2022年3月10日木曜日

突然の幕切れ

 



今朝は絵画教室に車で向かっていた。
教室は生麦にあるマンションの集会室なので、
自宅からは車でも50分近くかかる。

横浜市神奈川区金港町の青木橋の交差点は
道中のちょうど真ん中あたり。
そこから国道1号を川崎方面にしばらく行く。

青木橋を過ぎたあたりで、
それまでスイスイ流れていた車の流れが
急に鈍くなりだし、
5分ぐらいで完全に止まるぐらいの渋滞に
ハマってしまった。

いち早く事に気づいた車は
国道15号に逃れたようだが、
私は1号線から逃れようのない1本道に
突っ込んでしまっていた。

そこから約30分、
身動きがとれないような状態の先に
見えてきたのは、
単独で事故ったらしい、
なぜか中央分離帯の上に
横倒しになっている黒いワゴン車だった。

どうするとそんな風に20cmもある縁石の上に
真横になって乗り上げられるのか。
まるで空から降ってきたかのような
異様な光景である。

事故現場にたどり着く前に
救急車が1台、脇をすり抜けていったので、
たぶんけが人はひとりだけだと思うが、
パトカーは5~6台は到着していて、
警官がごった返していた。

絵画教室には完全に遅刻だ。

LINEで何回か連絡して
作業を進めておいてもらい、
開始時刻より40分ぐらい遅刻して
ようやく教室に到着した。

「大変でしたね」と労をねぎらう言葉の後に
いきなり生徒さんのひとりが切り出した。

「先生、こんな大変な日に申し訳ないんですけど、
今日でお稽古を辞めようと思います」と。

Tさんは絵画教室に通ってきて
17~18年ぐらいにはなるだろうか。
齢78歳になっており、
ここ数年でめっきり弱っていることは
わかっていた。

年末にもそれらしいことを言い出したが、
気を取り直して
マイペースで続けることになったばかりだ。

しかし、今日も1時間近くバスに揺られ、
その後、教室まで歩いてくる間に、
足が痛くなって座り込みたいぐらいに
なってしまったという。

彼女が辞めると
人数的に絵画教室そのものの存続が難しいことは
年末の時から分かっていたのに、
どうにも続ける気力が湧いてこないということだ。

ひとりで運転していて
ここまでひどい渋滞に巻き込まれたのは
初めてだったし、
目の前で横倒しになった事故車をみたのも
初めてだった。

当然、絵画教室に遅刻したのも
初めてのこんな日。

突然、絵画教室を閉じることになった。

思えば、美大生になった大学1年の時から
子ども絵画教室の先生を頼まれて、
絵画教室の先生業が始まった。

結婚してほどなく海外転勤になっても、
子どもが生まれて乳飲み子を抱えていても、
日本に帰国し、
東京の社宅から横浜に引っ越ししても、
ずっと続けてきた絵画教室。

子どもの教室、大人の教室、
油絵教室、水彩画教室、
木版画教室などいろいろ形態は変化したが、
かれこれ45~46年にはなろうか。

2022年3月、
あと1回のお教室をもって
私の絵画教室の先生という役どころは
その幕を閉じることになった。

ものごとには
始まりがあれば終わりがある。
それを痛感した1日だった。



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