2023年11月27日月曜日

及川浩治 ピアノ・リサイタル

 










11月26日、本摺り明けの日曜日、
かねてよりチケットを取っていた
「及川浩治 ピアノ・リサイタル」を聴きに
みなとみらい大ホールまで行ってきた。

及川浩治さんのピアノは
だいぶ前になるが、
石田様にハマり出した頃、ふたりが
「Bee」というグループを結成していた時に
聴きに行ったことがある。
2016年のことなので、やや昔である。
その時もSさんと一緒だった。

以来、私は石田様に傾倒していき、
もちろん、Sさんも石田様に沼っていき、
及川さんのピアノは聴く機会をもたなかった。

しかし、今回はみなとみらい大ホールだし、
曲目が誰もが知っている名曲ばかりだったので、
ご近所のいつものメンバーをお誘いするのに
ちょうどよいのではと思い、
チケットを申し込んだ次第である。

因みに曲目は
1部
ベートーベン:「月光」
リスト:「愛の夢」
リスト:「ラ・カンパネラ」
ショパン:ワルツ第3番
ショパン:ワルツ第1番「華麗なる大円舞曲」
ショパン:「幻想即興曲」
ショパン:ポロネーズ第6番「英雄」

2部
ドビュッシー:「月の光」
ドビュッシー:「亜麻色の髪の乙女」
クライスラー:「愛の悲しみ」
スクリャービン:エチュード第12番「悲愴」
ベートーベン:ピアノソナタ「熱情」
といった具合。

いずれも曲が始まれば
「あ~、聴いたことある」となる名曲揃いだ。

これならさほどクラシック通でなくても
すっと入り込めるのではと思い、
楽しみに会場に向かった。

いつもの石田様フリークのSさんも
「チケット買っちゃった」と聞いていたので
会場のどこかにいるかなとは思ったが、
何しろみなとみらい大ホールは
2020人入る大きなコンサートホールだ。

私達の席は1階7列6~9番までの
ピアノの手元が見えるなかなかの上席。
開場時間を少し過ぎたぐらいに入場し
席について、もらったプログラムを眺めていた。

すると本当に驚いたことに
同じ列の5番の席めがけてSさんがやってきて、
会場で「え~!うそ~!」ということになった。

同じコンサートを申し込んだからといっても
別々の日に申し込んだわけで、
こんなにすぐお隣の席になるなんて、
ビックリしたとしか言いようがない。

一緒にいったメンバーが気を利かせて
私を2組の間になるよう席替えをし、
どちらともおしゃべりしながら
開演を待った。

会場はほぼ満席。
ご夫婦で見えている高齢の男性が
いつもの石田様関連より多い様子だ。

ピアニスト・及川浩治は
情熱的でサービス精神旺盛な人。

演目をみればわかる通り、
誰もが知っていて、しかも
超絶技巧の難曲ばかり。
難解ではないが、いずれもテクニックを要する
ダイナミック、かつ華麗な名曲揃いだ。

その感じはフライヤーを見れば判る。

まるでドン・キホーテのオリジナル商品の
パッケージのように
言いたいことを全部文字で書いて
それを商品名にしたみたいな。
てんこ盛りのフライヤーだ。

そして、遂に、燕尾服を着た及川浩治さん登場。
7年ぶりだが、以前とさほど変わらない。
左隣のSさんに
「あんまり老けていないね」と耳打ちした。

スタスタと登場し、椅子の位置を気にしたけど、
サクッと弾き始めた。
1曲目はベートーベンの「月光」である。

「月光」なんだから「月光」らしいかと
思っていたら、
徐々に加速し、熱を帯び、
最後は月光ビームが矢のように差し込む、
そんな彼らしい演奏だった。

2曲目の「愛の夢」こそ色っぽい感じだが
やはり途中から、ちょっとしつこい男かも。

3曲目の「ラ・カンパネラ」は
フジコ・ヘミングのものとは全く違う速さで
キラキラキラキラ高音が光り輝いていて
眩しい星の瞬きのようだ。

聖矢君のピアノの音では
CDなのに泣きそうになったけど
浩治君のカンパネラでは笑いそうになった。

そんな調子で
とにかくテクニックは凄いし、
2時間ぶっ通しで何で譜面を見ずに弾けるのか
圧倒的な実力を見せられ
唖然とするほどだ。

「どう僕って凄いでしょ。ねえ、楽しんでる?
もっともっと行こうよ!」
「え~、ちょっと待って~。
私の意見は聞いてくれないの?」みたいな
男女の会話が聞こえてきそうだ。

そのサービス精神と一生懸命と
一曲入魂はわかるけど、
お腹が一杯すぎてもう何も入らない。

だからこそ、アンコールの
映画「ひまわり」のテーマ曲は
フルコースの後のお茶漬けのように
じわっと心に染みた。

万雷の拍手に送られ、
会場を後にした及川浩治さんは
御年56歳とか。
すごいパワーに圧倒されっぱなしで
「人間って凄いな~」と思った。

しかし、石田様とは同じ匂いがするので、
ふたりが一緒にセッションすると
バチバチになり過ぎるので
Beeを解散したのも無理からぬこと。

人間が限界を超えて楽器を演奏すると
こうなるというような
圧巻のパフォーマンスであった。

夕方から、私達は河岸を変え、
予約してあった牛鍋のコース料理を頂いたが、
あまりにピアノで満腹になってしまったので、
牛肉より、大間のマグロのお刺身と
最後のアイスクリームが美味しかったのは
私だけではなさそうだ。




















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