2024年5月11日土曜日

初風炉の稽古茶事

 


























5月11日
茅ヶ崎市が管理する茶室『松籟庵』にて
初風炉の稽古茶事が行われた。

お天気は晴れ女の面目躍如、
爽やかな風薫る五月。
雲一つない晴れである。

さて、『初風炉』というのは
5月に入るとお茶の世界は炉から風炉へ
大きくお点前が変わるのだが、
その最初の頃、風炉のお点前の茶事を
『初風炉』と呼ぶ。

また、『稽古茶事』というのは
お茶事という形式
つまり、炭点前があり、
懐石料理があり、濃茶と薄茶がある
合計4時間以上かかるような
お茶のフルコースのお稽古を
先生とお社中のみんなだけで行うことをいう。
(通常のお茶事は外部のお客様を招いて行う)

いつものお茶のお稽古というのは
いわば部分的な取り出しのお稽古で
その月にふさわしいしつらえのお道具で
お濃茶と薄茶を点てるのが常だ。

時折、お炭点前や、お免状物のお稽古もあるが
フルコースで全編お稽古することはない。

その曜日のメンバーが同じお点前を
順番に行うから
メンバー全員同じことをする。

しかし、今日は風炉の季節になって
初めてのお稽古を
先生のお宅ではない外部のお茶室を借りて、
お道具を借りたり、持ち込んだりして
正式な茶事に近づけた形でしようという
趣向である。

その第一弾の『亭主』役に
なんと
順番で私が割り振られることになった。

『亭主』というのは
そのフルコースのお点前をひとりで全部
しなければならない。

他の役どころとしては
『お客様役』5名と
『半東』という亭主の補佐役と
『水屋係』という裏の助っ人ととで構成され、
そこに先生がついて
あれこれ指示を仰ぎながら
それぞれの役どころを進めていく。

しかも、
『千鳥』とよばれるお酒の応酬が
お料理の最後の方で行われるのだが、
その時に必要な『八寸』という
海のもの・山のもののおつまみは
「亭主が作って持ち込む」という新ルールが
課せられた。

お陰で私はゴールデンウィークに
お試しで「海老の山椒焼き」と
「きゅうりの味噌漬け」なるレシピを試し
一発では納得できず、
試行錯誤を繰り返すことになった。

なにしろ、『柿傳』が監修の分厚い料理本は
「海老を下地に漬け込み、焼いて山椒をふる」
「きゅうりを板ずりし、白みそにみりんを加えた
ものに3時間ほどつけ、適宜切る」としか
書いていない
不親切極まりない料理本なので、
とりあえず作ってみてもうまくいくはずもない。

最初、海老の下地を
日本酒と醤油の同割にしてみたら
しょっぱくて
山椒がピリピリ過ぎてアウトだったので、
日本酒にほんの少しの醤油の下地にした。

また、逆に
白みそとみりんを練っていくら漬け込んでも
全くきゅうりに味が染みこまないので
まずは蛇腹に切ってから
合わせみそとみりんで漬けてみたりした。

夕べ、下地に漬け込んだ海老を
今朝は5時に起きてグリルで焼き、
その後、朝食を作り、食べてから
化粧をし、着物を着てでかけたので
今日の朝はなかなかのバタバタぶりだった。

しかし、八寸の評判はいずれもよかったので、
トップバッターの役目は
無事に果たせたので何よりである。

お料理のパートは本当の懐石というわけには
いかずにお弁当をとってしまったので、
先生としては
『千鳥』というややこしいお酒とおつまみの
やり取りの部分だけは
正式にやりたいというご希望を実現できたし、
私達も大いに勉強になったのは
よかったといえよう。

茶道は利休さんに始まる歴史ある日本文化の
筆頭であるが、
現代人の私達の知らないことばかり
本日もその奥深さの一端にふれ、
日本人に生まれ
茶道を趣味にして面白いとつくづく思うが、
なんだってこんなに難しいことをと
痛感した。

早、40年余りもお稽古していても
この程度
亭主の口上も、現代日本語ではないし、
所作のひとつひとつも非日常。

まあ、そこがいいところだとは思うが、
なかなかに疲れた1日であった。

先生はここのところ妙にお茶事熱が熱く
半年に1回ぐらいは
こうしたお茶事の形式のお稽古をしたいと
言っている。

次は秋に「名残の茶事」をしたいとか。

まあ、とりあえず、
自分に亭主がまわってくることは
向こう何年かはないと思うので、
一安心というのが今宵の気分。

『亭主』の分の海老ときゅうりを肴に
ビールを飲んだが、
日本酒でなくても美味しく感じるのは
安心感ゆえかもしれない。

お疲れ~!!







































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