2025年8月13日水曜日

お盆休みはワーカ彫りック

 









今週は三連休からのお盆休み。
中には9連休という方もいるかもしれない。

しかし、大体私の場合は
こうした世の中的に長いお休みの時こそ
仕事をしていることが多い。

なぜなら、そういう時に出かけても
人は多いしお金はかかるしで
あまりリフレッシュできないからだ。

というわけで、今週は、時折
孫のお誕生会やら友人とのランチを挟みつつ
基本、今年も彫り台の前に張り付いて
木版の彫りの作業を進めることにした。

木版の摺りは
加湿器をかけ、和紙の湿り気を一定に保ちつつ
進めなければいけないので
真夏にクーラー無しというというわけには
いかないため、夏に実行するのが難しい。

彫りならば、クーラーをガンガン効かせて
額に汗してひたすら彫るという
ガテン系の仕事なので
いきおい毎年夏は「彫りデー」になる。

そうはいっても、今年の前半は
本の出版に力を注いでしまったので
ふと気づくと彫りの作業は8カ月ぶり。

しかも、
年賀状のチマチマした彫りだったので
90×90の大きな版木を彫るのは
3年ぶりくらいかもしれない。

久しぶりだったせいか、
たまたま版木が硬い材質だったのか、
彫刻刀の切れ味がイマイチだったのか、
はたまた、歳のせいか、
原因はよく分からないが、
とにかく版木がひどく硬く
彫刻刀が重く感じられる。

以前はもう少し豆腐かのように彫れていたのに
今回は凄く右手に力が要る。

なのに目の前の彫るべき版はとてつもなく大きく
彫っても彫っても「1面クリア」にならない。

私は机の上に大きなカレンダーを置き、
予定を書き込んだり、
次の日の準備をしたりするのが常だが、
ここ数日は
その日のマスに「彫り 0,3面クリア」と
書くのが精いっぱいだった。

本当は午前午後で7時間も彫ったのだから
1日で「1面クリア」と書きたいところだが
とうていたどりつかない。

今週は熱中症にならないよう
また、立ち眩みにならないよう
水分補給を心掛け、
立ち上がる時や座り込む時などにも
注意を払っている。

先週などは5日連続でカーブスに通い、
背中や二の腕など
確実に締まったと密かにほくそ笑んでいる。
体重は0,8kgぐらいしか減っていないが
筋肉量はまちがいなく増えたと思う。

そんなマッスルウーマンな日々なのに
こと「彫り」に関しては
ひさしぶり過ぎて右手が悲鳴をあげている。

遂に今朝の夜明け前、
右手がパンパンに腫れて
痛くて彫刻刀を持つことができずに
生れて初めて腱鞘炎になった夢を見た。

50年近く木版画を彫ってきて
初めての出来事だ。

夢なのか現(うつつ)なのか分からないが
7時に起きてみたら
右手はちょっとだるいぐらいで
何ともなかった。

きっとこんな調子で彫り続けると
本当に腱鞘炎になっちゃうという
神様のお告げなのでは?

もし腱鞘炎になってしまうと
基本、痛めた手は使わないようにと
医者に言われてしまうだろうから
そうならない程度にいたわりながら
使うしかない。

何でも始めるとムキになる性格なので
自重しなさいということだろう。

昨日、テレビのニュースで
ボクシングで頭を殴られ
急性硬膜下血腫になった若いボクサーが
ふたりも立て続けに亡くなったという話題が
出ていた。

私の場合は2か月かけてジワジワくる
慢性硬膜下血腫だったし、
発見が早く適切な処置を受けられたので
何の後遺症もないし、死ぬこともなかったけど、
硬膜下血腫とは
若いボクサーが死んでしまうほどの事故
だったのかと今更ながら怖くなった。

いろいろな意味で
自分の体の声や心の声を聴きながら
なにごともやりすぎ注意
ワーカホリックも適当なところで切り上げないとと
感じた次第である。

しかし、それにしても
あのパンパンに腫れて動かなくなった右手は
ヤバかった。

夢だったのか、現実か。

私も「黄金の右手」を大切にしなければ(笑)















2025年8月10日日曜日

孫2号 5歳の誕生会












孫2号が満5歳の誕生日を迎え、
今日はそのお誕生会だった。

6月の真ん中で、娘は孫たちを連れて
紫陽花展を見に来てくれたのだが、
そのすぐ後に私の入院・手術があったので、
あっという間に月日は流れた。

何だか久しぶりに会う孫2号は
すっかりお姉ちゃんの顔になっている。

特にケーキの前であごに手をあて、
斜め上を見ているポーズなど
憂いを含んで何を考えているのやら…。

孫2号はシャイで、カメラを向けたり、
マイクを向けられると、
とたんに何も言えなくなるタイプなのは
相変わらずだけど、
彼女なりのペースで意思表示もはっきりしてきた。

孫1号と孫2号はキャラが全く違うので
戸惑うことも多いのだが、
孫2号は孫2号なりに成長していると感じる。

食欲旺盛なのは相変わらずで
パーティメニューのタコスや
キャロットラペやスペアリブなど
何でもよく食べる。

床の食べこぼしも自分で拾い集めたりする姿は
以前のわがまま放題で自己主張の激しい時期を経て
いろいろ聞き分けるようになってきている。

プレゼントの開封時には
さほど歓びを表さなかったくせに、
私たちが帰った後、
「今日の誕生会が一番楽しかった。
紫色のプレゼントがたくさんあって
嬉しかった」と言っていたとか。

私の渡したユニコーンの柄の薄紫色の
レインコートも気に入ってくれたみたいだ。

ばぁばご飯の習慣が
突如、入院することになって途切れてしまい、
7~8月はお休みになっているのは
何だか寂しいが、
久々に見る孫たちはそれぞれの日常の中で
何かを学び、感じ取り、
着実に成長していることを知って安心した。

5歳というのは男の子であれば
七五三でお祝いする歳。

女の子であっても節目の歳には違いない。

子育てにはいろいろな悩みはつきものだけど
娘たちもふと立ち止まって
年月の重みを味わい、
新たな一歩を歩んでいってほしいものだ。


















 

2025年8月7日木曜日

新作は超大作

 












2025年の夏は間違いなく
今まで生きてきた中で一番暑い夏である。

とりわけここ数日の暑さは
もはや外に出るのは危険だと思うほど。

だからといって家に籠っていたわけではないが、
とにかく今週中に、新作版画の原画を
版木に転写し終えたいと思って
毎日、アトリエの彫り台の前に座っていた。

彫り台は体重をかけて彫りやすいように
少し前に傾斜している。
そのままでは奥行きが足りないので
90㎝×90㎝の板を乗せる。

そして、同じ大きさの版木をその上に乗せて
トレッシングペーパーに描いたトレぺ原画から
必要な部分をカーボンで写しとる、
それが版木転写である。

今回の新作はイメージサイズが
80㎝×80㎝の超大型の版画なので、
版木もアーティスト用のシナ材の6mm厚のベニヤを
3裁ではなく2裁といって
90㎝×90㎝の大きさに裁断してもらっている。

イメージサイズとは絵の大きさのことなので
和紙の大きさは余白が周囲に必要なので
90㎝×90㎝になる。

大きなサイズの版画作品を創ろうと思うと、
版木もトレッシングペーパーも和紙も
特注するか、
つぎはぎにしてその大きさにする
必要があるので、
いちいちめんどくさい。

ならば、なぜそんなに大きな作品を創るのか
もっと手軽な大きさでいいではないかとも思うが、
やはり、個展の時や団体展の時の
大きな壁にかけることを考えると
大きな作品も必要なのだ。

それに今回はどうしても正方形の作品が創りたく、
原画のラフプランの段階から
それにはある程度以上の大きさがないと
言いたいことが表現できないと感じたのだ。

作品は大きくなると
二乗三乗と難易度が上がる上に
体力的にもしんどくなる。

そろそろ「体力の限界」と言って
引退した横綱のように
自分の体力との兼ね合いを考えなければならない。

周囲の絵描きの友人と会えば
会うたびに断捨離の話が出る。
そんな切ない事情を抱えながらも
みんな制作している。

もはや「体力の限界」ではなく、
「創作意欲の限界」を迎えて
作品自体を創らなくなってしまった友人も
何人もいる。

それを思えば、
まだ創りたいと思うものが湧いているだけ
自分は幸せなんだと思って
この溶けそうな暑さの中、アトリエに籠って
版木転写の作業をした。
もちろんクーラーは昼夜の別なく
ガンガンに効かせている。

木版画は隣り合った色は別の版に起こす。
私の場合、
ひとつの作品は約10~12版に分割される。
色数は25~35色ぐらいだろうか。
今回、準備した版木は2点で4枚。

版木は両面彫れるので、
1点の作品は2枚の版木、
つまり4面使うことができる。

版の面数は4面だけど、
少しずらしたり、天地に取ったりしながら
4面の中に、10~12版、転写する。

これはちょっとした頭の体操なので、
神経を使う。

隣り合わせた色は正確に転写できれば
ボールペンの太さの分0,5mm重なる計算である。

それをいい加減に転写してしまうと
ずれたり隙間ができたり重なり過ぎたりする。

まだ一応、退院してから1か月の病後の体なので
水分を多めにとって
小まめに休憩を入れ、
座りっぱなしにならないようにすることを
自分に課しているのだが
出来ているようないないような…。

4日間かけて、2点分、
合計8面の版木を転写し終えた。

大汗をかいた後、シャンプーし、
髪をとかすと
丁度、手術の時の剃り跡に生えてきた髪の毛が
1㎝ほどに伸び、
かぶせていた長い髪を突き破って
つんつんと自己主張するようになっている。

それを見ると、
「まだ、無理は禁物よ」と
いつも心配してくれる友人の言葉を思い出す。
隠そうとしてもつんつん飛び出て主張するので
「まだ病後なんだな」と思わされるのだ。

8月はまだまだずっとこんな暑い日が続くだろう。

版木転写が終われば、
あとはひたすら彫りの作業だ。

これまた、はてしなく続くと思われるので
上手にカーブスやカウンセリングなど
出かける用事とバランスをとりながら
体調管理をしようと思っている。

皆様も水分補給を怠らず
熱中症にだけは気を付けて
猛暑を乗り切ってくださいませ。


















 







2025年8月3日日曜日

次女の誕生会


















7月下旬、次女は節目の誕生日を迎えた。
オンタイムではないが、
みなとみらいの「クイーン・アリス」で
母と娘のふたりで誕生会をすることになった。

節目の年を適当に過ごしてしまうのはよくないと
だいぶ前から、どうしたいか訊いてみたが
「特に行きたいところはなし」で
相変わらず、仕事に忙殺されている風だったので
勝手に母好みのレストランを予約してしまった。

クイーン・アリスは
女子好みの可愛いフレンチ・レストランだ。

NETで予約した段階で誕生日であることを伝え、
半円形のアベックシートをリクエストした。
対面で座るより、近くになり
おしゃべりが弾むし
相手のプレートから「一口食べさせて」
みたいなこともしやすい。

メニューは
プリフィックスのいくつかのメニューから選ぶ方式。
まず、前菜と魚料理と肉料理を
それぞれ4~5種類の中から選ぶ。

今日は「これもあれも美味しそうで迷う~」という
次女の声に応えて、
すべてのメニューを重ならないように注文した。
時折プレートを交換して食べるつもりだ。

前菜は
次女は「ウニとエビのとうもろこしスープ」
私は「水だこのカルパッチョ パイナップルソース」
いずれも素材の味がしっかり味わえて美味!

魚料理は
次女は「真鱈のビネグレットソース」
私は「スズキのグリエ 香草ソース
ラタトゥイユ添え」
それぞれ魚の焼き加減が絶妙で美味!

肉料理は
次女は「骨付きラム肉の香草焼き」
私は「和牛肉のグリエ わさびソース」
それぞれの肉の旨味を引き立てるソースが美味!

そして、ここからが「アリス」の真骨頂。
どれも可愛くて美味しい季節のスイーツ。

次女は「アメリカンチェリーのクラフティと
アイスクリーム添え」
私は「ピーチメルバ」

これは両方頼んで、
ふたつともひとりで食べたいと思わせるほど美味!

すももに近い果肉のピーチと
バニラアイスクリーム。
プリプリ大粒のアメリカンチェリーと
バニラアイスクリーム。

いずれもバニラビーンズの効いたアイスクリームと
フルーツの相性の良さを生かした
美味しいし美しい一品。

幸せなひとときだった。

聞けば、次女は相変わらず徹夜の日もあるし、
会社やプライベートの人間関係で
悩ましいこともあるらしい。

私は今日で退院からちょうど丸1ヵ月。
このひと月、
日ごとに回復していることを実感している。

そんなこんなをシャンパングラスを合わせ、
美味しいものをいただきながら吐き出す。

人生、生きていくってそんなに簡単じゃない。
それを分かち合い、理解し、
励ましたり、慰めたり。

そんな時間が大切だと思うからこそ、
節目の誕生会はちゃんとしようと思った。

母親にできる誕生会なんて大したことないけど
いつかお互いのプレートを交換して
食べたスイーツのことを思い出す日もあるだろう。

次女を生んだのは香港に住んでいた頃。
香港の夏に臨月を迎え、
アドベンティストホスピタルという英国系の病院で
イギリス人のおじいちゃん先生に
とりあげてもらった。

ダイアナ妃と同じ座産だった。
病室の窓にはピンクのドレープがたっぷりはいった
カーテンがかかっていた。
あの日の午後、病室の英語の会話が
ふとよみがえる。

はるか昔の出来事だけど、
何か印象的な情景や会話があると
何年か経っても忘れないものだ。

今日の「クイーン・アリス」での食事や会話が
そんな風によみがえることもあるだろうか。

きっと猛暑日で
ひと際、暑い夏だったことは忘れないだろう。




































 

2025年8月1日金曜日

蟄居する1日

 












今日は台風9号が北上して、
太平洋沖を通過する影響で
横浜は1日中、雨が降ることがわかった。

そういう時は一歩も家から出ないで
過ごす算段をする。

つまり、数日前から出かける用は固めて、
カウンセリングの後にカーブスを入れ、
帰りがけにスーパーに寄ったり、
郵便局で振り込みをするなど、
外の用事を効率よく済ますことにしている。

そうやって生まれた1日中家にいる1日…。

今日はいつも通りの朝ご飯を作って食べて、
洗濯をし、ゴミ出しをして、
後はアトリエに籠って
トレぺ原画を作成することにした。

トレぺ原画とは鉛筆で描いた原画を
木版画用の原画として
トレッシングペーパーに起こすことである。

作業の前には、まず腹ごしらえ。
今朝は、今ハマっている「タルティーヌ」を作った。
「タルティーヌ」とはフランス語で
オープンサンドのこと。

石窯で焼いたフランスパンを横に切り、
具材をいろいろ載せて
ピザチーズを最後に散らして
オーブントースターで焼く。

本日の具材は
さっと茹でたアスパラガス、厚切りベーコン、
オリーブ、トウモロコシとピザチーズ。
マーガリンとトマトソースを塗ったパンに
これらの具材をトッピングした。

具は他には、ミニトマト、玉ねぎ、ハム、
ちりめんじゃこ、ドライトマトなど、何でもいい。

中でもアスパラガスはホクホクして
気に入っている。

最後にピザチーズをたっぷりのせ
4分ぐらい、チーズに焦げ色がつくまで焼く。

ビジュアルもけっこうおしゃれだし、
野菜もタンパク質もしっかり摂れる。

他には、野菜ジュース、果物、
ヨーグルトが我が家の朝の定番だ。

食後の珈琲はダンナの係なので、
大体は1歩も2歩も遅れて
変な時間に出てくる。

今日も、珈琲なんて待っている時間はないので、
私はさっさとアトリエに籠った。

2025年上半期は出版に明け暮れたので、
2025年下半期は自分が版画家であることを思い出し
大きな作品を創る予定だ。

7月半ば、蓮の取材に鎌倉まで行ったし、
90×90㎝の巨大な版木も
一昨日、届いた。

今回は2点連作のつもりで
鉛筆で描く原画を2点準備した。

退院後の今の自分の体力で
この大きさを2点創れるかかなり怪しいが、
1点ずつ作るとどうしても対の作品にならない
可能性が高いので、
一度に同時に立ち上げる必要がある。
例え1点しか創れなくても
それはその時だと思っている。

原画作成は、鉛筆原画の段階で
すでに出来上がりの色のイメージを決め、
2点対でも、1点だけでも成立するようにしたい。

実は1年ぐらいこうした大きな作品から
遠ざかっていたし、
2点対の作品はかなり久しぶりなので、
意を決して
版画家としての自分を追い込んでいく。

暑い夏に出来ることは彫りの作業だけなので、
8月中に2点のトレぺ原画を作り、
版木に転写し、彫りの作業をできるだけ進める。

きっと今年も10月半ばまで暑い日は続くので
少し涼風が立つぐらいまでに
2点分の彫りが終わるといいなと思っている。

今日はその序盤戦。
1点目のトレッシングペーパーの原画を完成させる。
その前の鉛筆原画作成に
すでに3~4日、かかっている。

1歩も外に出ない。
ひと言も誰ともしゃべらない。
そんな自分と対話する静かな1日だ。

明日は一転、午前中にカウンセリングが入っている。
そのついでにカーブスに行き、
帰りにうなぎでも買って帰ろうか。

こんな感じで、
私の日常は、外向きの日と内向きの日
両極端に分かれている。