2022年10月26日水曜日

錦繍のお茶のお稽古

 










10月最後のお茶のお稽古。
自分の中の今日のテーマは「錦繍」

一昨日までの北海道の秋の景色に敬意を表して、
着物のコーディネイトを
もみじ尽くしにしてみた。

今日のお茶室のしつらえは
大板に道安風炉

お軸は「心静かに茶味清し」
お花は秋明菊だった。

お茶の世界では11月がお正月で
そこからは炉を切って
冬のしつらえになる。
だから、今日は風炉の最後のお稽古だ。

いつもどおりにまず全員が
お濃茶を点てる稽古をして、
その後、今日は特別に「花月」という
「七事式」のうちのひとつを行った。

これはお茶のゲームのようなものなのだが、
「花月、百篇おぼろ月」という言葉があるように
100回やってもまだわからないという意味で、
なかなかきちんと覚えるのが難しい。

ひと月かふた月に1回、
先生も含めて5人揃わないとできないので、
他の曜日のメンバーをゲストに呼んで行い、
毎回、少しずつ謎が解けたり、
うろ覚えのところを確認したりして、
何とか、少しずつ理解しているところだ。

今日も帰ると、さっそくノートを開き、
前回、よくわからなかった部分が解明したら
書き加えたりして、
少しずつ攻略している。

お茶のお稽古というと
もっと優雅でのんびりした非日常という
感じだと思うと思うが、
なんのなんの奥は深く、
まだまだ修行は続くというのが現実である。

とはいえ、お茶のお稽古は月に3回、
一応、ドレスコードは着物なので、
個人的には季節を体現するつもりで、
「歩く広告塔」ならぬ「歩く秋」として
本日は深まりゆく秋を表現してみた。

着物の柄が季節限定のもみじや萩だと
その季節にしか着られない。
しかし、それは贅沢の極みだともいえるわけで、
日本の女にしか許されていない
民族衣装を身にまとう楽しみであろう。

しかも、今日のもみじの柄の着物は
墨色の地に白抜きのもみじ、
帯はシルバーグレーの地にもみじと萩。

このモノトーン・コーデに
帯揚げだけもみじ色を差し、
帯締めは少しトーンを落とした臙脂色にした。

いかにも紅葉でございといった色は
芸がないし品もない。
当然、本物の紅葉の方が色鮮やかなので、
私はそんなところで張り合ったりはしない。

粋で品よくがモットーなので、
今日はこんな組み合わせにしてみたが
いかがだろう。

お釜のお湯がしゅんしゅんたぎる音を
お茶の世界では「松風」と呼ぶ。
お湯が沸いたよ、
おーい、お茶とは言わないのだ。

急に冷えてきた朝夕、
つるべ落としといって5時には早、陽が陰る。

花月を終えて、帰りの電車の中、
空は茜色に染まり、
明日の晴れを物語る。

帰宅早々、我に返り、キッチンに立ち、
今晩は鯖を焼き、けんちん汁を作った。
かぼちゃと蓮根の甘辛煮は
いかにも秋の深まりを感じさせる。

季節と共に
毎日を丁寧に過ごす、
それは本当に大切なことだと
つくづく思う秋の夕暮れ。




















2022年10月23日日曜日

秋色の北海道4日間

 























10月20日から23日まで
3泊4日で北海道旅行に行ってきた。

9月初め、102歳の義父の介護に疲れた友人が
「この日からこの旅程で申し込んだんだけど、
よかったら一緒に行かない?」と
誘ってくれた。

日にち指定だったが、タイミングよく
その4日間なら行けそうだったので快諾し、
追いかけて私も申し込むことにした。

その頃はコロナの陽性率も高く、
10月20日から施行された県民割は
まだ、噂にも上っていない時期だった。

しかし、コロナ禍に疲弊した旅行会社が
3回目のワクチン接種の終わっている人限定で
ANAの70周年記念割などを組み込んで
北海道3泊4日
「5つ星の宿・2つの名湯に泊る
秋の北海道絶景めぐり」と題したコースを
打ち出し、
7万円と比較的安かったので即、申し込んだ。

この値段はなかなかリーズナブルだし、
内容も魅力的だと思っていた。

実際に1泊目と3泊目に泊ったホテルは
500名からの人が
1度に泊るような大型のホテルだったが、
さすが5つ星、
夕食も朝食もビュッフェスタイルなのだが、
じゅうぶん美味しいお料理の数々だった。

特に3日目の夜はずわいがにの食べ放題が
ついていたので、
食べ過ぎて豚になってしまった宮崎駿の
「千と千尋の神隠し」の千の両親のようだった。

お天気も上々で
暑くもなく寒くもない爽やかさで
4日間とも雨に降られることなく
晴れ女の面目躍如の晴天に恵まれた。

3日目はオプションで旭山動物園組と
旭川市内観光組に分かれたのだが、
私達、動物園組は開園と同時に入園したので、
さほどの人もいない中、ゆっくりと
行動展示で間近に迫る動物たちを堪能した。

やはり動物は観ているだけで癒されるし、
旭川という北の大地に拡がる
のびのびした環境はどこを見ても
秋色に染まった木々と大きな空とで
胸いっぱいに吸う空気が美味しかった。

北海道の秋は今が旬、
場所によっては散り加減のところもあったけど、
ほとんどの場所で真っ赤に燃えるヤマモミジや
白樺、ななかまどなど、
錦に染まる正に錦繍の北海道だった。

そして、更に
旅のスタートは偶然にも県民割が始まった
10月20日。

その恩恵に浴することができるのかできないのか、
実は現地につくまで全くわからなかった。
巷では申し込んだと同時に売り切れたという話が
ニュースで大ブーイングと共に流れていたので、
期待することもなく現地に赴いた。

しかし、1日目の夜、
添乗員さんからの嬉しい報告があり、
なんと、さっぽろ割や北海道割などの
クーポンが計12000円分がもらえるという。
更に、宿泊に関しても1泊8000円
3泊で24000円の払い戻し金があるらしい。

「そんなにしてもらっていいの?」と
驚きの声があがったのはもちろんだ。
お陰で
1日しか使用期限のないクーポンを片手に
使い切るのに苦労する人がでるほど
旅のメンバーはお土産を買うのに奔走した。
(使えるところと使えないところがあるから)

私と友人はうまく使い切り、
後は口座に宿泊分の割引が返金されるのを
待つのみ。

こうして旅費の半分は補助してもらった
今回の旅行。

「もってる女たち」のリフレッシュ・ツアーは
いろいろなものに恵まれ、
北海道の秋を十二分に満喫し、
無事に終了した。

同じコースでも違う日に申し込んだ人には
この特典はないのだから、
宝くじにあたったようなもの。

なんとか飽食のはてに豚になったかと
思ったが、
一応、人間の姿で羽田に降り立った。

これでしばらく浮世の辛さに耐え、
日常生活に戻れるだろう。
身も心も充電完了!
発車オーライ!!





















2022年10月15日土曜日

蓋ものシリーズの本焼き

 














今日は朝9時過ぎから5時まで
陶芸工房で本焼きのための準備に明け暮れた。

釉薬をかける機会が以前の2か月に1度から
3か月に1度になって以来、
その分、溜まる作品数が増えるので、
1回にこなす作業が増えることになった。

ここ数カ月取り組んでいるのは
「アフタヌーンティセット」の器なので、
ティーポットや急須、ボンボニエールなど、
蓋の付くいわゆる蓋ものといわれる器が
多くなってしまった。

そもそも蓋ものに取り組むきっかけは
昨年、工房の会員向けの課題として
「箱」というお題が出たことに始まる。

土で木や紙で作るような四角い箱を
作りたくなかった私は、
楕円形とハート形の蓋の付いた小物入れを
制作した。

陶器で蓋が付くものは
実は作るうえで難易度が高くなる。

陶器は素焼きと本焼きという
2度の焼きの工程が入るが、
その度に土の性格上、少しずつ小さくなる。

その時の縮む割合は
器の厚さや大きさによって異なるので、
身と蓋は一緒に合わせた状態で焼くと
身と蓋同時に縮むことになり、
反りや歪みを起こさずに済む。

しかし、その分、まだ柔らかい土の状態で
蓋が本体にのっていなければならないし、
素焼き後は、本焼きのための釉薬が
電気炉の中で溶け出して身と蓋が
くっつかないように丁寧に処理が必要である。

今日、釉薬をかけなければならない器は
蓋ものだけでも
ティーポット、急須、ボンボニエール
シュガーポットと4つもある。

その他に「ひいらぎシリーズ」といって
ひいらぎの型を使って装飾した器として、
壁掛けリース、中皿、中鉢があり、
それらをどんな表情に釉薬をかけるのか、
課題は山積だ。

こういう時間がかかりそうな時は
通常の13時半から17時の午後のクラスに加え、
9時から12時半の午前組のエントリーもして、
じっくり取り組むことにしている。

さすがに9時に到着とはいかなかったが、
9時15分に工房に入ると、
午前中の会員3名は作業していた。

さらに奥には体験を申し込んだ親子3人連れが
先生の説明を聴いているところだった。

いつもの作業台というわけにはいかないので
会員に「どこで作業してもいい?」と訊くと
偶然、いつもの作業台を使わせてもらえたので、
気持ちよく作業を開始することができた。

午前中は器をスポンジに水をつけ洗うところから
始まり、器の底や身と蓋のくっつくところに
撥水剤を塗る作業。

思いのほか早く終わったので、
午前の会員さんが使うつもりの釉薬で
自分も使いたかった「失透」という白い釉薬の
攪拌を手伝うことにした。

同じ釉薬が重なった時は分担して
攪拌という重労働を手分けして行う
暗黙の了解があるからだ。

そんな風に午前中に1色だけ釉薬をかけ終わり、
30分ほどランチに抜け、
チャチャッとお寿司をつまんで工房に戻った。

お次は午後のメンバーがやってきて、
いつもの和やかな雰囲気の中、
続きの作業が始まった。

私は友人と重なっている「織部」という
緑色の釉薬の攪拌を担当した。
他にもう1色紺色に発色する釉薬を解き、
いよいよ釉がけの開始だ。

今回は器まるごとザブンとかけるパートと、
筆を使って部分的に塗る部分があるので、
特に筆の部分は慎重を要する。

途中で目がしょぼしょぼし焦点が合わず、
細かい部分が見えていないのに作業をするという
厄介な状態に陥ったが、
何とか時間内に後片付けまで終了した。

これで帰宅後に夕飯を作るという
作業がなければまだましだが、
もれなくご飯作りが待っている。

鶏むね肉の香味ソースがけ
大根おろしのしらすのせ
厚揚げの焼き物
れんこんとかぼちゃの甘辛煮
ひじきの煮物を作って、
所要時間1時間15分。

ちょっと頑張りすぎたせいか、
ビールが効いて
7時半には猛烈に眠くなり、一時就寝。
9時半に目覚めてお風呂に入り、
今こうしてブログを書いている。

明日が暇な日曜日だからこその
この不規則な生活。

私の願いは今日の器の身と蓋がくっついて
身も蓋もないなんてことにならないことを
祈るばかり。

工房で会員の友人が
「そのポット、アラジンの魔法のランプみたいね」
というから、
胴をこするマネをして
そう願いをこめた。


























2022年10月11日火曜日

40代という重み

 
















昨日、焼いたガトーショコラを携えて、
ばぁばご飯を作りに行ってきた。

ガトーショコラは焼き立ての日より
次の日ぐらいの方が美味しい。
生クリームものではないので、
常温においておけるし、
日持ちもするのでありがたい。

昼頃、長女の家に到着し、
テレワークの本人とランチタイムに
おしゃべりしたが、
脇に置いてある紙箱には気づかず、
夕方、保育園に子どもを迎えに行くとき、
ようやく「これ何?」と
箱の正体がバレてしまった。

「大きな節目の年はしっかりお祝いしないと」
ガトーショコラを焼いてきた意味を説明すると、
「ほんと、びっくりするぐらい重いよね」と
30代には感じなかった諸々が
頭に去来している様子だ。

自分の子どもにも明らかにしていなかった
自分の年齢を突き付けられて、
しみじみと4と0の形のろうそくを
吹き消した。

志帆は「ママ、40歳のお誕生日だったの?」と
くったくなく言うが、
「保育園の先生にはそんなこと言わなくていいよ」
と念を押す。

そのぐらい、やっぱり重たい年代に突入だ。

仕事の責任も重くなり、
今は次の資格試験の準備中だし、
ゆくゆくは個人で独立して、
総合的に人材派遣のアドバイスが
できるために必要な他の資格も
取る予定だとか。

子育ても今は猫の手も借りたいほどの忙しさ、
これから子供の年齢が上がるにつれ、
ますます問題や悩みは増えるだろう。

一昔前は「40にして立つ」と言われたわけで
ひとりの人間として
何者かがわかるのが40代と言える。

わざわざろうそく4本でごまかしたりせずに、
「4」と「0」のろうそくを用意したのも
自覚を持てとの親としてのメッセージ。

私の40歳の誕生日付近の話をしたり、
娘の40の所信表明を聴いたり、
ガトーショコラを囲んで、
今日は深い話が出来た。

人生の大切な節目の年。
大切に生きて、
実りの多い一年でありますようにと
祈った。