2015年10月24日土曜日

アンダルシアの風

 
ここのところ、コンサートというとタンゴが多かったが、
今日と明日とはフラメンコだ。
 
今日のフラメンコ・コンサートは
そのお値段のリーズナブルさで頻度高く観に行っている
ヒラルディージョという団体で催しているチャリティ・コンサートのひとつだ。
 
場所は神奈川区のかなっくホールで
つい先日も石田様のヴァイオリンコンサートに行ってきたばかり。
350人規模の小さめの公共のホールながら音響がとてもいい。
 
そこで、フラメンコの踊り手4人、歌い手2人(内ひとりはスペイン人)
フラメンコギター2人、ヴァイオリン1人という豪華編成。
それで2500円は安い!
 
しかも、今回のメンバーの歌を聴くのも、踊りを観るのも初めてだったが、
それはそれは素晴らしいメンバーで、
会場が半分ぐらいしか埋まっていないのが申し訳ないぐらい。
今まで観たこの団体のコンサートの中でピカイチだった。
 
逆にパフォーマンスも経歴もすごいのに、なぜこんなところでやるの?
フラメンコのことよく分からなくてかけ声もかけられないおば様達ばかりだし、
広報が行き届いていないせいか、お客さんも少ないし、
安いし。
 
それが日本のフラメンコダンサーやフラメンコアーティスト達の現実かも。
 
そんなことが頭をよぎったけど、
とにかく目の前で繰り広げられる演奏も歌も踊りも素晴らしかったので、
私ひとりででも客席から声をかけてあげようと思って、声を振り絞った。
 
2年前まで自分もフラメンコ教室に通って踊っていたことが不思議なぐらい
もはやフラメンコは遠い存在になりかかっていたのだが、
さすがにいいものを見聞きすると、あの独特のパッションがよみがえってくる。
 
前から2番目の真ん中の席を陣取ったので、
最初の踊り手のつけまつげが取れかかり、頬にぶらさがって
本当に可哀想だったこと、
にも関わらず、立派に踊りきったこと。
 
2番目の踊り手が長くてボリュームのあるドレスの裾を踏んで、
よろめいたけど、
それでもさすが「踊る女優」という異名があるらしく、
何ごともなかったかのように艶然と踊りきったこと。

同じく2番目さんは、2曲目の時に激しく踊った勢いで
大きなオレンジ色のイヤリングの片方が取れ、舞台に落ちたのを
すばやく蹴り飛ばしたら、粉々に散って舞台袖に消えた。
 
3番目の踊り手は一番若くてきれいだし、
踊りも基本に忠実で美しかったのに、
大御所達と一緒の舞台で緊張しているのか、手がずっと震えていた。

前から2番目の席だと、みんなすぐ側で見えていたけど、
その必死さが伝わってくるライブ感がたまらない。
自分も舞台を踏んだことがあるせいか、
我が事のようについつい感情移入してしまった。

そんなドキドキの事件もありつつのあの圧倒的なパフォーマンス。
お見事!のひと言である。

また、
4番目の経験豊かな大御所は踊りで会場のお客さんを挑発したり、誘ったり、
舞台中央で踊るだけじゃなく、会場全体の空気を引っ張り込もうとするも、
お客さんのおば様達はそうしたフラメンコ独特のパフォーマンスに
どう応えていいのかわからないらしく、妙なところで拍手したりする。
 
本当は拍手じゃなくて、かけ声で盛り上げてほしいところだけど、
いきなりかけたこともないのにかけ声は無理だわな~。
 
というわけで、ひとりででもかけるぞと意気込み、
久しぶりにかけたかけ声で、終わってみたら声がかすれていてビックリしたが、
そのパフォーマンスを讃えようとがんばった。
「オレー!!」
「グアッパー!!」
「バマジャー!!」
「トマケトマケトマ~」
 
明日はフラメンコ教室に通っていたときの先生アーシャのソロリサイタル。
今度は先生のフラメンコ仲間や大勢の生徒さんがいるから、
孤軍奮闘することもないだろう。
 
今日はかけ声のタイミングの練習みたいになってしまったけど、
「本当に素晴らしかったよ~」
その気持ちだけは伝わっているだろう。

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