2021年5月17日月曜日

大量の釉薬かけ

 








通っている陶芸教室の作陶展が
9月中旬に迫っている。

時間は多少あるように思えるが、
器に釉薬をかけて
本焼きに出すことができるのが、
5月後半と8月後半の作陶日しかないので、
そう考えると悠長なことは言っていられない。

窯で焼くという作業は先生に一任なので、
3か月に1度しかチャンスが巡ってこないのだ。

ゴールデンウィークの工房のカレンダーは
真っ赤に埋まり、
連日、陶芸の体験教室は大入り満員だった。

先生がひとりで教える役を引き受け、
おいしいところだけ体験の人は作って、
前後の土を練ったり
削ったり釉薬かけたり焼いたりの部分は
これまた先生がひとりでしているので、
焼き待ちの器が大渋滞だ。

なので、工房の会員の作品は後回しになりがちで、
かといって
誰も体験の人の作品を手伝うわけでもないので
先生のぼやきが聞こえてきそうな今日この頃。

そんな先生の状況を知っているくせに、
今回も大量の器を作陶し、
先週の土曜日の作陶日に釉薬をかけたのだが、
それだけでは時間が足りず、
本日月曜日にも工房に出向き、
残りの器に釉薬をかけることにした。

この3か月で大小54個もの器を作陶し、
土曜日に30個、
月曜日に24個の器に釉薬をかけた。

土曜日は
「失透=白」「黄瀬戸=黄土」「織部=渋茶」
この3色の釉薬をかけるシリーズのものを
てがけた。

同じ土曜日のメンバーで失透と織部をかける人が
いてくれたので、
私は黄瀬戸の攪拌を担当し、
みんなで釉薬の攪拌部分を分業して、
無事に自分の分、30個の器に
釉薬をかけ終わった。

土曜日にてがけた器は
ひとつに3色の釉薬がかかるシリーズで、
ファンがついていて、
すでに受注して作っているものである。

土曜日はあまりに作業が立て込んで、
写真を撮るのを忘れた。

今日は誰も会員はいない日に
工房の使用料だけ払って使っているので、
途中、撮影もしながら、
ひとり粛々と3色の釉薬を攪拌した。

1色につき15分ぐらい攪拌するので、
3色をひとりでかき混ぜるのは
それだけで腰にくる作業だ。

本日は
「黒天目=黒」「酸化ナマコ=紺」「失透=白」
この3色をかける器ばかりを残してあった。

こちらのシリーズはテープワークといって
メンディングテープを使って
ストライプの模様を作り、
釉薬をかけた後にテープをはがすと
そこだけ釉薬がのらないという手法を使っている。

テープをはがすと、
そこには土の色が出ることになるので、
あらかじめ土に「練り込み土の黒」を混ぜ、
グレーの器に焼きあがるように作ってある。

この手法はこの工房では私しかしていないので、
作陶展に出した時に
「萩原」のものであるという証になるだろう。

今日、釉薬をかけた24個は
素焼きの段階でやや反りが出ているものが
いくつかあり、
これは本焼きで是正されるのを祈るばかりだ。

釉薬をかけ、裏の撥水剤の始末をし、
本焼きに出してしまうと
あとは自分にできることは何もない。

体験教室の人が作ったあまたの器を横目に
「本焼き、宜しくお願いします」と声をかけ、
工房を後にした。

版画も出来上がった作品からは
想像もできないめんどくさい作業が裏にはある。

陶芸もしかり。
体験工房に来た人ほどお気楽じゃないが、
会員も素焼きと本焼きは先生に任せてしまっているので、
だいぶお気楽だ。

それでも途中でひびが入ったり、
釉薬がうまく発色しなかったりしたら、
会員は「えーっ、なんで!」などと
ぶつくさいう。

物を作るということは
そういうこと。

買った方がずっとリーズナブルだし、
けがして血を観ることもないし、
肩や腰も痛くならない。

それでも辞められないのは
ひとえに作ることそのものが好きだから。

帰りがけ、先生に
「大量過ぎてご迷惑なので
焼きあがった頃に車で取りにきます」と言うと、
「6月の講評会まで待って。
これだけ3か月でできたことを皆に見せた方が
他の人の勉強になるから」と言われてしまった。

呆れているというか、
困っているというか、
先生の気持ちは計りかねるが、
会員の中でもダントツの作陶量に対して、
何か講評会で「モノ申そう」ということらしい。

ヤレヤレ。
お疲れ様。






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