2015年6月3日水曜日

イタリア紀行5  恐るべしミケランジェロ

 
「最後の審判「はヴァチカン市国の中の美術館内にある
内部では一切話すことが出来ないので、解説は外の庭で聞いてから入場する
 
サン・ピエトロ大聖堂の中にある「ピエタ」
ミケランジェロの代表作で今は防弾ガラスの向こうに鎮座している
見ていると涙が出そうになる
 

サン・ピエトロ大聖堂のクーポラ(ドーム)
この部分もミケランジェロが手がけたというのを初めて知った
 
サン・ピエトロ広場の門の前に立つ衛兵
派手でかっこいい制服のデザイナーはこれまたミケランジェロらしい
 
その昔、大学3年になる前の春休み、
同級生と一緒に約40日間の「ヨーロッパの美術館巡り」の旅をしたことがある。
 
航空券だけ手配して、あとはホテルも何も決めずに現地で手配するという
今考えると若い娘が行くには随分無謀な旅だったと思うが、
その時一番長く滞在したのがイタリアだった。
 
約2週間の間、ローマ・ミラノ・フィレンツエ・アッシジと周り、
特にローマとフィレンツエにはそれぞれ5日ぐらい滞在してゆっくり美術館を巡った。
 
その中でも強烈に印象に残っているのが
ヴァチカン市国にある「最後の審判」とシスティーナ礼拝堂、
サン・ピエトロ寺院にあるミケランジェロの残した彫刻群だ。
 
ミケランジェロはいわずとしれた彫刻家だが、その才能は彫刻だけにはとどまらず
「最後の審判」も「システィーナ礼拝堂の天井画も
サン・ピエトロ大聖堂のドームも手がけたというから本当に驚きだ。
 
もはや人ひとりのなせる技と量ではないと思うし、
いくら弟子に手伝わせているとはいえ、
実物を見るといずれもあまりに巨大で、
同じものを創る人間として言葉を失うしかない。
 
美大の学生時代、30数年前もそれらを見あげて、
「これだけの仕事をなした芸術家がすでにいるのに、
日本人の私がこれから先、
ルーツにない油絵を描き続けても越えられるわけがない」と
研究室を油絵から版画に変える引導を自分に渡すことが出来たと思っている。
 
それから今日まで、木版画家としてなんとか制作・発表しつづけてきたが
今回また、ヴァチカンで多くのミケランジェロ作品を観て、
あらためて嫌になるほど偉大な作家だなと感じ入ってしまった。
 
その上、衛兵のあんなポップでかっこいい制服までデザインしたなんて
才能があふれていて、羨ましすぎる。
 
「イスタンブールを見てから死ね」とか
「ローマを見ずして死ぬな」とかは聞いたことがあるが、
私はみんなに「ヴァチカンを見て死ね」といいたい。
 
あの圧倒的な建造物と彫刻群。
「最後の審判」をはじめとする壁画群。
 
キリスト教の総本山として信仰のパワーも充満しているから
ますますもって凄いのひとことしかでてこないだろう。
 
それを肌身で感じて、鳥肌が立つような感覚と、
涙が出そうな感動を体験してほしい。
 
私はキリスト教徒ではないけど、
宗教の牽引する力の大きさに打ちのめされ、
自分が日本人であることをどう考えたらいいのかみたいな
大きなテーマがドドーンを押し寄せてきて、
旅行の最終日、すっかり
「ヴァチカンにもう一度こなくちゃ」という後ろ髪ひかれ隊になってしまった。
 
イタリアは個展が終わったリフレッシュ旅行のはずが、
お腹いっぱい胸いっぱい、
まあ、新たな課題をもらってよかったのかなと思っている今日この頃である。
 
 

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