2022年4月17日日曜日

本摺り『朱い橋』

 

















当初の予定通り、
土曜日と日曜日の2日間で
本摺りを決行した。

旅行から帰ったばかりだし、
筍の到来物があったりして、
体はかなりきつかったが、
来週以降の予定に丸々2日間の空きが
なかったので、強行することにした。

旅行でもらった滝桜パワーを信じて、
頑張るしかない。

一昨日、和紙の湿しと絵具の調合を終え、
土曜日の朝はいつもどおりに起床し、
まずは朝ご飯を作って食べて…。

今回の作品は
絵柄のサイズが63×47cmの中型サイズ。
7枚の和紙を湿してスタートした。

1日目は雨の部分や花弁や葉っぱなど、
グラデーションが多く
デリケートで神経を使うパートから始めた。

背景など、バレンのつぶしが入り、
力が必要なところをどのタイミングでやるか、
頭で体力の配分を考えながら、
目と腕は目の前の繊細なバレンワークに集中する。

その合間にも
新筍の料理やそれに合った献立を考え、
ランチやディナーで作ったものを
撮影し、筍をくれた友人に送ったり、
ブログに上げたり、忙しいことこの上ない。

1日目はあらかたのデリケートな1版目を
摺り終え、
5時に作業を終了した。

昔のような「恐怖の15時間摺り」のような
無茶はせず、
完全に2日間に分けて摺ることにしている。
ばぁばの知恵である。

2日目は、前日、早めに寝たせいか、
自然に5時前に目が覚めたので、
このタイミングで起き、
「朝飯前」の作業を始めることにした。

つまり、朝食の前に
一番体力のいる背景のベタのつぶしを
1か所摺り終えることで、
朝食作りと食べる時間を休憩に使えるので、
体力的に楽なのである。

今回は「朝飯前」に
上半分の濃い紫色の背景を摺った。
そのパートを7枚摺るのに1時間半かかった。

それでも7時前にはキッチンに立ち、
朝食を作ることが出来たので、
気持ちもリフレッシュする。

その後は下半分の
クリーム色と金黄土と暗い鉄色の茶色の
3段グラデを摺り、
背景の出来上がり。
同じくこのパートも1時間半かかった。

この作品のお供は
買ったばかりのCD
JUJUのユーミンカバーアルバムだ。
1枚、聴き終わるのに約1時間なので
それを目安に時間を計っている。

残るは花びらや葉っぱなど、
2版目の飾り彫りと称する部分だけだ。
ここは力は全くかけずに
ひたすら優しく撫でまわすように摺る。

ここまでくると頂上は近い。
八合目というあたり。

ところで、今回の作品には
雨のシリーズで初めてカタツムリが登場する。

原画のプランには入っていなかったが、
原画をいざ、描いてみたら、
急に上下の境のラインの上を
カタツムリが這っていたら面白いのではないかと
ひらめき、遊び心で足してみた。

ほんのアクセントのつもりだったが、
赤橙のラインの上に並んだカタツムリは
徐々に自己主張し始め、
摺りの後半にはこの子たちにフォーカスした
タイトルをつけたらいいのではと
思うようになった。

最初はこの作品は
「七変化」という紫陽花の別名を
タイトルにしようと決めていたのに、
作品が摺り上がる頃には
「朱い橋」が自分としてはしっくり来ていた。

橋は具体的には描かれていないのに…。
カタツムリは
お寿司のガリみたいな存在だったのに…。

「朱い橋」
いかがだろうか?
































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