2017年6月25日日曜日

就職対策講座の非常勤講師

 
私の職業は版画家であったり、心理カウンセラーであったりと、
ちょっと得たいが知れないところがあるのだが、
それにもうひとつ、この時期は
横浜のパティシエ養成専門学校の非常勤講師というのが加わる。
 
教えているのは「就職対策講座」なる講座で、
内容のニーズからして、5月から9月までの期間限定の講座である。
 
元はといえば、コミュニケーションスキルの講師として(それも得たいがしれないが)
この学校の教職員向けのプログラムの講師として関わっていた。
 
それがいろいろ流転の末、
今はここ7~8年ぐらい学生相手に就職の内定を勝ち取るための講座を
オリジナルテキストを用いて、受け持っている。
 
もの作りを職業にしようとしている彼ら(私自身、版画家なんだから同じだが)は
往々にして、自分のことを言葉でアピールするようなことが得意ではない。
 
とはいえ、そんなことを言っていたのでは、エントリーシートをうまく書いたり、
就職の面接で自分を売り込んで、
内定を勝ち取ることが出来ないので、
いかにして「自己PR」するのか、「性格分析」して短所を長所へと導くのか、
「志望動機」でどれほど御社への就職を熱望しているのか、
語れることが必要になってくる。
 
それにはまず最初に第一印象をよくするための清潔感溢れるビジュアルも大切だし、
仕事が出来そうだなと思わせるかしこさとがたいの良さと、
人間関係を円満に築けそうだなと思わせる笑顔と溌剌とした物言いが求められている。
 
講座は夏休みをはさんで、週一で11回組まれていて、
夏休み明けには試験もあって採点評価もなされる。
 
他の「衛生学」とか「栄養学」みたいな国家試験にダイレクトにつながる科目と違い、
「就職対策講座」なんて、ただ聞いていればいいと考えている学生もいるので、
授業の合間合間に「これテストに出るわよ」と脅しを入れつつ、
ノートはちゃんと取るよう促す。
 
CMのダウンタウンの松本人志みたいに
「ノートを取るな、心に刻め!」と叫びたいのは山々なれど、
それで試験で赤点を取られると、後がめんどくさいので、ノートはとるように、
宿題はやってくるようにと口を酸っぱくして言っている。
 
そもそも就職して、社会人になる、パティシエやパン職人や和菓子職人になると
決めたのは自分なんだから、
その熱い想いを語って欲しいのだが、
案外、今どきの姉ちゃんやあんちゃんはそのあたりの熱が低い。
 
どうしてもあんなパティシエみたいになりたいという憧れの先輩もいないし、
ぜひ、どこどこのこれを創れるようになりたいというお菓子も知らないし、
何のためにパン職人になりたいのかみたいなきっかけもあまり見えてこない。
 
そんな薄~いかれらを鼓舞して、
ひとりでも多くに内定を取らせ、社会人として巣立たせるのが私の役目なのだが、
はてさて、今年の学生達はどんな結果になるのやら。
 
今週のテーマは「性格分析」、先週は「自己PR」、
来週はいよいよ「志望動機」だが、いかに・・・。
 
自分を知る。
自分を愛する。
 
相手を知る。
相手に焦がれる。
 
その難しい問いかけに答えを模索している。
 
今、目の前にいる乳飲み子の孫も、
いったいどんな女の子に成長し、将来、どんな職業に就くのだろう。
 
まだ、生後3週間にも満たない幼子相手に思いを巡らし、
あやしながら話しかけている。
 
「ねえねえ、志帆ちゃん、あなたは何が好きなの?何がしたいの?
何屋さんになりたいの?」と。
 
人が生きていくって、もしかして、最初から最後まで自分探しなんだなと
そんなことを考えている毎日である。
 
就活生、頑張れ!
しっかりしろ!
 
志帆ちゃん、頑張れ!
もっといっぱいミルクを飲んで!

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