浜離宮朝日ホールで行われた
「俺クラ・プレミアム」と題された
コンサートに行ってきた。
何がぼったくりなのかというと
そのコンサートのチケット代が
10,000円だったからだ。
しかも通常2時間か2時間15分ぐらいある演奏時間が
75分(休憩15分含む)とある。
なぜ、そんなに高額なチケットで
しかも異様に演奏時間が短いコンサートに
行ったのかと言えば、
いつもの石田様フリークの友人に誘われるがままに
オーケーをしたからなのだが…。
昨今、コンサートのチケット代は
どんどん高くなっている。
コロナ禍以前は3000~4000円だった。
5000円とか言われるとギョッとしたものだ。
それが最近は6000~8000円くらいになってきて
旅行代なども約2倍に跳ね上がっているが、
それと同じくコンサートチケット代も
2倍くらいになっていると感じている。
それにしても、10,000円とはべらぼうに高い。
何がプレミアムなのかというと
いいお席の人にはポストカード付とある。
普通席の人は8,000円だ。
2,000円分のポストカードとは楽しみなことだ。
私としてはこの夏前の入院手術のことがあり、
コンサートには久しく足を運んでいなかったし、
たまにはいいかと思っての大英断。
せめて「ぼったくり」と言われないよう
目にもの見せてほしいと願っていたのだが…。
内容は
石田泰尚のヴァイオリン
三浦一馬のバンドネオン
ニュウニュウのピアノ
この3人による室内楽アレンジのクラシック。
曲目は
ガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」
バッハの「アヴェ・マリア」
ファリャの「火祭りの踊り」
ウィリアムスの「シンドラーのリストのテーマ」
ドビュッシーの「月の光」
サン・サーンスの「白鳥」など
よく聴き知ったクラシック曲を編曲したもの。
最初にニュウニュウ一人が舞台に現れ、
ソロで「Sunny Day」を弾き始めた。
ニュウニュウは長身の中国籍の若者で
ラメ入りの紺のスーツを着て
イマドキのヘアスタイル、端正な甘い顔立ち。
東方神起の元メンバー、チャンミンに似ている。
ピアノの演奏スタイルは
ビジュアルとシンクロするように甘く、
左手が音と音の合間に必ず宙を舞う。
長い指の白い手がスポットライトを浴びて
宙を舞い、
横顔にかかった髪の毛が揺れる度、
曲調に合わせて目元の表情が変わる。
エンターテイメント性の高いタイプ。
1曲目が甘い曲調だったので、
私の脳裏には、みなとみらいのホテルの最上階で
夜景を見下ろし、カクテルを飲みながら
静かに誰かと話している図が浮かんだ。
その横で
ニュウニュウ君がピアノを弾いてくれたら
きっと素敵だろう。
そんな演奏だった。
ソロの2曲目は、
誰もが知っているクラシックの名曲を
次々10曲ほどもパッチワークのように繋いで
こんなテクニックも持っていますと見せつける
超絶技巧を駆使する曲だった。
3曲目からは三浦一馬君も登場しての
ピアノとバンドネオンのデュオと、
石田様が登場してニュウニュウ君とのデュオ。
あっという間に前半の30分が終わって休憩になり
特に演奏が悪かったわけではないが
「これに私達、もう5,000円払っちゃったのね」
という気がした。
休憩の後の第2部は
石田様と三浦一馬君のデュオから始まり2曲。
ヘンデルの「私を泣かせてください」
ウィリアムスの「シンドラーのリストのテーマ」
この2人は以前から何度も一緒に演奏している。
大抵は三浦一馬君がバンドネオンなので
タンゴつながりで、
ピアソラの曲を演奏することが多い。
三浦一馬君もここのところ腕をあげているので
石田様のヴァイオリンとのセッションは
聴きごたえが増している。
しかし、なにせこのコンサートは
「俺クラ」と銘うたれているとおり
クラシックの曲ばかり。
3曲目以降の3人のトリオ演奏になると
ドビュッシーの「月の光」
サンサーンスの「白鳥」に
バンドネオンは必要ないのではというのが私の意見。
友人はそれもありだと楽しんでいたけど、
私はピアノとヴァイオリンだけで聴きたかった。
最後の1曲は3人で
ブーランクの「城への招待」で
予定のプログラムを終了した。
そして、アンコールにピアソラを2曲。
「アレグロ・タンガービレ」と
「リベル・タンゴ」を演奏したのだが、
こちらは割れんばかりの大喝采。
このコンサート、
夜の部は「俺のピアソラ」と銘うたれた
全曲ピアソラ特集だったので、
10,000円出すなら夜の部を聴くべきだったと
つくづく思った。
個人的には、この10,000円チケットが
ぼったくりなのか、適正価格なのかは
演奏を聴いてから決めようと思っていたのだが、
アンコールのピアソラの出来が良すぎたので
結果、
クラシックの演奏の方は「ぼったくり感」が
否めない。
昨今、夜な夜なコンサートに出かけるのが
かったるくなっているお年頃だが
やはりそのあたり、必要とあらば、
ちゃんと価値を見極め、
身を削ることをいとわない態勢が重要である。
本日の学び。
ちなみに2000円分のポストカードとは
フライヤーと同じ写真をただ葉書にしただけの
お粗末な1枚のみ。
われ、わしに喧嘩売っとんのか!!!
(あら、失礼)