3週間くらい前のある日、
夕方、帰宅した時に玄関前のたたきに
小さな卵がつぶれて落ちていることに気が付いた。
「ん?たまごかな?」としげしげ見た後、
見上げてみると
なんと、玄関わきの金木犀の木に
鳩が巣を作っていた。
可愛い顔の鳩が巣に座っていて
こちらを見ている。
この木は我が家のシンボルツリーともいえる木で
玄関のすぐ脇に植えられており、
高さは2階の窓の上に達しているので
約5mぐらいある大きな金木犀だ。
あまりに大きくなってしまい、
玄関わきの下水口のコンクリートを壊して
根を張っているので、
近く、根から切り倒してしまう予定の木だった。
しかし、いつの間にかそこに鳩が巣を作り、
巣が小さすぎたために事故で落ちてしまったのか
理由は分からないが
可哀そうに卵は落下してしまった。
餌付けをしてまで飼うつもりはなかったので
朝夕、玄関ドアを開けて顔を見るたびに
「ポッポちゃん、おはよう。今日も暑いね」
「卵、残念だったね」などと
声をかけるにとどめ
様子を見ていた。
勝手につけた名前はポッポちゃんである。
時折、巣からいなくなっていたので、
餌でも探しにいっているのかなと思ったけど、
大体はその可愛い顔をあちこちに向けて
巣の中でおとなしくしてることが多かった。
ダンナとも
「困ったね。金木犀、切り倒せなくなっちゃったね」と
話していた3日前、
「何だかもぞもぞしてるから、
ひながかえったんじゃないか」とダンナが言うので
慌てて観に行くと
親鳥のポッポちゃんは巣にはいなかった。
ポッポちゃんが巣にいないのを幸いに
木の下においてあったガーデンチェアに乗って
巣の中を覗いてみると、
そこにはポッポちゃんとは似てもなつかない
黒っぽいもじゃもじゃの毛をしたひながいた。
「あらまあ、君が卵からかえるのを
ママはじっと抱いていたのね」と
そっと声をかけた。
人の気配を感じたからか
ひなは急に立ち上がって
「何見てんだよ!」「やる気か?」みたいな感じで
大きな口を開けて威嚇してみせた。
まだ生後3日のはずだが、
鳥の本能の凄さを見た思いだった。
「ごめんね、ごめんね」と言いながら
私はすぐに家に引っ込んだ。
それから丸1日。
親鳥のポッポちゃんは巣に帰ってこない。
てっきりポッポ子ちゃん(ポッポの子どもだから)の
餌を探しにいっているのかと思ったが、
なぜか巣に戻っている気配がない。
育児放棄か?
何か私たちが悪いことした?
よく分からないが
このままではポッポ子ちゃんは餓死してしまう。
鳩を餌付けして飼うつもりはないし、
元々、金木犀は切り倒すつもりだったけど
たまたま我が家の木を選んで巣を作った鳩には
何となく情が湧いていて心配になる。
この暑い暑い夏、
熱中症になっていないかと
やっぱり 時折
ドアを開けては巣を見上げてしまった。
今のところ、ポッポちゃんは帰ってきていない。
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