2015年8月9日日曜日

陶芸工房の暑気払い

 
 
 
通っている陶芸工房の暑気払いの会に出席した。
一品持ち寄り+1000円で飲み放題だ。
 
持ち寄る料理は手作りが基本だけれど、お総菜みたいなものでも可。
もちろん1品じゃなくて2品でも3品でも大歓迎。
 
今回は16名の参加で男性12名、女性4名だから、
圧倒的におじさん優位の会ということになる。
 
私は『なすの煮浸し』と『枝豆のハンバーグ』を持っていった。
どちらも好評だったので、一安心。
 
おじさんの中には自分では作れないからと奥さんに頼んで作ってもらった人も
何人かいて、
そんな場合は知り合いのおじさんのご家庭の様子が垣間見えるようで
微笑ましい。
 
もし自分のダンナの趣味の会のために、ダンナが何か一品作ってと頼まれたら、
案外めんどくさいなと思うから、
どんなやりとりがあるかは分からないが、
奥さん側の心理を思えば、温かな会話が聞こえてくるようでほのぼのする。
 
しかも、奥さんが作ってくれたおじさん達は皆一様に
恥ずかしそうに、誇らしそうに、
「これ、うちで取れたミニトマト」「こっちはピクルスね」とか
「何だかジェノベーゼとかいうドレッシングも作ったらしいよ」などと言いながら
ビンやタッパーを取り出す様が微笑ましい。
 
私のナスと枝豆バーグは先生が真っ先に小皿に取り、食べるなり
「これってさ、いかにも料理が得意ですっていう人が作った感じだよね」と
褒めてるんだか、けなしているんだか分からないコメントを頂戴した。
 
まあ、それでもいの一番に小皿に取ったんだから、
ずらり並んだ料理の中でまず食べてみたかったものだろうと
楽観的に受け止めることにした。
 
日頃からワイン好きで、特に赤ワインには一家言ある先生の工房には
赤ワインはもちろん、こだわりの日本酒や瓶ビール、焼酎など
各種取りそろっている。
更に中国に出張にいった時の怪しげなアルコール度数の異様に高いお酒なども
持ち込まれ、
真っ昼間の酒宴はだらだらいつまでも続いた。
 
いつもは陶芸工房にきて、ロクロの前に座り、
寡黙に作陶しているばかりなので、
なかなか個人的なことを知ることはないが、
こういう場ではいろいろ質問したりされたりしながら、
みんなのプライベートが明かされていくのが面白い。
 
先生が男性の場合、普段の日にあれこれ個人的なことを話すことは
ほとんどないが、
その点、女性ばかりの我が版画教室は手は動かしていても
口は空いているので、意外とみんなのプライベートが駄々漏れだから、
そんなあたりも男性中心の会は違うなと思う。
 
男性が好きな会話というと、
ご自分が仕事関係で行ってよく知っている中国という国についてとか、
赤ワインの講釈とか、
メンバーのひとりが社員であるTという粉飾決済で騒ぎになっている会社の
経営についてなど、
個人的なものはほとんどなく、社会批評みたいになる。
 
まあ、ダンナの悪口や子どもの悩みみたいな話しかできない女の人も
どうかと思うので、
どこも男性はこういう話が好きだと感じながら、
得意分野について演説をふるう男性諸氏の話を聴いていた。
 
陶芸についてのアプローチもまったく同じで理屈っぽいので
ある男性が、先生から「お前の陶芸は頭で考えてるから駄目なんだよ」と
言われているのを聞いて、
目の前の『冬瓜のカニあんかけ』を見て、私が
「冬瓜に話しかけながら、今日、あんた何になりたいと訊けば、
冬瓜が答えをくれるんじゃないかな」というと、
「そうだよ。粘土ともっと話し合えばいいんだよ」なんて話にもなった。
 
陶芸工房で何年も作陶し、日常雑器や大皿を大量に作っておきながら、
自分では料理をしないおじさん達は、
やっぱり社会批評しか出来ないんだよねと内心思いながら、
男性と女性の興味の矛先や、ものの考え方の違いを再確認した。
 
だんだん歳と共に決まりきった人としか話さない生活になりがちだけど、
時には普段話さない人と話さないことを話してみるのもおもしろい。
そんな暑気払いの1日だった。

0 件のコメント:

コメントを投稿