2014年9月19日金曜日

キモノ委託販売の現実

出戻りむすめ達


友人が夏の初めに夏物のキモノと帯2枚ずつ、計4点を
キモノリサイクルショップの委託販売に出したところ完売したというので、
昨日は「それなら私も」と茶箱とキモノタンスをひっくり返し
選び出した10点を風呂敷包みにして、店に持ち込んだ。
 
友人がその店に委託に出した時も査定に立ち会ったので、
ちょっとした襟汚れや何かのシミなどみつけてはチェックされ、
寸法を測っては、
「今の人は大きいから『女並み』だと小さいのよね」と嫌味を言われるのを
側で聞いていた。
 
せっかく大枚かけて求めたキモノも
いろいろな思い出のある品も何もあったもんじゃない。
その時もずたぼろな言われようだった。
 
それでも以前、洋服のリサイクルショップにブランドものの洋服を持っていって
どれもこれも1枚100円とか150円とか言われたのに比べれば、随分マシだ。
 
値段で言えば5000円から20000円ぐらいで委託販売してくれ
売れたときには売値の50%が入るしくみだ。
 
友人の夏物がそんな調子だったから冬物はもう少し高値で・・・という思いもあって
大風呂敷いっぱいかついで持ち込んだ私だったが、甘かった。
 
まず、風呂敷をほどいた段階で
査定の30代とおぼしき女性に
「樟脳の匂いが相当きついですねえ。けっこう匂いは嫌がられるんですよね」と
まずは先制の一発目。
 
「古いものは茶箱の中で塩漬けでしたからね・・・」と私。
それに返して査定の担当者。
「匂いってご自分では案外分からないものですけど、他の人にはきついんですよね」
と、まるで口臭か何かが強烈に匂っているのに気づいていないかのような
言われよう。
 
そして、いよいよ10枚の細かい査定が始まった。
 
今回は茶箱を空にしたいというのが私の目的なので、
確かに30年ものの古漬けキモノと帯が何枚か含まれる。
 
そうしたキモノはほとんど汚れはないつもりでいても、
タンスの中にいただけで経年のシミがあちこちに浮き上がってきている。
それを鬼の首でもとったかのように、担当者はいちいち指摘する。
 
結局、それが理由で10枚の内、3枚は預かり拒否になってしまった。
エントリーさえ出来ない出戻りむすめ達だ。
もはや出戻ってきても捨てるしかあるまい。
 
引き受けてもらった他のキモノや帯も
やれ今はこんなにびかびかした緞子のキモノははやらないとか
柄が若い子向きだけど、寸法が小さいから合う人がいるかしらとか
若い子は出して2万だから、1万5千ぐらいにしておいた方がいいんじゃないかなどと
言いたいだけ言われてしまった。
 
結局、値段も友人の夏物同様、5000円から20000円で手を打つことになり、
たとえ全部売れたとしても10万円、取り分はその半分ということになる。
 
もはやそうしたやりとりの中で、
売ってすこしでもお小遣いにしたいなんていう気持ちは消え失せ、
茶箱とキモノタンスに少し空きができて、身軽になったことが嬉しい
ただそれだけという考えに変わっていた。
 
友人も「大した金額にはならなかったけど、誰かが気に入ってくれて着てくれるかと
思ったら、それが嬉しい」と言っていたが、まさにその通り。
 
今は誰かの目に止まって、お嫁にいきますように
そう願うばかりだ。
 
車も洋服もキモノも、中古となると二束三文になってしまう現実に
相当、心も傷つく。
 
1度自分のものになったものは
大切に扱って、長く愛着をもって着る、それが何よりと痛感したのであった。


0 件のコメント:

コメントを投稿