2週間に渡る個展の会期中には
本当に多くのお客様に来場いただいた。
あらかじめ300枚以上のDM(案内状)を
お送りし、
画廊側からも300枚出ているが
実際に会場に足を運んでいただけるのは
その一部にすぎない。
自分自身、銀座は本当に遠くなって
以前のように気軽にいく場所ではなくなっている。
それは他の友人知人にとっても同じこと。
まして連日の雨模様では尚更である。
そんな中、銀座まで足を運んでくださったのは
いつもの生活で仲良くしている方、
お世話になっている方、
昔、どこかのタイミングで同級生だった方、
長年の知り合いで個展には必ず来てくださる方、
この度、初めて声をかけて来てくださった方など。
言ってみれば
絵を見るのが楽しみ・萩原の絵が好きという方と
久しぶりに萩原に会いたい方という気がする。
どちらかというと後者の理由で
銀座までお運びいただけていると思うからこそ
毎日、会場に出向くのが作家の務めと心得、
私は毎日綺麗にして「銀座の女」を
相務めた。
そして、個展であるから販売もしているわけだが、
お客様には
「よし、今回は気に入った作品があったら是非1枚」
と思っている方と
そんな気はさらさらない方とに分かれる。
何が「気にいった作品」になるのかは
人それぞれだけど、
作品からご自分の信条や生活につなげて
物語を紡げた時が
「気に入った」時だという気がする。
通常、展覧会には作家はいないので
絵を見ていろいろなことを想像したりして
絵を鑑賞することがほとんどだと思う。
しかし、個展の場合は作家が会場にいて
その作品にどんな思いを込めたとか
どんなコンセプトで制作したかなど
作品の背景をお話しすることができる。
私の場合はとりわけ具体的なモチーフが
出てくるので
なぜ白鷺か、なぜシマエナガか、
なぜ紫陽花か、なぜ蓮か、なぜむくげなのかなど
それぞれの作品の前で説明することが出来た。
多かった質問は
大きな作品の背景に使われている楽譜は
「何の曲ですか」というもので
「ショパンの雨だれです」と答えると
大抵の方は「ほほぉ」という反応を示した。
(どんな「ほほぉ」かは存じませぬが…)
今回のDMに使った『凛として』は
「白鷺立つ」という小説の表紙のために
創り下ろした作品で
「比叡山延暦寺の僧侶が千日修行に出る時の
白い衣と蓮の葉を象った被り物をかぶっているが
それがまるで白鷺のようだというところから…」
といった説明をした。
その話が亡くなった旦那様の生い立ちとつながり
タイトルの込めた思いに共感してという具合で
その作品に入り込まれたりする。
お求めくださった方々は
それぞれ共鳴する思いがあって
作品を選んでくださっている様子だ。
もちろん中には
「長いお付き合いだから、そろそろ1枚」
といった方もいらっしゃるけど、
それでもこの1枚と思って選ぶときには
大きさや値段だけの判断基準ではなく
何かその作品にかけた思いがあるのだと思う。
今回、お求めいただいた作品の中で
一番大きな作品は「雨の音色」だ。
正面のメインの壁に1枚だけ飾った作品だ。
ちょっとやそっとのおうちでは
飾り切れない大きさだと思うが、
以前から私のことを可愛がってくださっている
ご夫婦がさらりと決めてくださった。
聞けば、三男さんが山梨の大学教授になられ
おうちを新築なさったのでそのお祝いにとのこと。
「本当はしばらくご自宅に飾ってからと思ったけど
まあ、お祝いだから送ってくだい」
ということだった。
どんな豪邸なのかしらと少し心配だけど
この作品を気にいってくださってと
心が弾んだ。
どうか贈られた三男さんと奥さんの
お気に召しますようにと願うばかりだ。
そんな風に毎日、どなたかが作品に
赤丸印(お買い上げ予約)をつけてくださる度に
その作品を選んだ理由を話してくださるのが
個展における望外の喜びだ。
この作品はまだ見ぬお宅のどこに飾られ
その方の人生に寄り添うことができるのか。
お求めいただいた作品は
いつでも娘を「お嫁に出すような親心」で
真心を込め梱包し、配送手続きをする。
「どの子も元気でいてね。
可愛がってもらうんだよ」
の気持ちを込めて。
12人の娘達、
行ってらっしゃい!!








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