2016年7月18日月曜日

黒留袖の試着

 
 
 
春に長女の結婚が決まり、にわかに慌ただしくなってきた。
 
結婚式は11月初旬ながら、その前に両親の顔合わせやら、
新居探し、諸手続き、引越、入籍と
順番がおかしいと思う点もあるのだが、昨今はみんなそうだからと、
どんどん娘と彼とで話が段取りよく進んでいく。
 
今日は結婚式場に出向き、
当日、親が着る黒留袖とモーニングの下見と試着をした。
 
私はもちろん留袖の試着をしたのだが、
あらかじめ母から譲られた袋帯を持ち込んで、
その帯に合う留袖をと考えていた。
 
帯は金箔の地にキモノの衣桁掛けが描かれており、
そこに色とりどりのキモノが掛かっている様子が刺繍で刺してある。
かなり、凝った模様の個性的な帯なので、
キモノは黒地の部分が多めにあって、
出来れば模様が帯の柄と関連のあるものがいいと考えていた。
 
本当は留袖自体も母譲りのものがあるにはあるのだが、
「獅子唐模様」の個性的に過ぎる柄で、好みでないため、
亡くなった両親には申し訳ないが、別途、自分らしいキモノを調達することにした。
 
さりとて、購入するとなると欲しいものは70万円からという高額商品、
一生に一度着るか二度着られるか・・・。
さすがにコスパが悪すぎることは、いくらキモノには目がない私でもわかる。
 
ということで、今回は娘達が予約した式場のドレスサロンに出向いて、
レンタル用に揃えられた留袖の中から選ぶことにした。
 
母親のための留袖なんて、10着もあればいい方かと思っていたら、
30~40着はあるということなので、わくわくする。
 
あらかじめカタログの中から、ピピッときた
『乱菊』と『琳派』という2着をリクエストして、予約の時間めがけて会場に向かった。
 
言葉遣いの丁寧な担当の女性に、当日は帯を持ち込みたい旨をまず伝え、
奥から予約した2着を手元に持ってきてもらった。
 
想像していた通り、
『琳派』は模様の背景に使われた金箔部分が、帯の模様とシンクロして、
お誂えで作ったかのように、コーディネートとしてバッチリ。
しかし、惜しいかな、金の色味が帯の方が赤金で、キモノの方が青金で、すこし違う。
 
一方、『乱菊』に使われている金色はまさに赤金なので、全体に統一感がある。
しかも菊は大胆に大ぶりの一輪だけなので、
小柄な私にもこなせる黒地部分の多い動きのある柄だ。
 
菊というのも11月にふさわしい。
 
担当の女性と2着を見比べ、
ほぼ同時に『乱菊』の方がより私らしいという意見にまとまり、
試着はほんの30~40分で結論に至った。
あっけなく終わり、しかもとても気に入るものに出会えたので満足、満足。
 
花嫁のドレス選びの方は、膨大な数のドレスの中から、
1回に4~5着ずつ試着して、
なんだかんだと誰もが大体5~6回はかかるというから、
それに比べれば、超特急で決まったことになる。
 
女にとって、結婚式に何を着るか、
それは一生に一度の一大事といっても過言ではない。
 
黒留袖も少子化・晩婚化・非婚化の現在、
やはり一生のうち、一度か二度か、着ても数回の式服ということになる。
 
まあ、冷静な金銭感覚をもってしてはあり得ないレンタル料金とも言えるが、
ここはひとつ、
購入するよりはマシと自分に言い聞かせ、
花嫁と共に
昔、花嫁だった私もこの滅多にないチャンスを楽しもうと思っている。


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