2019年7月14日日曜日

木版画家としての日々

 
 
 
 
 
はたと気づくと7月に入って1度もブログをアップしていなかった。
ブログネタがなかったわけではなく、
ただ単に忙しかったのである。
 
しかし、これではいかんと自分に喝を入れ、
久々に木版画家としての日々が戻ってきたというか、
月初めの3日間はまじめに「彫り」の作業にいそしんでいた。
 
本当は6月の紫陽花展に間に合うものなら出品しようかと思って、
立ち上げた小品2点分の版木が、
ほんの少し彫り始めたところで頓挫していた。
 
性格的にはそういう途中で手放すようなことは良しとしない方なのだが、
なぜか5月もバタバタしており、
じっくり作品に向かう環境になかったのだ。
 
4月はオランダ・ベルギー旅行に月の半分は費やしたし、
その分、心理カウンセリングや絵画教室などがしわ寄せをくった。
その影響は5月になっても続いて、
お陰様でご要望が増えてきたカウンセリングをこなすのに
アップアップの毎日だ。
 
その他にも、週に1度の孫のお食事当番、
同じく週一のパティシエ学校の非常勤講師、
月に3度のお茶のお稽古や茶道講座への参加、
陶芸展に向けての作陶など、
いずれも1日がかりの予定が目白押し。
 
家のパソコンの前に鎮座して、
時間をもてあましているダンナの冷たい視線を横目に、
毎日、タイプの違うお衣装に着替えて家を出る。
 
そんなわけで、
版画の彫り台の前にじっくり座って、
ひたすら彫って彫って彫りまくるといった
版画家本来の時間の過ごし方が全く出来ていなかった。
 
3ヶ月も木版から遠ざかると、
常に出来ていた右手の平や右小指のタコは消滅し、
何とも柔な普通の手になってしまう。
 
手の甲にいくつかシミが出来始まったおばちゃんの小さな手。
まあまあ台所には立っているが、
版画家としての働く手ではない。
 
そんな自分を内心、しかり飛ばして、
7月に入ってからは取り戻すように黙々と作業した。
 
中途半端で投げ出した小品2点分の彫りを仕上げ、
木目の彫りと、
紙風船の2版目の飾り彫りを終えると、
ようやく版画家としての達成感に包まれた。
 
木版の版木はまだ摺っていない状態だけど、
十分にこれだけで美しい。
 
木という素材のもつ暖かさと、
刀で彫り進めた彫り跡のシャープさと緻密さが、
木版画家としての歓びを思い出させてくれる。
 
もちろん7月に入ってからも、
版画以外の仕事や用事は入れ替わり立ち替わり押し寄せてきているが、
この3連休は1歩も家から出ない勢いで、
閉じこもって新作の原画を作成した。
 
毎年、夏は「彫り」と決めているので、
ヒマな8月にセッセと彫り作業が出来るよう、
今のうちに原画作成、トレペ原画作成、版木転写と、
彫りに進むための重要な工程を済ませなければならない。
 
幸い、グループ展で展示をしている時にいただいた皆様の感想を参考に、
自分の作品を眺めていたら、
次の新作のイメージが固まったので、
その機を逃すわけにはいかない。
 
むしろ、ものつくりで一番大変な新作のイメージが湧いてきたのだから、
正に「ぼーっと生きてんじゃねえよ!」ということである。
 
というわけで、3連休の内の2日間、缶詰めになったお陰で、
無事に版木転写まで終了。
 
目がシポシポして涙がでるし、
目の奥が眼精疲労で鈍痛、
僧帽筋が盛り上がって、リンパが大渋滞。
 
なれど、気分はなかなか日本晴れ!
今日のビールは美味いに違いない。
 
 

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