2019年6月23日日曜日

麗しのクリムト展

 
 
 
 
 
 
私は絵描きの中でも、クリムトとエゴン・シーレが大好きなので、
過去日本最大級と呼び声高い「クリムト展」に、
どのタイミングでいくか考えていた。
 
場所は上野の東京都美術館。
ちと遠い。
かつての自分の学舎があった場所だし、
6年間もつろついていたのだけれど、
もはや当時の面影も失われ、
人の多さに度肝を抜かれることも多い。
 
しかも、クリムトといえば、
その官能性と装飾性など、
日本の浮世絵からの影響も色濃いクリムト作品には、
日本人のファンは多いので、
混雑するのは日を見るよりも明らかだ。
 
しかし、今回の展示には
そうした日本文化の影響を明らかに受けたとみられる作品も来日してるし、
何と言っても
ベートーベンの第九を作品化した分離派協会の壁画として描かれた
34メートルもある原寸大の模写が来ていることが、
魅力的だ。
 
他には、カタログの表紙にもなっている「ユディトⅠ」
代表作「女の三世代」と「ヌーダ・ヴェリタス」など、
やっぱりこの目で観なければと思う作品が何点もある。
 
13~14年前に友人とオーストリアに旅行に行ったとき、
自由時間に出掛けた「ヴェルベデーレ宮の美術館」で観たものも、
何点か来ており、
懐かしの再会を果たさねばならない。
 
案の定、土曜日の昼前に到着した時は、20分待ちの看板の下に
大勢の人が並んでいたが、
それは想定内、
むしろ「20分でいいの?」という感じだった。
 
ウィークデイはじじばばでごった返しているだろうし、
土日はお勤めの人でごった返していると覚悟はしていたが、
じじばばの空気の読めないもたつき具合を考えると、
もう少し若い人の方が鑑賞のマナーがいいのではと感じるので、
本日、小雨降る日曜日に決行と相成った。
 
それは当たりで、
会場はそれこそ6~7歳の子ども連れから、30代~60代と
幅広い年齢層が訪れており、
案外、韓国語で絵について語り合う光景もあちこちで見られた。
 
思いの外、若い男性も多く、
そこは予想をくつがえされた感じ。
 
クリムトといえば、男女の性愛を描写したものも多いし、
官能的で装飾的というのが特徴だから、
女性ばかりかと思ったらそうでもないことが分かった。
 
クリムト自身は生涯結婚せず、55年の生涯だったが、
モデルや弟の奥さんなど、関係を結んだ女性は数知れず、
子どもの数も14人もいるとか。
 
そう聞くと、 
クリムトは見た目の木訥な感じと、やってることのギャップが凄いが、
自分がモデルになって、あんな官能的なに作品仕上げられたら、
画家であるクリムトを男として、誰でも女性は好きになってしまうに違いない。
 
私としては
自分がモデルになることはないわけだが、
クリムト作品の何にそんなに惹きつけられるのだろうと、
改めて会場で眺めてみた。
 
それはやはり日本の浮世絵を初めとする日本絵画からの影響が
色濃く表れている文様や金箔使い、絵画の構図などに
自分の中に流れているDNAと共通する部分があるから、
そう、強く感じられた。
 
昨年あたりから自分の作品にも採り入れ、
大いに意識している日本の美。
市松模様、帯締め、木目、紙風船など。
 
日本的な解釈やアプローチが、目下の自分の制作と通じるところがあって、
共鳴しているのだと思う。
 
前から、クリムトは好きだったけど、
やっぱり、好き。
そう確信したのは、
クリムト作品に自分と同じ要素を感じ取ったからに他ならない。
  

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