2016年3月15日火曜日

2夜連続 石田泰尚の別の顔

 
 
前日は埼玉県久喜市まで出掛け、三浦一馬のスペシャルライブを聴いたのだが、
その時のもうひとりのお目当て、ヴァイオリニストの石田泰尚氏がプロデュ-スした
「兵士の物語」をみなとみらい大ホールで観てきた。
 
2夜連続で石田様の演奏を聴いたことになる。
 
しかも、タンゴとジャズのヴァイオリンと、クラシックのヴァイオリンなので、
内容のまったく違う楽曲に対し、一体どうのように頭や体を切り替えるのか、
その細い体を心配しながら、みなとみらいへと向かった。
 
「兵士の物語」は普通のクラシック・コンサートとはちょっと違うらしく、
「ヴァイオリニスト×クラシックバレエダンサー×女優×声優」
異色のコラボレーション企画『語り、奏で、踊る』
と、銘打たれている。
 
チラシを見る限り、どんな公演内容なのかまったく見えてこない。
 
一緒に行った友人がチケットを取ってくれたのだが、
友人でさえ、「前から2列目中央寄りの席が取れてしまったけど、
こんな真ん前で、これは寝るわけにもいかないし、大変だわ」と
すっかりクラシック・コンサートに来たというイメージらしいが、
始まってみるまでは会場の誰も実際のところはわからないといった感じ。
 
出演者で知っているのは石田様と、女優の鳥居かほりだけ。
演出・振付・ダンスの高岸直樹も朗読の置鮎龍太郎なる人物も存じ上げない。
 
しかし、みなとみらい大ホールはほぼ満席だし、
そこここにバレエ界にいるんだろうとおぼしき感じの人がいたり、
大きな祝花が何台か飾られていたりで、
いつもの音楽だけのコンサートとはちょっと違うなと分かる。
 
1部はクラリネットやファゴットの演奏で1000人規模のお客さんを前に
ひとりで演奏するのはさぞや緊張するだろうなと思われる演奏で、
最後は石田様の「無伴奏ヴァイオリンソナタニ長調 作品115」
 
何と、石田様、前日のコンサートに来ていたのと上から下まで全く同じ衣装で
「えっ、夕べ、おうち帰ってないでしょ?」とお泊まりをとがめる
母親のような気分で、思わず突っ込んでしまった。
 
しかし、ソロ演奏が終わって、休憩になり、
いよいよ2部の「兵士の物語」が始まり、演奏家7名と指揮者が入場すると、
石田様は白衣のような真っ白い薄手のコートを羽織り、
飄々と舞台に現れた。
 
他が全員黒づくめのいでたちなのに、翻る白いコートはあまりに突飛で、
思わず会場もどよめき、隣の友人も「えっ、何?どうした?」と声を上げていた。
 
「おうちには帰ってないけど、これも持ってきてますよ(笑)」というあたりか。
 
さて、物語は、7人の小さなオーケストラと、語り手、ふたりの踊り手という
極少数の登場人物で始まった。
 
ストラビンスキーの「兵士の物語」は、第一次世界大戦直後、もののない時代に
ないものを探すより、あるものを活かすという発想でできた音楽劇だという。
 
最後まで初めて目にする耳にする音楽劇にある種の戸惑いも感じたが、
その踊り手の身体能力や表現力の素晴らしさ、朗読の人物を語り分ける巧みさ、
バレエの動きや物語に合わせたオーケストラの演奏など、
次第に舞台に引き込まれ、眠くなったらどうしようという心配は全くの杞憂で
最後まで面白く観ることが出来た。

女優の鳥居かほりも踊り手として素晴らしかったし、
その鍛えた背中の筋肉の美しかったこと。
フジテレビのアナウンサーと結婚したタレントだと思っていたので、
その変貌ぶりにビックリした。
 
もし、普通のバレエ公演ならば、オーケストラはオーケストラピットにいて
観ることは出来ないわけだから、
オーケストラメンバーや語り部が舞台上にいるという演出は、
双方共に観ることになり、とても興味深かった。
 
一昨年、ニューヨークで観た「CHICAGO」も同じように演奏家達が舞台後方の
階段状のステージに並んで演奏していたので、それを思い出していた。
 
この舞台、「石田泰尚プロデュース」とある。
 
物語自体にヴァイオリンが重要なアイテムとしてでてくる。
劇中、バレエダンサーが弾いているかのように演奏するのが、
ヴァイオリニストの石田様だから、
オーケストラをオケピに閉じ込めるのではなく、見えていた方が面白いと考え、
こうした舞台に演出したのかもしれない。
 
いずれにせよ、なかなか観たことのない舞台を堪能し、
大雨がたたきつける夜のみなとみらいから家路についた。
 
3月はコンサートに行く計画がまだまだあり、
ブログを見ていてくださる皆様には
「この人、遊び過ぎちゃう?」と思われていると思うが、
一応、おうちには帰って、毎日着替えておりますので、ご心配なきよう。
おほほのほ・・・。


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