2014年10月28日火曜日

アメリカ旅行記 その5 象徴としてのアメリカ

 
 
 
 
 
ニューヨークに滞在して5日目、滞在中でもっともいいお天気に恵まれた。
 
ニューヨークの天気予報はかなりの精度で当たることが分かったので、
数日前から1番お天気のいい日に、ミーハーに自由の女神に行くことに決め、
それを5日目の金曜日にしようということになった。
 
当日、予報通り、それはそれは見事に雲ひとつない快晴になり、
連日の美術館通いやミュージカル鑑賞から一転、
地下鉄でダウンタウンにくだり、
フェリーに乗って自由の女神像のお膝元まで行くことにした。
 
自由の女神像は建国100年のお祝いとしてフランスからプレゼントされたものと
昨年パリに旅行したときに聞いて知っていた。
セーヌ川にもミニ自由の女神像が立っているのを見て不思議な感じがしたが
アメリカの象徴・自由の女神がよその国からのプレゼントだったというのは
かなりビックリだ。
 
フェリー乗船時には
まるで入国審査のような厳しいチェックを受け、
1回に1000人近くも乗船させたかと思うぐらいの大量のお客さんを乗せ、
フェリーはニューヨーク湾のリバティ島に向け出港した。
 
連日、マンハッタンの喧噪の中を足を棒にして歩き、
美術館や博物館で更にまた歩き、
いささか芸術鑑賞に脳みそも目玉も疲れていたので、
この快晴の元、頬にあたるさわやかな風と
目の前にそびえる自由の女神は、単純に爽快感と開放感を感じさせてくれた。
 
アメリカという国が掲げる明快なスローガンは国民の意識を高揚させるし、
分かりやすく一致団結させることが出来る。
 
この歴史の浅い大国が世界のリーダーとして巨大な力を行使し、世界を牽引し、
それ故、標的にもされ、2001年には9・11のテロ事件が起きた。
 
自由の女神見学フェリーから下船後、
私たちはウオール街に行ってみることにした。
そこにはタイムズスクエア周辺とはまったく違う空気が漂っていた。
 
圧倒されるビル群は気品があり、
世界の金融の中心であることを感じさせる威圧感に満ちていた。
 
道行く人々もスーツに身を包み、さっそうと足早に歩き去っていく。
グダグダととぐろを巻きながら声高におしゃべりしている
タイムズスクエア周辺の黒人達とは人種が違うかのようだった。
 
そして、その金融街の一角にあるグランドゼロに着いた時
メモリアルパークとなった元ワールドトレードセンター跡地の大きなくぼみに
強い衝撃を覚えた。
 
現在、その窪みはプールのような形状になっていて、壁面に水が流れおちている。
ツインタワーの敷地面積そのままの大きさの巨大プールで
周囲の囲いには9・11で亡くなった方の名前が刻まれている。
 
そのあまりに巨大な窪みと
すぐ脇に立つ新しいワンワールド・トレードセンターとの対比に
私は何か言葉に出来ないようなアメリカの強い意志を感じた。
 
新しいビルは鏡面仕上げのガラスのビルで
快晴の青い空に溶け込みながらも
美しく白い雲を写し、都会的、かつ、進歩的な姿で凛とそびえ立っている。
 
そこからは、決してテロに屈しない力強さと
あのテロを忘れたり、許してはいけないというメッセージが伝わってくる。
 
このあたりはダンナにとって30数年前、ニューヨーク支店に転勤して働いた場所だ。
きっと私が初めて目にして感じている何十倍もの感慨があったに違いない。
 
それぞれの胸にそれぞれのニューヨークが強く刻み込まれ、
快晴の青い空にはためく星条旗が、脳裏にくっきり焼き付けられた。


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