2022年7月15日金曜日

雨降りに雨を彫る

 














今日は1日中、雨降りだった。
朝、起きた時から雨が降っていて、
昼前ぐらいに少し小やみになって、
また午後から激しく降るという予報だった。

そんな悪天候の中、本日の私のミッションは
家で版画の彫りを進めることと、
車を出して大買い出しをするという2点。

ただ単に彫りを進めるということに関しては
ちょうど「雨」のパートを彫る段取りだったので、
静かにひたすら彫り進めるのに
雨は気分的にも好都合だった。

しかし、大買い出しの方は
月に5日間だけしかない
ヨークマートのシニア10%offの日だったので、
雨が降っても槍が降っても
行かなければと考えていた。

主婦にとって、普段の食材などが
おしなべて10%offになるというのは
とても魅力的で、
家計にとっても相当助かるサービスなので、
見逃すわけにはいかない。

このサービスの時は少し先を見越して
オリーブオイルだの、餅だの、
アンチョビ、オートミールといった
比較的高額で日持ちするものも買いたいし、
冷凍の効く肉類やチーズ類なども外せない。

他にもペットボトルの大小、何本かと、
アイスクリーム、強炭酸水にビールなど、
車でないと運べないものもある。

そんなことを考えたら、
雨の中、建物のルーフか中庭にしか
駐車場のないスーパーに行くのに、
どしゃ降りは勘弁してほしい。
(2階の駐車スペースはほんの少し)

まずは彫りをしなければと
朝8時半には彫り台の前に座り、
雨のパートの長い長い線を彫り始めたが、
雨はいっこうに止む気配がない。

とはいえ、今日、買い出しを見送ったら、
今月の10%offを見逃すことになる。

『お前は晴れ女じゃなかったのか』
『水曜日のお茶の日だけしか
晴れ女の神通力は効かないのか』
そう、心の中でぼやきながら、
彫りが一区切りついたあたりで
仕方なく重い腰を上げた。

車を出して、スーパーにつくと
案の定、数少ない2階の屋根付きの
駐車スペースは「満」車のマーク。
しかたなく、その上の建物のルーフの
駐車スペースに止めることにした。

いったんはスーパーの向かいの魚屋さんに
向かったのだが、
その時はまだ雨は小雨ながら降っていた。

珍しくクジラ肉が手に入ったので、
今晩はクジラの竜田揚げにしようと
魚屋さんの外に出ると、
あら不思議、
雨はどうやら止み加減。

イエーイ!!
心の中で小さく叫び、小躍りしながら
スーパーに入り、
予定通りの大量買い。
スーパー大袋にして7袋にもなってしまった。
(ちゃんと自分のエコバッグも3つ持参)

まるでふんどしかと思うような長いレシートは
10%offなのに17,000円近くをたたき出し、
これが二人暮らしの買い物か
よく考えなさいと
何とかプランナーさんに怒られそう。

まあ、でも、このために車を出して
来たんだからと
ひとりウキウキしながらカートを押し
スーパーのルーフに上がる頃には、
見事に雨は止んで、
雲間に青空さえのぞいている。

こうして無事に大買い出しを済ませ、
昼ご飯を済ませ、
再び、彫り台の前に座った。

3時過ぎ、
ふと気づくと、外はいつのまにかどしゃ降りに。
雨音をバシャバシャたてて
激しい雨が降っている。

「奥様、これでよろしかったでしょうか」
そう天の女神さまが言ったとか
言わなかったとか。

窓を開けて雨を写真に収めようとしたら、
しきりに降っている雨自体は
カメラに収めることができなかった。

道の水たまりの水の輪や
物干し竿からしたたる雫は捉えられても
降ってくる雨は
よく観ないと目にすら見えないのだ。

この1年、雨のシリーズと称して、
雨をデザインして何点も作品を創っているが、
それは心象風景なのであって、
決して目に見えるものではないことに
今、気が付いた。

人は目に見えない何かを具象化し、
そこに思いを込めたり、
忌み嫌ったりする。

雨は自然現象なんだから、
上空の大気の状態によってたまたま水の形状で
地に降り注いだだけのこと。

人の都合で
降ってくれだの止んでくれだの
勝手な言い分だと承知の上でいうと、
「よくぞ、買い物の時だけあがってくれて
ありがとう!
さすが、晴れ女きみの!」




























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