2019年8月25日日曜日

珠玉のイタリア名画2題

 
 

 
「午前十時の映画祭」というタイトルで、
かつての名画をピックアップし、
午前十時から1日1本、上映するという企画がある。
 
それが10年間続けられ、遂に来年の3月で終了する。
 
私もこれまでに何回も映画館に足を運び、
以前、スクリーンで観たものを再び観て、懐かしんだり、
当時は映画館では観なかったものを大きなスクリーンで観たりして、
楽しませてもらった。
 
この夏の終わりに、
3本立て続けに、イタリア映画が上映されるので、
イタリアものが好きな私にとって、
外せない映画ウィークとなっている。
 
先ず、8月22日には「ローマの休日」を観た。
 
言わずと知れたオードリー・ヘップバーンの代表作。
テレビでも何度か観た記憶はあるが、
最初に映画館にかかったのは1953年なので、
私はギリギリまだこの世に生まれていない。
 
モノクロの映画で、ローマを舞台に、
欧州歴訪中の小国のアン王女とアメリカ人新聞記者ジョーとの
ロマンティックで切ない2日間だけのラブストーリー。
 
ヘップバーンの可憐でキュートでチャーミングな容姿と表情。
グレゴリーペックのおじさんだか若いんだか分からない風貌と振る舞い。
 
新聞記者であり平民のグレゴリーの記者魂とジェントルな決断。
気品あるオードリーの魅力をあますところなく映し出し、
更に、モノクロなので、格調高い映像に仕上がっている。
 
カラーで4Kだ、やれ8Kだなんていうより、
モノクロの方が美しい。
 
2日間だけの夢物語で、
結局は現実に引き戻ってしまうのだから、
現実的ないろいろなものがはっきり見えてしまうより、
白黒画面がふさわしいと思わせてくれる名作だ。
 
映画館を出る私は現実に引き戻されたわけだけど、
某アメリカ人ボーイフレンドとのことが思い出され、
しばし浮き浮きしていた。
 
「生きていくって大変だけど、時に非現実にトリップして、
ワクワクするのも必要よ」と、
誰に言うともなくつぶやいた。
 
そして、8月25日。
今日は「ニュー・シネマ・パラダイス」
 
こちらもイタリア名画中の名画と言えよう。
 
シチリアの小さな村の映画館パラダイス座が舞台。
まだ時代は映写技師がフィルム映画を映写機にかけ、
スクリーンを小窓から覗きながら、微調節しながら映し出す時代。
 
映写技師アルフレードのそばにまとわりついて、
映写に興味津々な少年トト。
 
こちらは1988年に放映されているので、
カラー映画なのだが、
昔のイタリアの村の情景や
娯楽が映画ぐらいしかなかった時代のイタリア人達の様子は、
モノクロームで観ているような錯覚を覚える。
 
全編に流れる有名なテーマ曲が、
そのノスタルジックで温かく、どこか滑稽なシーンに豊かな香りを加え、
トトのいたずらや火災の場面ですら、
懐かしさと優しさで包み込む。
 
亡くなったアルフレードが残してくれたフィルムには
昔、トトが欲しがったけどもらえなかったものが映し出され、
思わず、涙と微笑みがこぼれた。
 
幼い頃の思い出、温かな人と人の交流、
もう何十年も帰っていないけど、忘れがたい故郷の街、
時代と共に変わっていく世の中に流されそうな自分、
切ない恋の記憶。
 
そんな誰しもが、どの時代であっても持っているような感情を
そっと包み込み、抱きしめてくれる。
 
私のイタリア映画好きは、この後、
フェデリコ・フェリーニで爆発。
学生時代には上映される度に観に行き、
自分の作品にも影響を及ぼすことになる。
 
今まで、訪れた回数と日数が1番多い国もイタリアだ。
どこか日本人の感性と通じるところがあり、
尚かつ、刺激的魅惑的な国だと思う。
 
あ~あ、いいなあ。
イタリア。
 
今日はパスタとカプレーゼにでもしようかな~。
 
じゃなかった。
久しぶりに餃子と春雨サラダにするんだった。
「現実~!!」

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