2021年10月16日土曜日

季節限定のケーキ

 









毎日、夏のような暑い日が続いていたが、
ようやく少し落ち着いてきた。

秋と言えば、
「食欲の秋」「読書の秋」「スポーツの秋」など
他の季節ではそうした言い回しはないのに、
なぜか秋だけ、
秋らしいことをしたり、
秋らしい食べ物が食べたくなる。

私はだんぜん秋らしい食べ物が食べたくなる派だ。

ご飯系でいえば、
五目炊き込みご飯や栗ご飯、
きのこを使ったお料理だろうか。
トン汁やけんちん汁もいい。

本当なら、秋の気配と共に
サンマが食べたいところだが、
今年のサンマもやせっぽっちのくせに
1尾298円もするから、
まだ1度しか食していない。
となると、秋サケのお料理か。

とにかく私は、期間限定とか、
季節限定みたいなものには目がなく、
どんなジャンルも遅れてはならじ、
逃してはならじと血が騒ぐ。

先週の木曜日、
9月に数回、カウンセリングで利用する度に
「いつか食べたい」と思っていた
椿屋カフェのマスカットのケーキを
遂にいただいたのであるが、
昨日はマスカットの季節が終わる前にもう一度、
食べておきたいという思いを抑えきれず。
テイクアウトして家でいただくことにした。

カフェの店先に着くと
大きな看板がマスカットのケーキから
渋皮モンブランケーキに変わっており、
「まさか!」と思ったが、
まだ、店内のショーケースには両方とも並んでいた。

ケーキひとつの値段がお高いので、
ダンナには最初から買う気はなく、
ひとりで楽しむために、
マスカットケーキとモンブランをひとつずつ購入した。

帰り道、ひとり顔がにやけてくる。

正式名称は
「シャインマスカットのチーズズコット」と
「渋皮モンブラン」である。

1ポーションが大きいので一度には食べきれないし、
もったいないので、
まずは「シャインマスカットのチーズズコット」を
いただき、
次の日に「渋皮モンブラン」をいただくことにした。

椿屋カフェでは
ロイヤルコペンハーゲンの器で供されるが、
我が家にも負けず劣らずの食器はあるので、
いそいそとカップボードと
カトラリーボックスからそれらを取り出した。

ケーキをのせたお皿は
「ヘレンド」の銘は『インドの花』
紅茶のカップ&ソーサーは
「ロイヤル・クラウン・ダービー」の
銘は『ロイヤル・アントワネット』
銀器は「クリストフル」の銘は『マルリー』

いずれも30年も前、
香港に住んでいた頃揃えた食器だが、
1枚も1本も欠けることなく
8客ずつ揃って、今日に至っている。

因みに現在はいくらするのか調べてみたら、
「クリストフル」の『マルリー』
珈琲スプーン1本11,330円であった。

他は推して知るべし。

当時はもっとずっと安く手に入れている。
こうしてずっと楽しめているのだから、
いい買い物だったといえるだろう。

因みに
紅茶は「マリアージュ・フレイル」の
ダージリン・プリンストン。

いい紅茶を丁寧に煎れて、
お気に入りのカップ&ソーサーに注ぐ。

お皿のグリーンの柄とシンクロする
シャインマスカットの爽やかなグリーン。
モンブランの地味な色との対比も美しい。

いつもなら、
いつもの食器棚から取り出したお皿に載せ、
マグカップに紅茶か珈琲を入れ、
その辺のフォークを使ってしまうだろう。

でも、今日は
お客様用の食器を使用し、
終わったばかりのショパンコンクール3次予選の
反田恭平のピアノと
角野隼斗のピアノを
YouTubuで聴き比べながら、
ゆっくりとケーキを口に運ぶ。

いずれのケーキも断面が美しく
いわゆる「萌え断」である。

どう切り崩したらきれいなままでいるか、
そんなことを考えながら、
遠いポーランドのワルシャワの地で、
命がけで演奏する若者に思いを馳せた。

季節は巡る。
歳月も過ぎていく。
生きている日々で、今日が一番若い。

それは分かっているけど、
何かにはやる気持ちを抑え、
今は
季節のケーキをゆるり味わう秋の午後であった。
















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