2019年6月2日日曜日

茶懐石の器

 
 
 
 
 
 
 
秋の陶芸工房の作品展のために創った向付と焼き物皿が
焼き上がってきた。
 
個人的には2月3日の自主茶会のために
向付と焼き物皿は必要だったので、
すでに昨年秋ぐらいから、制作には入っていた。
 
しかし、お茶会が終わった頃、
陶芸工房として秋の展覧会の課題は「向付であると発表があり、
「え~、また向付創るのかい?」と驚き、
結局は創る羽目になった。
 
工房のみんなにとっては
「向付って何ですか?」の世界だと思うが、
先生が「この秋の展覧会の課題作品は向付だから」と言われてしまえば、
それを知っていようが知るまいが、知ったこっちゃない。
創るしかないのだ。
 
私としては
昨年、既に創った「笹舟」型の向付に対して、
まず、「あわび」型を1~3月で制作。
4~6月で「梅小鉢」型を制作した。
 
笹船型は織部と黄瀬戸という釉薬をかけ、
あわび型は紺色と白の釉薬のかけ分けにした。
 
それに対して、
梅小鉢型はまず赤土を使用し、
釉薬は乳白という透明感のある白を全体にかけ、
器の上部にだけ不透明な白の釉薬を部分がけしてみた。
 
白い釉薬から下の土の色が少し透けて見えたり、
傾斜の部分の山の峰部分が土の色になるところが、
この器の特徴だ。
 
焼きあがりはほぼほぼイメージ通りに出来たのだが、
なにしろイレギュラーな形を手で成形しているので、
いざ焼き上がってみると、
案外ひとつひとつの歪みが目立つ。
 
それを通常は「味がある」と称するのだが、
私としては、全く同じ形を狙って創ったので、
「歪みは歪みだな」と、少々不満が残る結果となった。
 
一方、白黒をかけ分けた焼き物皿は
1箇所継ぎ目の圧着が完璧とは言えず残念だったが、
全体としてはイメージ通りの焼きあがりで、
満足度は梅小鉢型向付よりは高い。
 
これで、秋の陶芸展の課題制作はすべて終わったので、
後は自分のテーブルをどんなテーマで揃えるかを考え、
不足している器を残りの数ヶ月で創るという段取りだ。
 
後、展覧会まで数ヶ月といっても、
釉薬をかけていいのは2ヶ月に1度なので、
考えたら7月と9月の2回しかない。
 
これは結構タイトなスケジュール。
 
他に肝心の木版画のグループ展と団体展も控えているし、
来年4月の個展のラインナップも考えて、
必要な版画作品も産み出さなければならない。
 
はたと産みの苦しみが襲ってくるような息苦しさを感じながら、
まあ、お相撲さんがよく言うように
「一日一番、一番一番、全力で取るしかありません」という心境だ。
 
まずは出来たての梅小鉢に
空豆でも茹でて入れてみよう。
 
焼き物皿には買ってきた刺身が似合いそうだ。
そして、もう一品、ゴーヤチャンプルでも作ろう。
 
今夜の献立が決まったところで、
キッチンに立つことにしよう。
日曜日は手抜き料理だ。
 
本当は茶懐石の器だけど、
懐石料理なんていつもの生活には登場しないから、
普段使い、普段使い~。
 
使ってこその器なのだと自分に言い聞かせる私だった。

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