2021年10月7日木曜日

団体展の展示係

 













第88回の日本版画協会
版画展が明日から始まる。

場所は上野の都美術館。

今日はその展示作業に駆り出された。
昨日が作品の場所決めで
今日は名札付け。

壁にかける展示自体の作業は
業者さんが大勢きてやってくれる。

展覧会は個展だろうとグループ展だろうと
団体展だろうとこの手順なのは、みな同じ。

作品を展示スペースに搬入したら、
会期の直前に飾りつけをし、
キャプションと呼ばれる名札を貼る。

団体展の搬入は何日も前に行われ、
私も業者さんにお願いして、
搬入の手続きもやってもらった。

一般とよばれる人たちの
入選と落選を決める係りもいて、
それは会員から選出されて、
3日がかりで決めていく。

会期の直前は展示関係の作業だけで、
こうした作業に駆り出されるのは
会員か準会員の中から選ばれるのだが、
働きバチは準会員が担っている。

一般で入選し、何回か入選の後、
うまくして準会員に推挙されると
その後、何年かはこうした作業員に割り振られ、
そこで上層部の人に顔を売っていくというのが
団体展の仕組みといえよう。

私の場合は大学院の2年目の終わりに
入選3回目にして早くも準会員にしてもらえた。

しかしその後、すぐにダンナが香港に転勤になり、
一緒に赴任したので、顔を売るどころか、
5年後には作家名さえ今の名字に変えたので、
まるで幽霊部員だ。

日本に帰国して数年は
毎年、この時期のお手伝い要員として
働いたが、時すでに遅し。
あまり売名効果はなかったように思う。

なにしろ、そこから会員になるのに
約20年という年月が必要だったのだから…。

名札係は帰国後の数年以来なので、
ずいぶん前の話になるのだが、
今回の展示係の幹部のひとりに
まあまあの知り合いがいたせいで、
直接、電話がかかってきてお手伝いすることになった。

朝9時半、集合。
横浜から上野はちょっと遠いが、
6時半に起床して駆けつけた。

40~50代とおぼしき女性が6~7名、男性2名。
全員、初めてお目にかかる人ばかり。
きっと私だけが一ケタ違いなのだが、
50代にまぎれて作業開始。

陣頭指揮を執る女性だけが知り合いで、
私より少しお姉さんなので安心する。

作業開始早々に
ひとりの女性から声をかけられ
「この間、Facebookでお友達になっていただいたSです。
お料理の写真、すごく楽しみにしています。
お孫さん、可愛いですね~」という。

友達リクエストが来た時、
「聖火子さん」という珍しいお名前で
何と読むのかわからなかったけど、
とにかく同じ団体展にいらっしゃるなと思い、
お友達を承認した。

聴けば、前回のオリンピックの開会式当日に生まれたので、
「聖火子」と名付けられ、
「みほこ」と読むとおしえてくれた。

その「聖火子さん」は今回、
賞候補になり、賞こそとれなかったけど、
会員推挙の栄誉に輝いた。

57歳で会員推挙はさぞや嬉しかろう。
そんな記念の年にご一緒出来、
お祝いの言葉をかけることができよかった。

それにしても、都美術館の1フロアを全部使っての
大きな展示会場には
一体何百枚の作品が並んでいるのか。

そのひとつひとつの名前とタイトルを
間違えないように名札付けするのは、
難しい作業ではないのだが、
案外、気を使う。

そして、歩いて歩いて、歩き回って、
午後4時過ぎの解散時には
万歩計は16000歩をたたき出した。

やっぱりこれは60代に頼む仕事としては
ハードすぎやしないか。

もちろん全くのボランティア。
帰りは最寄り駅についた時点で
「甘いもの~!!」の切なる要求がこみ上げ、
足は京急デパートの4階へ。

9月になんどとなくカウンセリングに利用した
椿屋カフェへと吸い込まれてしまった。

毎回、横目でいつか食べてみたいと思っていた
「マスカットのクリームチーズケーキ」

まるで宝石のようなお姿。
そのお姿を裏切らないチーズケーキのほのかな甘みと
マスカットの薫り高き果肉とのマリアージュ。

疲れた体に
芳醇な香りの珈琲が染みわたる。
カップ&ソーサーは
言わずと知れたロイヤルコペンハーゲン。

ついでにカレーセットも注文し、
貴婦人を気取って、
カレーポットからカレーを注ぎ、
今どき珍しい福神漬けとピクルスを時折かじれば、
中村屋か椿屋カフェかという
クラシックスタイルのカレーの美味しさよ。

帰宅してご飯を作る余力は1mmもないので、
自分だけ、
ここでしばし憩いの時間をすごしてのご帰還だ。

たまにはこれぐらい許されてしかるべき。
「私は飯炊きばばぁじゃないからね」と
独り言ちたのであった。























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