2016年7月5日火曜日

早くも映画化『アテルイ』

 
 
7月に入ってから、急に気温も湿度も高くて、青菜に塩状態。
怒濤のような6月を無事、やり過ごしたのに、早くも夏バテか・・・。
 
今日は銀座の画廊に本の装丁のデザインを届けにいくついでに
東銀座の東劇で、『アテルイ』を観ることにした。
 
『アテルイ』は今様歌舞伎とでもいおうか、若手の歌舞伎役者が中心になって
演出家や監督を外部に頼んで作る現代劇と歌舞伎の折衷のような演劇だ。
 
実際に舞台にかかったのは、昨年の7月、新橋演舞場においてであるから、
まだついこの間のことである。
 
それを早くも映画版として編集し、上映してしまうのだから、
舞台を見逃した私にとっては、随分お得な演し物ということになる。
 
映画は11時に始まり、15分の休憩を挟んで、
終わったのが午後2時20分という3時間越えの長丁場。
 
3時間20分、ずーっと映画館の椅子に座っていたので、
だいぶ疲れた。
 
お話の舞台は、北の民蝦夷(えみし)と国家統一を目論む大和朝廷。
蝦夷の長アテルイと征夷大将軍 坂上田村麻呂という
国を思うふたりの武将を軸にした合戦もの。
 
3時間越えの舞台の4分の3ぐらいは合戦シーンだった。
つまり、殺陣が重要な戦いの場面ばかり。
 
戦う相手は敵ばかりではない。
神の化身だったり、熊だったりもする。
そのあたりが歌舞伎らしいところでもある。
 
出演は蝦夷の長アテルイが市川染五郎、坂上田村麻呂が中村勘九郎、
鈴鹿ともう一役に中村七之助。
 
とにかく、この3人が八面六臂の大活躍で舞台狭しと暴れ回る。
いずれも長セリフを叫びながら、素早い身のこなしで鮮やかな殺陣さばき。
 
そして、時に動きが止まったかと思えば、
歌舞伎役者ならではの間で、呼吸を合わせ、見得を切る。
 
そういう時は舞台を見に行ったのでは見落としてしまうか、
遠くてよく見えない顔の大アップになり、
カメラはしたたり落ちる汗と、飛び散るツバキと、血走った眼を捉える。
 
その役者陣の迫力と芸達者ぶりと、
演出のすごさと、舞台の大仕掛けに、
思わず「参りました」と思う。
 
舞台衣装もすごく凝っていて、
色彩が美しいだけじゃなく、手間もお金もかかっているのが見て取れる。
 
こんなに大勢の人がたずさわって、ひとつの舞台を作り上げていけるなんて、
本当に羨ましい仕事だと思うし、
その監督の思いに応えて演じる役者達は凄い。
 
ちょっと合戦シーンばかりだし、
話の内容が分かりにくい部分もあったりで、
途中、眠気に襲われそうになったのは私の不徳の致すところ。
 
それにしても、この作品、
幼少より舞踊や殺陣やセリフ回しの鍛錬を積んできたからこその歌舞伎役者の
底力に「恐れ入りました」のひと言だった。


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