2022年2月5日土曜日

摺りと諸々のせめぎ合いの日々

 








2月に入り、月の半ばまでには
新作版画の試し摺りと本摺りを終えること、
これが自らに課したミッションだ。

試し摺りには少なくとも2日間、
本摺りにも丸2日間は必要で、
試し摺りの出来によっては、
本摺りまでに版を調整したり、
色の微修正をしたりしなければならない。

自刻自摺の版画家にとって
この期間は
最もナーバスな数日間ということになる。

それなのになぜか2月は
カウンセリングの予約が多く、
もう何年も通っているおなじみさんの他に
昨日も一昨昨日も新患さんが入ってきた。

とはいえ、それをお断りしてしまうこともできず、
引き受けた合間に
試し摺りと本摺りをやりおおせようというので、
気持ちの切り替えがたいへんだ。

具体的にいうと、
昨日と一昨日が試し摺りなのに、
昨日は新患さんの予約が午前中に入った。

今日は9時からと10時半からの2本、
おなじみさんのカウンセリングがあり、
3時間しゃべり倒した後に、
午後は陶芸工房で
3か月に1度の釉がけが行われた。

当然、
3か月に1度の釉がけのチャンスを
逃すわけにはいかない。

午前中のカウンセリングも、
口先三寸でお代を頂戴している以上、
誠心誠意、お話を聴き、
迷える子羊たちを救わなければならない。

この口から吐き出した言葉に対して、
福沢諭吉が飛び交い、
もちろんおつりは差し上げるのだが、
昨今の時給からいえば、
相当な額をいただくわけなので、
それはもう真剣に取り組んでいる。

その直後に今度は陶芸工房で、
釉薬をミキサーで1液につき20分も攪拌し、
素焼きの出来上がった向付に
黄瀬戸と織部の2種類の釉薬をかける。

まるで膿盆のような形の素焼きの器が
渋い黄色と濃い緑の釉薬によって、
松の形の向付になる(予定)。

先週、作陶した植木鉢と茶碗は
氷裂という釉薬をかけようと
手ぐすねをひいていたのだが、
先生が「素焼きが一歩、間に合わず、
今ちょうど窯の中だ」というので、
今回は釉薬をかけることができなかった。

少しがっかりしたが、
この忙しい日程の中、
更に植木鉢2組と茶碗4個があったら、
間違いなく疲労困憊だったと思うので、
むしろ良かったと思うことにした。

明日と明後日は
いよいよ本摺りである。
先程、和紙を湿して、重しをしたところだ。

40色ほどの絵具の調合は昨日、済ませたので、
明日の朝、目覚めたら、
すぐにでも本摺りにとりかかるつもりだ。

何十年もこのルーティーンで
試し摺りと本摺りをこなしてきたが、
やはり、本摺りの直前には
胃がシクシクするような緊張感がある。

勝手に
北京の羽生結弦様も同じ気持ちかもと
想像しながら、
明日の本番に向け、
今夜は早く床に就こうと思う。

明日と明後日の
摺り師・萩原季満野に神のご加護を!!













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