2014年1月17日金曜日

鳥の名は

 
 
 
目下、真四角の大きな作品の彫りに取り組んでいる。
1月中になんとか版のすべてを彫り終え、
2月には試し摺りから本摺りまでやり果せたいと思っている。
 
なぜかと言えば、
2月下旬にプロのカメラマンによる作品撮影が予定されており
我が家まで来ていただくことになっているので、
それまでに間に合わせて、この作品も一緒に撮ってもらうつもりだからだ。
 
今回の作品は30年前から手がけている鳥のシリーズといってもいい。
ここ何年も画面に鳥は登場していないが
久々に鳥を使って、今考えていることを表現したいと思って原画を作った。
 
80㎝×80㎝の大きな画面いっぱいに紐を口にくわえた鳥が羽ばたいている。
まだ、この版を見ただけでは、どんな作品なのか
どんな色合いなのかわからないと思うが、
私の頭の中にはすでにイメージが湧き上がりつつある。
 
それを見透かしたように、
水曜日に我が家に来ていたなでしこの会のメンバーのひとりがこう言った。
「この鳥、ブッポウソウですか?」
 
エッ、何で分かったの?
 
小さな小さな青い鳥ブッポウソウがモデルなのだが
巨大化されているし、色もなにもついていない版木の状態で
それが分かってしまったなんて。
 
ちょっとビックリしたが
私の頭の中には青い鳥が大きな羽根を拡げ
夜空のような深い藍色の闇に飛んでいるところがみえている。
 
丸く見えている部分は木のリース。
そこに鳥が口にくわえた細いリボンをかけているところだ。
 
ブッポウソウは感じで書くと仏法僧。
その姿がお坊さんに見えるというのだろうか。
 
この作品、『輪廻転生』がテーマなので、
ここにお坊さんが登場するのは意味ありげでいいかもしれない。
 
作家(もちろん私のこと)は単に青い鳥が欲しかったから使っただけだけれど
後付けでいろいろ考えながら、
ひとりアトリエに籠もって彫り進めていくのは楽しい作業だ。
 
「にしても、なんでブッポウソウと分かったんだろう。今度、訊いてみようっと・・・」
とかって、独り言が多いから、誰かに聞かれないよう気を付けながら。
 



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