2020年11月2日月曜日

着物のコーディネイト

 






弁柄色の帯揚げと柿色の帯締め

抹茶色の帯揚げと渋い柿色の帯締め

淡い柿色の帯揚げと渋い柿色の帯締め

蘇芳色の帯揚げと濃い臙脂色の帯締め


お茶の世界では、11月は炉開きをして、
いよいよ冬の到来である。

お茶のお稽古にも、
当然、季節や行事を意識した装いが求められ、
そんなにフォーマルにする必要はないのだが、
秋の深まりを感じる着物でいこうかなと思っている。

私が着物のコーディネイトを考える時は、
まず、11月であることとお天気、
気温も重要な要素なので、
天気予報のチェックから始まる。

水曜日のお稽古は
なぜか100%に近い確率で晴れる。

明後日の水曜日も晴れて、気温が急に下がるとか。

となると、木々の紅葉の色づきも進むと思うので、
「錦秋」とか「錦繍」などという言葉をイメージして、
コーディネイトできたらと考えた。

最初に選ぶのはやはり着物だ。

箪笥の引き出しを開け、
40代初めぐらいにあつらえた黒っぽい大島紬に、
全体にもみじが刺繍してある1枚を選んだ。

帯はその時、一緒に求めた織の帯で、
明るいグレーに濃いグレーの抽象柄。
筆でシュッと描いたような線の先に、
渋い赤や緑の水玉が飛んでいる。

着物と帯だけでいうと
モノトーンに多少、色が入っているということになる。

着物は小物の選び方で、印象が全く違ってくる。
だから、帯揚げと帯締めはなるべくたくさん持っていて、
年齢や、その日の気分、T・P・Oに合わせ、
組み合わせを変えて楽しんでいる。

今回の着物と帯に対して、
40~50代は
柿色の帯揚げに柿色が入っている帯締めをしていた。
柿色といっても、正確には弁柄色なので、
かなりヴィヴィッドな濃い朱赤だから、
効かせ色として強く主張する組み合わせだ。

しかし、徐々に弁柄色では、自己主張が過ぎるかなという
年齢になってきたので、
次に渋いグリーンの入っている帯締めを選んでみた。

この帯締めはまだ一度も使っていない
かなり渋いグリーンにレンガ色の入った帯締めだ。

帯にも同じような渋いグリーンは入っているので、
同じ系統になるようお抹茶色の帯揚げを組ませてみた。
グッと地味になるが、落ち着いた感じだ。

ちょっと落ち着きすぎなので、
もうワンパターン、
帯揚げを柿色を少しくすませたようなオレンジ色にしてみた。
今度は落ち着いているというより、
おとなしすぎてあまり自分らしくない。

ふと50枚ほどある帯揚げの束の中に、
今まで全く出番のなかった
ニュアンスのある赤い帯揚げを見つけた。

意外や帯に使われている赤い水玉の色とも近い赤だ。
和名では「蘇芳色(すおういろ)」ともいうべき、
少し紫を帯びた色で、
「色の歳時記」によれば、古来より高貴な色とある。

黒い着物と合わせると
ちょっとエキセントリックな印象かもしれないが、
お天気がよければ、こんな攻めた色合わせも面白い。

攻めた組み合わせは、
きりっとした空気感が必要だと考えている。
でないと、色っぽくなりすぎるから。

帯締めの束をごそごそ探すと
やはり1~2度しか使ったことのない
濃い臙脂の帯揚げが見つかった。
蘇芳色をグッと濃くした感じで、
色の諧調は整った。

小物は気が付いた時に小まめに買い揃えてきたので、
バラバラに買っていることが多く、
ピッタリ同じ色というわけではない。

だから、同じ色調の濃淡だった時や、
着物や帯に使われている色と同系色だった時は
「してやったり」という気分になる。

そこが微妙にズレているとかは
版画家魂が許さない時があり、自分でも自分が厄介だ。

でも、この着物と帯と小物のコーディネイトこそが、
着物好きの醍醐味なので、
一番ウキウキする時間なことは間違いない。

さあ、水曜日、
4パターンの内のどのコーディネイトにするか、
お天気とその日の気分で決めようと思う。

お稽古では、
茶杓のご銘は自分で考えてつけることになっているのだが、
いずれの組み合わせを選んでも、
銘は「錦繍」
これで決まりの秋のご銘だ。


















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