2020年2月9日日曜日

『星に願いを』本摺り








個展に向け、ラストスパート。
あと2点の作品の本摺りを予定している。

サイズは小品の部類に入るが、
おうちに飾るにはちょうどいい大きさかもしれない。

紙風船を月に見立てたシリーズで、
この作品は夜空にたくさんの星があり、
一筋の流れ星の軌跡が月の脇に配してある。

タイトルはちょっとロマンティックに
『星に願いを』にした。

もちろん有名な『星に願いを』の曲を意識し、
夜空を見上げながら、
口ずさむような雰囲気の作品にしたつもり。

この作品を制作する時は
BGMには延々と『イル・ディーボ』のCDをかけていた。

イル・ディーボの4人の声は
全員聞き分けられるので、
とりわけ好きなセバスチャンの声のパートは
セバスチャンが自分にだけ歌ってくれているような気分で
顔を思い浮かべながら、
ばれんを動かしていた。

セバスチャンの声は
とにかくセクシーでなまめかしい。
彼だけがクラシック畑出身じゃないので、
邪道なのかもしれないが、
ちょっと鼻にかかったささやくような
それでいて艶っぽくて響く声がたまらない。

「声のいい男っていいよね~」などと
誰に言うでもなく
ひとりごちながら、
黙々と粛々と摺り続ける。

でもって、
作品タイトルが『星に願いを』である。

まったくの仮想空間に、
ひとりどっぷり浸りきりながら、
職人のように制作する。

妄想力がたくましくないと
木版画の作品制作はできない。

たったひとりこの世界に入り込んで、
誰にも邪魔されることなく、
新しい作品を生み出す。

やがて、できた作品に額縁というお化粧をほどこし、
みんなの前にお披露目する。

その時はすでに私の手元を離れ、
作品は一人歩きを始めるのだが、
アトリエで少しずつ版を重ね、
徐々に変化していく間、
作品は作家ひとりのものなのだ。

今日の作品は
イル・ディーボのセバスチャンが私に力をくれ、
暖かく見守り続けてくれた。

どんな歌や歌詞が私の背中を押してくれたか、
ここに書くのは野暮というものだ。

そんな風にして出来上がったこの作品。
歌詞のとおり、
なかなかロマンティックな作品になったのではないかと思う。

どうだろうか。

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