2016年6月27日月曜日

東北六魂祭とブナの森

 
 
 
 
 
 
去年の夏休みを取り損ない、今月も15日間連勤でヘロヘロだという次女を連れ出し、
無理矢理休みを取らせて、3日間、青森と秋田に行ってきた。
 
旅のメインイベントは『六魂祭』といって、東北六県のお祭りを
順番に開催地を変えて、集結させて開催するという催し物を観ることだった。
 
しかし、その他にも初日は白神山地でブナの林で森林浴し、
吸い込まれそうな青池のブルーに目を清め、
3日目は奥入瀬清流のマイナスイオンを浴びて身も心も清めるというのが目的。
 
要は日頃の疲れを癒し、
祭りの活気でパワーを注入するという旅である。
 
しかし、現実には出発日の集合は
朝6時40分、羽田空港JALの団体カウンターだったから、
朝、4時過ぎには起きだして、
遅刻しないように5時50分の電車に乗り込まなければならなかった。
 
ひとり暮らしの次女など、徹夜明けの体でそのまま駆けつけ、
飛行機に乗っても、バスに乗り換えても、
どこかに座れば即、寝始めるという状態で、
なんのために青森くんだりまでひっぱりだしたのやら・・・。
 
それでも、白神山地のブナ林の黄緑色に全身染まり、
雨上がりの冷たい空気がほおをなでる頃には、
胸の奥にマイナスイオンが染み渡り、
ようやく少し日々のストレスが溶け出していくような気がした。
 
1日目でだいぶ命の洗濯をし、
2日目は今年の開催地青森の青森駅周辺で祭りのパレードとイベントを楽しんだ。
 
けれど、この日は時折小雨が降る寒い日で、
何より相当な強風が吹いていたため、
秋田の竿灯祭りのパレードが中止になってしまった。
 
一度、その勇壮、かつ華麗なさおさばきを間近で観てみたかったが残念。
前の日に風で煽られたさおが1機人垣に倒れてけが人が出たとあっては、
主宰者側は慎重にならざるをえない。
 
しかも、一番のお目当て、青森のねぶたの山車3機の内、2機も取りやめになり、
目の前を練り歩いたのは1機だけというのは、
ちょっと寂しい。
 
2日間で全国から観に来た観客は27万人と発表され、
たしかに凄い人混みだったけど、
気温15度の寒さでは踊り手たちもどこか寒そうでお気の毒。
 
夏祭りは暑いからこその夏祭りなわけで、
だれも買わないアイスクリームやサイダーの屋台は、
呼び込みの声も震えている。
 
青森ねぶたの山車の迫力と、その立体的な造作は観るものを圧倒するし、
その4tもある巨体を大勢の男衆が回す様は、
思わず歓声が上がるし、興奮するが、
やはり昼間のパレードではその美しさも迫力も今イチだ。
 
次はきっと8月のねぶた祭りに来よう、
そして、夜のパレードに参加して、
その勇姿とハネ子の熱気を間近で感じよう。
 
そんなことを思いながら、
今回は昨年の賞を射止めたいくつかの山車を展示してある展示場を観て廻った。
 
そこは暗がりの中に山車が浮かび上がるように展示してあるので、
夜観た時の臨場感が感じられるのだ。
 
そうした旅の日程の中でも次女の仕事は追っかけて来ており、
次女は旅行にパソコンを持ち込み、
夜中にゴソゴソ起きだし作業し、やりとりしたり手直ししたりしている。
 
可哀想だとは思うが、母親に出来ることは何もないので、
せめて気持ちが切り替わるよう、
旅行に連れ出すくらいしかできないというのに、
そこにも仕事から逃れられない現実が待っているのだから、お手上げだ。
 
3日目は奥入瀬の散策や発荷峠の展望台など、
また大いなる自然の中で、心というズタ袋のお掃除。
 
誰しも現実というストレスフルな環境の中で、
何とか心と体の均を保ちながら生きている。
 
そんな日々の中で、心に点滅信号が灯った時は、
思い切って自分を自然の中に解放する。
 
できれば、パソコンは開けないで・・・。
 
そう願いつつも、日中何度もスマホに届くメールをチェックし、
温泉にも入らず仕事して、
唯一、Wi-Fi環境のあるホテルのロビーで、真夜中にデータを送っている次女の姿に、
現実の厳しさを見せつけられ、諦めのため息をついていた。
 
人間は豊かに生きていくことのなんと難しいこと。
 
美味しい空気を吸い、
美味しい水を飲み、
自分の生まれた土地の惠や伝統を守って生きていく。
 
そんなプリミティブな歓びを知っている東北の人達が羨ましく思えた。
 
都会に生きる私達も、こうした機会に自分を見つめ直す
それが旅の目的なのかもしれない。
 


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