2020年4月29日水曜日

見えない脅威と見える驚異









ゴールデンウィークに入っても、どこにも出かけられず、
家にいる中でどう幸せを感じるか、
人類は試されている。

ウィルスは目には見えない。
それなのに、毎日毎日、感染者数が発表され、
時には有名人の罹患や死が報じられることで、
人々をその脅威にさらしている。

一方、我が家の小さな庭には
今を盛りと数種類の花が咲き誇り、
その生命力たるや驚異的でさえある。

好んで植えた花々だが、
なぜか香りの強い花が多くなってしまった。

見た目は大ぶりの花ではないのに、
その香しいというか濃厚というか
強めに香りが、花を咲かせると一気に解き放たれ、
ゴールデンウィークに投入したことを知らせている。

まず、ジャスミン。
花自体は小さな白い花なのに、
群生し次々開花し、華やいだ香りが家の周辺を包み込む。

植えた場所から触手を伸ばし、
蔦の中、エニシダの向こう、紫陽花の上と、
ところかまわず繁茂している。

少し手折って家に持ち込むと、
その香りはますます香しく、
リビングといわず、キッチンと言わず、
自己主張してくる。

ジャスミンからやや遅れて咲きだした
濃い黄色のエニシダは今、まさに満開。
和名を金雀枝というぐらいだから、黄金色に輝き、
マメ科なので、蝶にもかわいらしい形の花が鈴なりに咲いて、
クジャクの羽根のような形だ。

アプローチに突き出た何本かを手折って、
トイレに飾ってみたが、
その華やかなこと、
「雪ん子ファミリー」という自作の陶人形たちと、
花瓶が白いので、とても素敵な空間になった。
(上に少し見えているのは自作のステンドグラスの鏡)

トイレに入るとこのコーナーがまずパッと目に入るので、
心が浮き立つ。

裏庭ではニオイバンマツリが紫色の花をつけだしている。
この花は最初は濃い紫色の花なのに、
日を追うごとに色が薄まり、
最後は白っぽくなる不思議な花だ。

名前の通り、香りも強く、
ジャスミンにも負けない香しさで、
我が家の二大臭い花!?だ。

秋になると金木犀が香りだすのだが、
その香りの甘さに比べ、
ジャスミンとニオイバンマツリの香りは
どちらかというとつけすぎの香水のようで、
家族の評判はあまりよろしくない。

そして、今まさにつぼみを膨らませ、
「次は私よ」とばかりに咲く時期を狙っているのが、
フェンスに巻き付かせた白薔薇だ。

こちらも香り高く、高貴な雰囲気で、
我が家を代表する花だ。

もちろんとげが鋭いので、
世話をするにも手ごわい相手だが、
それだけに薔薇の咲くこの時期が待ち遠しい。

最近は忙しさにかまけて、
自分で苗を買ってきて植え替えする類の花を育てていない。

だから今ある花は10~20年前から植わっているものばかり。

最初はヒョロヒョロの苗や小枝を植えたものが、
何度剪定しても庭を埋め尽くすほどに繁茂する
そんな強い花だけが残った。

その生命力の強さは、
今、ウィルスにやられっぱなしの人間の心を揺さぶり、
「しっかりしろ!」と鼓舞している。

目に鮮やかな白、黄色、紫の花弁と、つややかな緑の葉、
鼻孔にぐいぐい迫る濃厚な香りで、
「ウィルスに負けるな!」と励ましてくれている。

人は目に見えない脅威に対して不安を抱くが、
目に見える驚異に対して、
感動し豊かな心を育むことができる。

今日は、庭の花が、初夏の日差しを浴びて、
そんなことを教えてくれた。


0 件のコメント:

コメントを投稿