2014年10月7日火曜日

和の心 今の内

 
 
 
我がニューヨーク行きはあと5日と迫ってきた。
 
この話は春には決まり、
6月には飛行機とホテルの予約、
8月にはミュージカルのチケット手配、
ここへ来て、ニューヨークフィルをどうするかなど
じわじわ固まってきている。
 
しかし、一方で出発までにやらなければならないこともある。
それは目下、彫り進めている2点の作品の彫りを仕上げることである。
 
なぜなら、その作品のモチーフが水紋と水面に浮かぶ桜や紅葉と笹舟、
木目は池に渡る筏のような橋という純和風のモチーフだからだ。
 
この和テイストな作品の彫りを途中で放りだしてニューヨークに行ってしまうと
あちらでいろいろ新たな刺激を受け、
日本人としての感性が鈍るおそれがある。

水の流れや波紋、とんぼや植物、板の木目などを
描くように彫るには、繊細で優美な日本的感性が求められている。
 
もちろんニューヨークに行く目的は
ミュージカルや美術館や街の喧騒から、多いに刺激を受け、
人生に揺さぶりをかけ
新たな作品に何か活かせることなのだが・・・。
 
そのせいで、和の感性がおかしくなっては元も子もない。
 
というわけで、
摺りの作業はまったく間に合わなかったが
とにかく彫りの作業だけはやり果せないと旅立つわけにはいかないのだと決め、
毎日、彫り台にしがみついて頑張った。
 
本当はそういいつつも同時に
ニューヨークにゆかりのある映画のDVDを観たり
旅行に必要な細細したものを買いに行ったり
旅先のファッション計画を立てたりと
言ってることとやってることが、ちぐはぐなのだが、
そのあたりは目をつぶるとして
何とか今日までに一番気をつかう飾り彫りのパートをすべて彫り終えた。
 
これで安心して出発することが出来る。
 
案外、カウントダウンしながら出発の日を待つ
こうした日々が一番楽しいのかもしれない。

0 件のコメント:

コメントを投稿