2018年5月13日日曜日

鎌倉八幡宮献茶式

 
 
 

 
毎年5月13日に、鎌倉の鶴岡八幡宮で執り行われる表千家の献茶式と、
添え釜のお茶会に、お茶の先生とお社中の皆さん5名とで行ってきた。
 
昨年も同じく5月13日だったが、あいにくのどしゃ降りの雨だった。
今年も天気予報は昼頃から雨ということだったので、
朝から空模様と相談しながらの鎌倉詣でとなった。
 
早朝5時半前には起床し、もそもそキッチンで朝ご飯を作り、自分だけ食べた。
着物を着て鎌倉駅に8時半集合となると、
何もそんなに早起きしなくてもと思うのだが、何だか寝てもいられない気分だ。
 
幸い、家を出るときはまだ雨は降っていなかったが、
いかにも降りそうな雲ゆきなので、薄手の着物用レインコートを着て、
足元も雨用の草履で行くことにした。
 
お茶の方々はいつも思うが、朝は早いし、雨だろうが大風だろうが、
決してめげることなく着物を着てお茶会にいらっしゃる。
その元気と熱心さには脱帽だ。
 
私も負けじと8時20分には鎌倉駅の改札に到着し、
そこからお社中の皆さん5名で八幡宮を目指した。
朝の8時半に着物を着たおば様達がぞろぞろぞろぞろ八幡様めがけて歩く様は
ちょっと不思議な光景だ。
 
せっせと参道を歩いたお陰で、 
9時始まりの『常陸席』の第一席目にうまく入ることが出来、
順調な滑り出しだ。
 
そのお席ではお家元の箱書き付きの立派なお道具をいくつも拝見し、
おいしい『唐衣』という銘のお菓子とお抹茶をいただいた。
 
先々代の家元の筆になる『神』の一文字のお軸がそのお席のテーマを象徴して、
鎌倉八幡宮の神様に捧げるお茶席であるということが分かる。
 
お茶席では隣で先生がいろいろ説明してくださるので、
興味深いし、お勉強になる。
 
もう一席、神奈川青年部のお席にも入り、
青年部の部長さんだという男性の軽妙なおしゃべりで、
そのお席の立派なお道具組の説明を聴いた。
 
通常、席主は控えめなおばあさまが多いので、
あまり自慢めかした話し方はしないものだが、
その方はまるで落語家のようによくしゃべる上にうんちくが多く、
更にお道具自慢のお話が続く。
 
ユーモアがあるのは楽しくていいのだが、お茶の世界では個性的な席主だ。
 
「お茶人としてはどーなの?」といいたくなるような
ロン毛を後ろで無造作にちょんまげにし、紋付き袴姿のその男性は、
どうやら神奈川支部では有名な名家の坊ちゃんらしいのだが、
その特異な風貌やいでたちでも有名だというから困ったもんだ。
 
こうしたお茶会だからこそ会えたり見たりすることのできる有名人や
高価なお道具に、
私達一般人はキョロキョロザワザワ、
一見、着物を着てしとやかそうに見えても中身はいたってミーハーなのだ。
 
ミーハーの極めつけは『お献茶式』で
八幡宮の舞殿でお家元の弟、三木町宗匠によって奉納されたお献茶を
ひと目見ようと、おば様達が押し寄せた。
それをメインの目的に来た方々は
舞殿の脇に設置された椅子席を、長時間待って確保し、
喰い入るように三木町宗匠のお点前を観ていた。
 
私達6名は他の2席のお茶をいただいた後、
一般の観光客や参拝客の方と同じところから献茶式を拝見、
それでも十分、宗匠の動きは観ることが出来たので、これで十分じゃないかと思った。
 
確かに三木町宗匠のお点前など、直接、拝見する機会はほとんどないわけだから、
細かいところがとても参考になるし、
「観て盗め」の極意でいえば、献茶式は恰好の機会ということになる。
 
今日もお茶の世界に身を置くおば様達の熱意に感心しながら、
それぞれのお席のお点前を拝見し、
数々の立派な箱書き付きのお道具で我が目を楽しませ、
美味しい和菓子と三服のお抹茶をいただいてきた。
 
昼頃、何とか雨の降りだしを回避して、八幡様を抜け出し、
鎌倉の小鉢料理のお店のランチをし、パンを買い込んだあたりで、
遂に傘をさす人が増えてきたので、急ぎ電車に飛び乗った。
 
朝5時過ぎに起きたツケが回ってきたのか、
家について帯をほどくと同時に、猛然と眠気が襲ってきた。
 
「きれいなおべべを着て、遊びに行くのもエネルギーがいるわ」
 
つくづくそんな風に感じたお献茶式であった。
 

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