ったみたいで、「パンみたいね」と言いながら、
味は想像と違ったみたいで、
後半は指でつついておしまい。
 
と、こんな感じ。
 
ご機嫌も麗しく、
「写真を撮るからいいお顔~!」と頼むと
最初は2枚目のおすまし顔をしてくれた。
 
まあまあ毎週こんな調子で、
さほど無理難題も言わず、
よく食べ、よく笑う。
 
手のかからない孫娘、2歳1ヶ月である。
 
しかし、時折、
そんな孫娘も食欲がない時もある。
 
先週などはその典型。
手足口病の病み上がりだということもあってか、
毎日、雨ばかりで低気圧のせいか、
10品も作ったのに、大して食べずにがっかり。
 
まあ、元気な孫も病気と低気圧には勝てないというところか。
 
 
 
上の写真は先週のご飯。
貧血気味の長女のために、
ひじきの煮物とレバーの甘辛煮を作って持ち込み、
あれこれ作ったのに「あ~あ」
 
しかも、長女は大のレバー嫌い。
先週、私の前ではひとつも食べなかった
(後日、1日1欠、計4個食べたらしいが・・・)
 
やっぱり、ご飯は食べる人の「美味しい!」のひと言に支えられて
作っていると実感したのであった。

2019年7月19日金曜日

石田泰尚 ヴァイオリン・リサイタル

 
 
 
 
2ヶ月ほど前、足を骨折して行けなくなった友人Mさんの代わりに
「トリオ・リベルタ」のコンサートに、別の友人Tさんを誘って出掛けた。
 
その友人Tさんにとっては、
トリオ・リベルタも石田泰尚氏の演奏も初めてだったのだが、
すっかりはまってしまったようで、
最近、「石田さんのコンサートを見つけたんだけど、ご一緒しない」と
お誘いを受けた。
 
コンサート会場は浜離宮朝日ホール。
最寄り駅は新橋の汐留か東銀座である。
 
Mさんから、かねてより、
「新橋駅近くにある美味しい牛タンのお店に行きましょう」と
いうお話が出ていた。
 
そこならコンサート会場とも近いので
ランチは牛タン、その後、ヴァイオリンコンサートという流れでということに
話はすぐにまとまった。
 
コンサートチケットもギリギリセーフで入手出来、
毎日雨だったお天気も晴れて、真夏日一歩手前のお出掛け日和だ。
 
Tさんご推奨の牛タンランチは
仙台から出店している「太助」という専門店だった。
厚みのある牛タンのほどよい塩加減のお味付けと、
添えられた牛テールスープの美味しかったこと。
 
麦ご飯にとろろをかけ、大盛り一杯をペロリと平らげた。
 
腹ごしらえの後は新橋のサラリーマンが仕事場に戻るのを横目に
私達はコンサートホールへ。
 
以前に来たことがあるが550人ぐらいしか入らない小さなホールだが、
内装が落ちついているし、音響もいい。
(石田様もお気に入りらしい)
 
肝心のリサイタルはというと
前半がブラームスの「ヴァイオリンソナタ第2番イ長調Op、100」
「ソナタ第3楽章」「ハンガリー舞曲」と
ブラームス攻め。
 
後半はすべてタンゴ。
後半の半分4曲はピアソラで、
もう4曲は「タンゴ」というタイトルの作者違いと「エル・チョクロ」など。
 
石田様はいつもの感じで飄々と出てきて、
黙って演奏し、
第一部の3曲目あたりから細い体を存分に使ういつもの演奏スタイルに。
 
ノってきたなと見ている方も分かるという具合だ。
 
演奏予定時間は3時半から5時と書いてあったので、
チケット代が2900円とお安いし、
リサイタルだから、ピアノ伴奏はつくとはいえ、
ひとりで演奏するわけだから、そんなものかなと思って聴いていた。
 
しかし、会場の空気が暖まって、気分が良かったのか、
何と、アンコールがこの後、5曲。
終わってみれば、5時半だ。
 
アンコールでは衣装替えも2回して、
度肝を抜くような金ぴかのはっぴのようなジャケットを
羽織ってきたかと思ったら、
次は大漁旗かと思うような柄のロングブラウスと、
アンコールは完全にご本人が楽しんでいる感じだった。
 
用意していたアンコール曲は4曲だったので、
帰りに発表された紙には4曲しか書いていないので、
最後に何の曲を弾いてくれたかはなぞになってしまった。
 
しかし、5曲のアンコール曲とは、
よほど気分が良かったのだろう。
 
とにかく言えることは
今日の演奏はノリノリだったということと、
石田様のサービス精神は
リサイタルの時に一番発揮されるということだろうか。
 
会場にいたお客様は、すっかりまた石田様に惚れ直し、
こちらもまた、気分良く会場を後にしたのだった。
 
本人もマイクを手に「疲れた疲れた」と言っていたが、
今日は11時と15時半の2回公演だったので、
ひとりで丸4時間を弾ききり、クタクタのはずだ。
 
しかし、2回目の公演も無事に終わった開放感からか、
最後は渾身の力を振り絞って、
メロディアスに美しく歌いあげるように奏でてくれた。
 
ブラボー!
石田様~♪♪
 
友人Tさんからも、すかさず、次もまたご一緒しましょと
せがまれてしまった。
 
こうやって、また、強面・石田泰尚は
おばさま達の心をしっかとつかんで離さないのであった。
 
 

2019年7月17日水曜日

梅雨を乗り切る着物姿

 
 
 
 
 
 
月3回のお茶のお稽古、
基本のドレスコードは「きもの」である。
 
とはいえ、午前中や夜に心理カウンセリングの予約が入っている時は
着物はやめて、洋服でいくことにしている。
たぶん、着物をきたカウンセラーは
怪しい先生か、占い師みたいに見えると思うからだ。
 
しかし、気持ちとしては、お茶のお稽古には着物で出掛けたい。
なのに、今年は雨に降られることが多い。
 
雨が降ると、草履が雨で駄目にならないよう、
足袋が雨で汚れないよう、
草履に透明なビニールのカバーを掛けなければいけない。
 
しかし、これが難物で、
カバーをかけた草履はとても窮屈になり、
外反母趾の私の足が悲鳴を上げる。
しかもカバーのかかった草履姿は美しくない。
 
そこで、楽しく雨の日にも着物で出掛けられるよう、
遂に私は雨の日でも大丈夫な「下駄」を買うことにした。
 
先日、横浜高島屋の着物売場を覗くと、
そこに草履や下駄の鼻緒をすげてくれるおじさんが、
専用のコーナーを構えて店開きをしていた。
 
そのコーナーの前を通りがかると、
なんとも粋な赤い地色に黒の細い縞模様が入った塗りの下駄を発見。
下駄といっても、二本歯の下駄ではなく、
草履のような形で真ん中だけくれている形で、
裏には雨にも対応するようにゴム底が打ってある。
 
まだ、下駄の部分だけで、そこに好きな鼻緒をすげてくれるという。
 
おじさんは興味を示して覗き込む私に、白い鼻緒を出して、
こんな組み合わせはどうかと勧めてきた。
 
「確かにちょいと小粋でいいじゃないかい」と心の声がささやいた。
 
しかし、ただの白い鼻緒じゃ、何か物足りない。
 
見れば、横に中央の鼻緒の部分だけ、赤い下駄がある。
黒い塗りの下駄に、白黒の縞模様、ちょんと真ん中だけ赤い鼻緒だ。
 
赤いちょんが、やっぱりいいなぁ。
心の声は、そのまま口から飛び出し、
「おじさん、白い鼻緒の真ん中だけ赤いのはないの?」
 
結局、おじさんはすでに下駄としてすげられていた鼻緒をばらして、
赤地に黒い縞の下駄に、白い鼻緒、真ん中だけ赤のちょん、
という形にすげてくれた。
 
それが、今、手元にある写真の下駄だ。
 
いやぁ、いいわぁ!
小粋な下駄。
ドンピシャ、私の好みだわ。
 
すっかり有頂天で、すべてのコーディネイトをこの下駄に合わせ、
紺地にホタルの柄の絽の着物、
白地に紺で古典柄が線描き模様に織られた帯、
下駄の赤に合わせた赤い帯揚げ、
ちょっと赤が混じった夏もののグレーの帯締め
と、いうラインナップで用意した。
 
大相撲の砂かぶりの枡席に座っているご贔屓のお姐さんほど粋じゃなく、
かといって、普通の主婦じゃ真似できない、
そんな狙っている線の装いになったのではと自画自賛。
 
はたして、本日のお茶のお稽古では、
皆々様にお褒めの言葉を頂戴し、
またまた、悦にいる私だった。
 
しかし、毎日雨が続き、
身も心もしけしけしていたので、
こんな風にオシャレして、
雨降りも前向きに捉えて、楽しく過ごすのはいいことだ。
 
まだ、ここ数日、この雨降りは続くとか。
 
梅雨を楽しく乗り切るには
可愛い長靴か、傘を買う。
 
着物の場合は、長靴というわけにはいかないので、
下駄を買う。
 
それが今年の私からのオススメである。
 
 

2019年7月15日月曜日

梅雨バテ防止のご飯

 
 
 
 
 
 
毎日毎日、しとしとしとしと
雨が降っている。
6月初めに梅雨入りして以来、
ほとんど日が射すこともなく、
関東地方にはミストシャワーのような霧雨が降り続いている。
 
しかも、うすら寒い。
 
去年の今頃は毎日35度になったとかならなかったとか、
暑さと戦っていたと思うのだが、
今年は傘を持たずに出掛けたことがない。
しかも、カーディガンを鞄に偲ばせ、着たり脱いだりしている。
 
今日も「海の日」だというのに、海水浴なんてとんでもない。
海辺は閑古鳥が鳴いている。
 
太陽を浴びていないせいか、
体が湿気ているというか、カビが生えそうというか、
とにかくちょっと疲れが溜まってきている感じだ。
 
明日は孫のためのご飯当番の日なので、
長女宅の夕飯メニューを考えつつ、
買い出しをし、事前に作っておくものがあれば作ってしまう。
 
孫はいつでも食べ盛りで、むしろ食べ過ぎ注意報が発令されているが、
長女はそろそろ二人目をと考えているのに、
毎年の検診で貧血を指摘されているらしい。
 
長女は自分の仕事の責任が増してきている上に
ややイヤイヤ期に差し掛かっている娘の世話があり、
その上、先週はその娘が手足口病にかかり、
看病のため、2日、仕事を休んだ。
 
更に加えて、二人目の妊娠を望むとなると、
貧血でふらついている場合ではない。
 
そこで、管理栄養士としては、明日のメニューに
リクエストの「ひじきの煮物」の他に
「鶏レバーの甘辛煮」を作ってもっていくことにした。
 
当然、作った二品は今夜の我が家の食卓にものる。
 
他には「さわらの塩麹焼き」
「根ショウガのみそ添え」
「小松菜ときくらげの中華炒め」
 
これで、鉄分補給はバッチリだろう。
栄養素のことはよく分からないが、見るからに健康的なメニューだ。
 
これに最後は「梅ドリンク」の炭酸割りを添え、
シュワシュワ感で食欲増進する。
 
ビールとご飯粒は出来れば避けたいところなので、
このドリンクがあれば、ビールがなくても、ご飯がなくても、
美味しくおかずがモリモリいただけるというわけだ。
 
昨日までに仕上げた新作の版木を前に、
今日から少し彫り作業を開始した。
 
少しとは言え、5時間は彫っていたので、
本当ならここでお疲れ様のビールといきたいところだが、
本日は「梅ドリンクの炭酸割り」で十分、幸せだ。
 
外はしとしと雨降りなれど、
今夜も〆の梅ドリンク炭酸割りが五臓六腑に染み渡る。
 
明日は孫と長女と婿のため(順不同)
ばぁばは飯炊きに精を出す。

2019年7月14日日曜日

木版画家としての日々

 
 
 
 
 
はたと気づくと7月に入って1度もブログをアップしていなかった。
ブログネタがなかったわけではなく、
ただ単に忙しかったのである。
 
しかし、これではいかんと自分に喝を入れ、
久々に木版画家としての日々が戻ってきたというか、
月初めの3日間はまじめに「彫り」の作業にいそしんでいた。
 
本当は6月の紫陽花展に間に合うものなら出品しようかと思って、
立ち上げた小品2点分の版木が、
ほんの少し彫り始めたところで頓挫していた。
 
性格的にはそういう途中で手放すようなことは良しとしない方なのだが、
なぜか5月もバタバタしており、
じっくり作品に向かう環境になかったのだ。
 
4月はオランダ・ベルギー旅行に月の半分は費やしたし、
その分、心理カウンセリングや絵画教室などがしわ寄せをくった。
その影響は5月になっても続いて、
お陰様でご要望が増えてきたカウンセリングをこなすのに
アップアップの毎日だ。
 
その他にも、週に1度の孫のお食事当番、
同じく週一のパティシエ学校の非常勤講師、
月に3度のお茶のお稽古や茶道講座への参加、
陶芸展に向けての作陶など、
いずれも1日がかりの予定が目白押し。
 
家のパソコンの前に鎮座して、
時間をもてあましているダンナの冷たい視線を横目に、
毎日、タイプの違うお衣装に着替えて家を出る。
 
そんなわけで、
版画の彫り台の前にじっくり座って、
ひたすら彫って彫って彫りまくるといった
版画家本来の時間の過ごし方が全く出来ていなかった。
 
3ヶ月も木版から遠ざかると、
常に出来ていた右手の平や右小指のタコは消滅し、
何とも柔な普通の手になってしまう。
 
手の甲にいくつかシミが出来始まったおばちゃんの小さな手。
まあまあ台所には立っているが、
版画家としての働く手ではない。
 
そんな自分を内心、しかり飛ばして、
7月に入ってからは取り戻すように黙々と作業した。
 
中途半端で投げ出した小品2点分の彫りを仕上げ、
木目の彫りと、
紙風船の2版目の飾り彫りを終えると、
ようやく版画家としての達成感に包まれた。
 
木版の版木はまだ摺っていない状態だけど、
十分にこれだけで美しい。
 
木という素材のもつ暖かさと、
刀で彫り進めた彫り跡のシャープさと緻密さが、
木版画家としての歓びを思い出させてくれる。
 
もちろん7月に入ってからも、
版画以外の仕事や用事は入れ替わり立ち替わり押し寄せてきているが、
この3連休は1歩も家から出ない勢いで、
閉じこもって新作の原画を作成した。
 
毎年、夏は「彫り」と決めているので、
ヒマな8月にセッセと彫り作業が出来るよう、
今のうちに原画作成、トレペ原画作成、版木転写と、
彫りに進むための重要な工程を済ませなければならない。
 
幸い、グループ展で展示をしている時にいただいた皆様の感想を参考に、
自分の作品を眺めていたら、
次の新作のイメージが固まったので、
その機を逃すわけにはいかない。
 
むしろ、ものつくりで一番大変な新作のイメージが湧いてきたのだから、
正に「ぼーっと生きてんじゃねえよ!」ということである。
 
というわけで、3連休の内の2日間、缶詰めになったお陰で、
無事に版木転写まで終了。
 
目がシポシポして涙がでるし、
目の奥が眼精疲労で鈍痛、
僧帽筋が盛り上がって、リンパが大渋滞。
 
なれど、気分はなかなか日本晴れ!
今日のビールは美味いに違いない。