2017年12月5日火曜日

作品収蔵 決定

 
 
今年の2月、
中国の国際版画展に出品するために中国に送ってあった作品2点が、
Chaina Printmaking Museumなる美術館に収蔵されることになった。
 
この展覧会はガンラン国際版画ビエンナーレ展といい、
2年に1度、中国のガンランという都市で開催されている。
 
私が所属している版17という版画家グループのひとりから、
展覧会に出品するためのエントリーフォームが、
メールに添付されて送られて来たので、
英語の長文読解の末、何とか写真の2点の作品を中国に郵送した。
 
それが2月の真ん中辺りで、まだ、その頃は帯状疱疹の傷も癒えておらず、
痛みも残っている時期で、
痛む脇腹を抱えながら、荷造りしたのを覚えている。
 
展覧会は5月半ばから6月半ばに開催されているはずだが、
観に行ったわけでも、賞を取ったと連絡があったわけでもないので、
ただ、作品が返却されてこないので、
入選して展覧会場に飾られているかなとは思っていた。
 
その後、展覧会のことは忘れていたが、
1週間前、私が友人と東北に旅行している最中に、
スマホに長い英文のメールが届いた。
 
最初にガンランの英語表記の文字があった時、
何かな?とは思ったが、スラスラ英文を読む時間も英語力もなかったので、
そのままにしていた。
 
すると、3日後、また同じ内容とおぼしきメールが送られてきた。
 
さすがに何だろうと、一生懸命読んでみると、
「あなたの素晴らしい作品のお陰で、今回の展覧会も無事、成功裡に終わった」と
中国らしい持ちあげようで、その文章は始まっていた。
 
「今回は世界中から4054点の応募があり、354点の作品が選ばれた」
 
「展覧会後は、あなたの作品『RAN』と『EN』を、China Printmaking Museumの
収蔵作品にしたいので、寄付するか、最低価格を提示して欲しい。」
 
「ただし、あなたの提示価格が高すぎた場合は、作品を返送するしかない」
 という内容が、もう少し丁寧な文章で書かれていた。
 
よく読むと脅迫されているような気もしないではないが、
国際的な大きな美術館への収蔵では、寄付してくれと言ってくるのは
よくある話だ。
 
下手な額を提示して、予算に合わないと突き返されては大変なので、
この名誉ある「美術館収蔵」の機会を逃すまいと、
早速、「光栄です。寄付させてください」と返信した。
 
以前、日本を代表する版画家のおじいちゃんから、直接、電話をいただき、
「今回の展覧会で作品を欲しいと思ったのは、あなたの作品だけだよ」と言われ、
コレクションの1枚にしたいんだけど価格はいくらかと訊かれ、
何も知らない私は上代価格は20万円だと答えたところ、
「そりゃ高くて買えない。残念だけど、あきらめるよ」と言われたことがある。
 
それを版画協会の上の人に話したところ、
「それは光栄です。ぜひ、寄付させてください」って言うんだよと、諫められた。
 
その事件以来、誰かから、直接、収蔵したいと申し出られたことはないので、
(版17で出品した台湾やチェコの美術館に、
そのまま展覧会後に収蔵になったことはあるが・・・)
今回のメールを見た時、思わず、「寄付します!」と答えてしまった。
 
というわけで、写真の2作品は、
中国の版画美術館に収蔵されることが決まった。
 
たぶん、一生のうち、その美術館に行くことも、収蔵作品を見ることもないだろう。
 
それでも海を渡ってお嫁入りした作品があることを誇りに思うし、
時折、今頃、どうしているかななんて思いを馳せることだろう。
 
 作品は我が子同然、
娘が国際結婚したような気分なのだ。

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