2022年10月10日月曜日

人生の折り返し地点

 















10月8日は長女の40歳の誕生日だった。

とうの昔に独立し、結婚し子育てに忙しい娘に
わざわざ誕生日プレゼントを
親として贈るなどということは
いつもはしていない。

しかし、40歳という大きな節目の年。
個人的には人生の折り返し地点だという
気がしている。

長女がこの週末、
どんな誕生日を過ごしたのか
詳しくは聞いていないが、
最近の彼女は体調不良だったり、
コロナにかかったりで
災難が続いている。

子育ても5歳と2歳はなかなか手強く、
「皆、そんなもんだよ」と言いつつ、
仕事と家事・子育てとの両立は
「こんなに忙しいとは思わなかった」と
いう本音が、つい、もれ出てしまう。

思い返せば、私の40歳の誕生日は
ダンナの赴任先のシンガポールに着いたばかり、
まだ、引っ越し荷物も届いていない
新天地で迎えた。

ダンナは一足先に現地入りし、
女3人が1カ月遅れで到着した。

その時、長女は5年生、次女は2年生に
なったばかりの4月で、
しかも、現地のインターナショナル校に
通わせることにしたので、
英語も分からない子たちが馴染めるか
戦々恐々とした毎日だった。

そんな状況で自分の40代が始まることが、
すごく重たく感じられ、
何かきちんとお祝いの儀式を
してほしかったのを覚えている。

コンドミニアムのお隣さんが
どこの国の人かわからないけど、
テラスに横断幕をたらし、そこには
奥さんの誕生日を祝う言葉が書かれていた。

それを見た時、
すごく羨ましくて、
自分にとって記念すべき40歳を
何か思い出に残る形でマークしたいと思った。

結局、ダンナが予約してくれたのは
現地のインド料理のレストランだったので、
料理はスパイシーすぎて子供たちの口に合わず、
最後のバースデーケーキも人参ケーキとやらで
激マズだったことが記憶に強烈に残った。

何かもう少しスイートな出来事も
あったかもしれないが、
完全に激マズケーキに記憶はかき消され、
今は何も思い出せない。

そんなわけで、
長女は家族でお祝いしたかもしれないが、
明日のばぁばご飯に行く時、
ガトーショコラを焼いて
持って行ってやろうと、ふと閃いた。

毎年するわけじゃなくても、
節目の年はいつの間にか過ぎていくのは
よくないと思うから。

私はガトーショコラを焼くときは
井上絵美さんのレシピ本を開く。

お菓子は計量が命なので、
今まで何十回と焼いてきたけど、
まずはレシピ本を開くのが一連の流れだ。

ふと、いつからこのレシピで
焼いているのかと思って、
この本の発行日を確かめてみた。

1997年12月6日 第1刷発行

約25年前のレシピ本だ。
4半世紀、私は何かことあるごとに
このガトーショコラを焼いてきたことになる。

ちょうどテレビでは「徹子の部屋」に
美輪明宏がゲストで出ている。
87歳の美輪明宏はよぼよぼのおじいさんさんだか
おばあさんだか分からない感じ。
89歳の黒柳徹子はとても89歳には
見えないものの、年老いたことは否めない。

墓じまいの話や昔話に花が咲き、
最後は「終活なんて考えてないわ」
「私もおんなじ」と
「なるようにしかならない」
「また、次もこうしておしゃべりしましょう」と
楽しそうに対談は終わった。

客観的に見れば、
やはりふたりの人生の終わりは近いだろう。

そうなると
健康で自分の思い通りに生きられるのは、
80ぐらいがいいところだろう。
それをテレビのふたりは
如実に物語っている。

だから、40歳は人生の折り返し地点。

そこを
だらだらと適当に折り返してはいけない。
前半の人生をしっかり振り返り、
十分、ここで給水して、
次のステージに心も新たに向かうべきだと
思うのだ。

明日、娘にとっては
いつものママのガトーショコラかもしれないが、
けっこう重たい意味の含まれた
ガトーショコラを記念に贈ろう。

















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