2018年8月6日月曜日

折り紙のような皿

 
 
 
 
 
7月の下旬に釉薬をかけた10点の器が出来上がってきた。
 
四角いお皿のシリーズだ。
 
今年に入って、今までの6年間とは少し趣の異なる作品を手がけている。
 
今までは器として、それだけで作品になるもの。
つまり、形が個性的だったり、
釉薬が2~3種類かけ分けてあって、表情豊かなもの。
 
そういう器こそが、わざわざてびねりで作るに値すると思っていた。
 
しかし、昨年の秋に展示会があって、
そこに2年間の間に作り溜めた茶道に使う器を並べて、思った。
(展示会は2年に1度なので、そこまでの2年分の作品)
 
抹茶茶碗や菓子器、お香を入れる香合などは、
ひとつひとつ『拝見』といって、お茶事の流れの中で、器自体を愛でるものだ。
 
しかし、普段の食事やお茶の時間に使う器は、
それを毎回『拝見』したりはしない。
 
作った料理を盛り、
お菓子を並べたり、お茶を注いだりして使うもので、
器そのものは単に入れ物であって、引き立て役だ。
 
これまでの数年間はどちらかというと、パーティ用の大皿とか、
個展用の大ぶりの湯呑みとか菓子器とか、
1点もので主張の強いものばかりを作ってきた傾向がある。
 
だから、本当にご飯茶碗になんか、全く興味がなかった。
 
工房の先生も仲間達も、私はそういう大仰な器を創る人だと思っている。
 
しかし、ここへ来て、ようやく、
私も普通に何かをのせたり入れたりして、
ちょうどいいという器を創りたいと思い始めた。
 
奇をてらうでもなく、没個性でもなく、
使い勝手が良くて、品のいい器。
 
この四角い皿には、 
魚の切り身やおさしみがのってもいいし、
和菓子やクッキーがのっていてもいい。
 
お箸ともフォークとも調和する。
 
そんな臨機応変に食材を受け止められる器を目指して作った。
 
かといって、ただの白くて丸い皿なら、どこにでも売っている。
 
というわけで、
白い方は荒い麻布で少し表情をつけ、
紺色の方は陶芸用のイボイボ模様がつくこてを利用して、
少し凸凹させてある。
 
いずれも粘土を板状に延ばし、型で抜き、四隅を斜めに切って折り曲げ、
折り紙のように重ねて、組み合わせている。
 
まるで段ボール紙かなにかで作ってあるかのような、
工作っぽい作品だ。
 
まあ、私の夏休みの自由制作ってところか。
 
前回の花瓶と花瓶敷きも、同じく花を入れて初めて良さが引き立つという
白くて暖かなフォルム(にしたつもり)
 
この折り紙のようなお皿達も、
何をのせると一番生き生きするのか。
 
これからゆっくり楽しんで、いろいろ試すつもり。
 
なにしろ毎日、猛暑日だ。
ドサッと買い出しして、おうちで静かに過ごすのが何より何より。
 
中に海苔を巻いた卵焼きなんかもいいかも。
卵の黄色が、紺色の釉薬に映えるに違いない。
 
白い方は紫芋の水饅頭。
半透明のくずが透けて、爽やかな夏のスイーツだ。
 
と、猛暑にも食欲がまったく減退しない夏なのであった。

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