2021年2月13日土曜日

映画鑑賞「すばらしき世界」

 


カウンセリングの予約が急にキャンセルになったので、
始まったら行こうと思っていた映画を観た。

「すばらしき世界」
主演:役所広司
脚本・監督:西川美和
原作:佐木隆三「身分帳」

殺人を犯し旭川の刑務所で服役していた男が
出所するところから物語は始まる。

まっすぐで曲がったことを見過ごせない
カッとなると見境なくなってしまう男・三上正夫。

今度こそはまっとうに生きると決めてはいても
世の中の偏見、日本社会の非情、
13年間のブランクによる世間とのズレ、
思うに任せない世の中を知った正夫。

それでも、
出所後に関わることになる監察官とその妻、
近所のスーパーの経営者、
彼を取材するルポライター(小説家志望)
役所の担当者など、
かれらなりに温かく接する人々がいる。

しかし、元受刑者は
気持ちは今度こそとまっすぐに前を向こうとするが、
まっすぐ過ぎて、思わず暴挙に出たりして、
冷静さを見失い、立ちふさがる現実。

役所広司の演技力があってこそのこの映画だが、
それを西川美和監督が独特の感性で、
人間が生きるということを丁寧に描き出している。

「生きるとは何か」ということを
正面から捉え直し、
この世の中が、時に風が強かったり、寒かったりしても、
見上げてごらん、
空は広くて大きいから気持ちいいよと
教えてくれる。

自分が不器用で、
この世はままならないことだらけだし、
無力だと感じる時は、
少なからず誰にでもある。

そんな人たちを私はカウンセリングで
何人も目にしている。

私はそんな人たちに少しでも寄り添えたらと
カウンセリングを初めてちょうど10年ほどが経つが、
映画の中の彼と関わる人たちも、
それぞれの立場で彼に寄り添う姿が
とても印象に残った。

この映画には多くの著名人が
高い映画評を寄せている。
それを読んで、
そんなにいいならと映画館に足を運んだのだが、
期待を裏切らないいい映画だった。

エンディングは「すばらしい世界」というタイトルだから
ハッピーエンドかなと思っていたのに、
そうではなかったのだが…。

それでも「すばらしい世界」というタイトルについて
自分なりに考え、
「私もがんばろう」と思えた。

コロナ禍にもだいぶ飽きてきた。
ふさぐ気持ちもあるけど、
今、出来ることはしなければという
そんな気持ちが湧いている。


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