2020年6月14日日曜日

梅仕事 事始め







「梅仕事」
何ともゆかしい日本の言葉。

日々を丁寧に生きているお母さんが、
毎年、この時期におこなう仕事というイメージ。

「梅仕事」とは、
梅を収穫して、
天候を見ながら干したり、漬け込むなどの作業を施し、
「梅干」や「梅酒」をつくることを指す。

いかにも毎年恒例の仕事として、
ほおっかむりをしたお母さんが背中を丸めて、
こつこつと作業し、
家族が1年間、その梅干や梅酒を楽しめるという
日本古来の習慣というか、行事というか…。

ある種、憧れにも似た気持ちは抱いていたが、
なにせ、家に梅の木があるわけでもなし、
田舎から梅の実が届くわけでもない。

一番の問題は、
漬けてすぐ食べられないという点が、
私を「梅仕事」に駆り出す勇気をそいでいた。

しかし、数日前、
1年に数回、
柑橘類を送ってきてくれている松山のミカン農家のおじさんから、
「玉ねぎと梅」と書かれた箱が届いた。

あのおじちゃんは「玉ねぎと梅」も栽培しているのかと驚きながら、
箱をあけると、
ブリブリ大玉の新玉ねぎ12個と1,5キロの青梅が入っていた。

「弓削瓢柑」が5キロ来た時も、
「やれやれ、今年もまた、これでマーマレードと
ショコラオランジェを作らねば」とため息が出るが、
「玉ねぎと梅」を見た時も同じため息が出た。

どちらもすぐさま噛り付くというわけにはいかないからだ。

というわけで、
いかし方なく私は「梅仕事」に手を染めることになった。

とりあえず、到着したその日の夕飯には
大玉の玉ねぎの芯をくりぬき、
丸ごとの玉ねぎを40~50分コンソメで煮て、
「丸ごと玉ねぎのトロトロスープ」を作った。

最後に粉チーズをかけ、あらびきコショウで味を調え、
大変、美味であった。

ただし、まだ10個の大玉が冷蔵庫にいる。

梅も冷蔵庫の野菜庫には入らないので、
スーパーの袋に入れ、普通の段に入れておいたのだが、
冷蔵庫のドアを開ける度に
梅の甘いいい香りがする。

梅の実とはこんなにいい香りのするものだったか。
一挙に愛しさがあふれ、
「梅仕事」への意欲が湧く。

とはいえ、梅雨入りしたばかりなので、
梅を干すタイミングは当分来ない。
第一、すぐどんなものができたか食することができないのは
性格的に待ちきれない。

そこで、「梅仕事 事始め」として、
今回は「梅シロップ」を作ることにした。

これなら、10日間ぐらいでできるし、
作業に難しいところもなさそうだ。

ネットでいくつか作り方を検索し、
ついにあの「果実酒ビン」と書かれた大きなビンを調達。
送られてきた梅にもう1キロ梅を買い足し、
2,5キロの梅で梅シロップを作ることにした。

同量の砂糖か氷砂糖がいるとあり、
またしてもマーマレードの時と同じく、
驚くほどの大量の砂糖にのけぞりながらも、
それでも既製品のこうしたものよりずっと控えめな甘みに
なることに、2度驚くことになるだろう。

今日は梅のヘタをひとつずつ竹ぐしでせせり、
子供の耳かきみたいにはじき出した。

きれいに洗い、分量を量り、
ジップロップに平らに敷き詰め、冷凍庫へ。

冷凍することで繊維を壊し、
砂糖が染みこみ易くなり、
梅の果汁が出易くなるらしい。

まずは冷凍庫に1~2日は最低でも寝かせるということで、
今日の作業はここまで。

大雨の中、買いにいった「果実酒」のビンは
記念撮影をするにとどまった。

さあ、これで首尾よく梅シロップができたら、
グラスに少し注ぎ、炭酸で割って、飲もう!

シュワシュワ~!!という刺激が喉に広がる感覚が
夏の到来を感じさせてくれるだろう。

想像しただけで、テンションが上がる。
「今年はこの梅シロップで夏を乗り切るぞ~!」
と、果てしなく妄想しながら、
とりあえず、「梅仕事 1日目」に作業は終わった。

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