2017年12月3日日曜日

久々の飾り彫り

 
 
1ヶ月ぶりに彫刻刀を握って、途中だった新作の彫り作業を進めた。
 
夏から秋にかけ、例年より頑張って版画家業にいそしんでいたのに、
なぜか11月に入って、ぱったりそれがお休みモードに入ってしまった。
 
11月始め、娘と孫が3泊4日で泊まりに来たのを機に、
アトリエを掃除し、木くずや絵の具のない状態にしたせいで、
気分的に途切れてしまったものと思われる。
 
今日はさすがに何とか取り戻さねばと、日曜日だというのに彫り台にかじりつき、
作品のメインパート、藁の船の飾り彫りに着手した。
 
この作品は初孫が生まれて、
赤ちゃんがもたらす幸福感や生命の神秘、
次世代に受け継がれていく命のバトン・・・など、
そのすべてが新鮮に感じられた感動を具現化したもの。
 
藁の船はその小さな命を抱きとめるゆりかごであり、
天国からおりてきた船をイメージしているので、
作品のメインモチーフである。
 
一昨日、娘にベビーシッターを頼まれ、生後約6ヶ月になった志帆に会ってきたが、
いつもニコニコ笑顔の安定した情緒、
笑えるほどプリプリもちもちの腿やふくらはぎ、
叫び声とも話し声ともつかない大きな声のおしゃべり、
始めたばかりの離乳食で、酸っぱさに顔をしかめながらもすったリンゴを食べる様子、
どれひとつとっても可愛いし愛しい存在だと再確認した。
 
そんな半年間の成長ぶりと、半年前の初めて会った時の感動をすり合わせながら、
この作品で何を表現するのか、
色彩はどんな感じにするのか、
ひとりアトリエで考え続けた。
 
かたわらでアルゼンチンタンゴのCDをかけながら、
こうした時間こそが本来、自分が大切にしていた時間だったと自省した。
 
季節は12月に入り、あとひと月で2017年も終わるかと思うと、
ただそれだけで気ぜわしい気分になるが、
12月前半でこの作品の彫りをすべて終え、
新しい年を迎えられたらと思う。
 
それにしても、2年前、首筋を痛めた影響で、左腕に再発した神経痛が毎日、痛い。
 
温泉に行っても、美味しいものを食べても、
版画から離れて力仕事をしなくても、痛みはひかない。
 
何か病を得て、それとつきあいながら生きていくのは辛いものだ。
 
多かれ少なかれ、人は肩が凝っただの腰が痛いだの、
もっと重篤な病が身に降りかかったりしながらも、
それでも生きている。
 
自分も病を得ることで、人の痛みがわかる大人にはなれるのかも知れないが、
生きるモチベーションが下がるのは困りものだ。
 
この痛みを何とかやっつけて、
気兼ねなく新作に取り組める日がくることが、今の1番の願いだ。
 
一応、気休めに叫んでみるか。
 
「ちちんぷいぷい」
「痛いの痛いの、飛んでいけ~!」
 

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