2月8日(日)
朝起きたら、夕べ降った雪が少し積もっていた。
とてつもなく寒い。
今日は選挙の投票日だが、
土日に関東地方にも雪が降るかも知れないとの
天気予報は知っていたので、
金曜日に期日前投票は済ませた。
みんな同じことを考えているらしく
投票所はぐるぐる長蛇の列だった。
きっとそうだろうと思っていたので
ひるむことなく15分ほど並んで投票した。
7日の土曜日は
今週は水曜日に人間ドックに行ったため
行けなかったお茶のお稽古に
振り替えで入れていただき、行ってきた。
帰りに寒いのでおでんのネタを大量に買い
夕飯はおでんをメインにしたので、
これで明日の夕飯まで
ご飯の心配をすることもない。
こうして、ひとつひとつ
すべきことを片づけて
今日からは新作版画の試し摺りと本摺りだ。
まずは和紙をカットするところから。
同じ大きさの作品が3点あるので
3点分の和紙を準備する。
美濃で梳いてもらった和紙を出してきた。
94×67㎝の大きさがあるが、
1枚からは2枚しかとれない。
相当、余分が出るがしかたない。
それはまた小品を創った時に使うことにする。
本摺り用の和紙を合計25枚カットし、
試し摺り用にも他の和紙から6枚分
カットした。
その間、テレビをつけていたのだが
NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」の
再放送をやっていて
15代片岡仁左衛門さんの特集だった。
仁左衛門さんがまだ片岡孝夫だった頃、
私はよく坂東玉三郎とのコンビで
歌舞伎座に出ている仁左衛門さんを
観に行っていた。
「玉孝コンビ」と呼ばれ
美男美女のふたりは大人気だった。
そんな仁左衛門さんも今は相当歳をとられ
大きな役はもう体力的にできないという。
1か月の公演中、千秋楽を目の前にして
ふらつきを覚え体調不良でお休みした。
それでも這うようにして
千秋楽の舞台には立ったという様子が
画面いっぱいに映し出されていた。
花道を帰るその眼には涙があふれ
化粧した頬を伝っていた。
座右の銘は「手に入れるな」
追い求めているものを
手に入れたと思ってしまうと
その先の成長がなくなる。
だから手に入れたと思わず、
まだ手に入れていないと思って
精進することが大切だという。
和紙を切りながら、
折しも、芸術というものはそうして
「常に追い求めるもの」と
言われたような気がした。
自分はそこまで命がけというほど
版画に向き合っているわけではないが、
最近、第四腰椎すべり症が発覚し、
痛み止めを飲む毎日だし、
どこかでまた立ち眩みになるかもと
不安におののいているあたり
命がけと言えなくもない。
朝は止んでいた雪が
10時ごろにはしんしんと降りだした。
寒さのギアが1段上がって
めちゃくちゃ寒い。
しかし、雪の降る日は外の音がしない。
音が吸い込まれているのか
静かに自分と向き合うことが出来る。
お昼に昨日作ったおでんを食べ、
仕切り直しをしたので、
午後は3点の内の1点の試し摺りをした。
小ぶりの作品なので色数も少なく
メインに使いたい色から摺ってみると
他の色も自然に見えてくる。
全体のイメージが掴めると
試し摺りは案外、スムーズに進む。
「手に入れるな」と
さっき聴いたばかりの言葉を自分に投げ
細かい色のいくつかにダメ出しをして
別の和紙にそこだけ摺り直した。
はさみで周囲を切り落とし
のりで貼り付けてみる。
1度目の摺りよりいい感じ。
そんなことをいくつか繰り返した。
その後、絵具で汚れそうな彫りの甘い部分を
修正したり、
もっと飾り彫りでこうした方がいいと
思う部分を彫り直したりした。
試し摺りというのは
本摺りとは違う神経を使うので、
実は
最もアーティスティックなパートだ。
「彫り師」と「摺り師」は職人だが
その中継にあって「絵師」に近い。
原画を描く時の「絵師」とは違うが
色を決めたり、彫りにダメ出しをするのは
「絵師」の役目だからだ。
それこそどれだけ自分に
「手に入れるな」と指令が出せるか
試されている工程なので
たまたまつけたテレビにも
意味があったと感じる。
仁左衛門さんも千秋楽の舞台に立てたことに
涙していたが、
私も職業病ともいえる痛みや不具合を
なだめすかしてもう少し制作しようと思う。
夕飯は、おでんはまだあるけど、
ポークフィレのソテーと
ゆず大根でも作ろうかな。
そんなことを考えながら
一呼吸ついているところである。
(一服ではない)











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