2023年4月14日金曜日

3回転目の本摺り

 


















いよいよこのポストの作品も3巡目。
今回はこのポストが今も現役だということを
テーマにしてみた。

タイトルは「鎌倉のポスト」

前回と何が違うかというと
前回は「あじさい便り」というタイトルで
紫陽花の花に目がいくように作った。

しかし、今回は紫陽花の色彩は
控えめにし、
背景に溶け込ませてみた。

これまでも男の子が学校帰りに
水溜まりで遊んでいる構図の時は
水遊びにフォーカスしたり、
学校帰りであることにフォーカスしたり、
同じ構図でも
着眼点を変えて作ってきた。

今回は男の子のものとおぼしき
青い傘が共通のモチーフで描かれて、
1作目と2作目が連作であることを
示している。

そして、ポストの立てかけられた
傘の忘れ物にフォーカスしたり、
紫陽花の時期に届く手紙に
思いを馳せたりした。

最後はポストそのものがメインモチーフで
鎌倉市ではこのオールドスタイルの
ポストが町中にあって
現役のポストとして活躍中だということを
テーマにしている。

版は写真にあるように
両面彫りで版木1枚だけ。
版数はいろいろ取りまわしているので、
15~16版はあると思うが、
版木としては1枚だけで
6通りの作品を摺ったことになる。

(版はカギ見当とひきつけ見当の1組で
1版、2版と数える)

今までだったら、2点の作品、
しかも雨部分なども共通で彫ることはないので、
2点分だとしてももっと版木を必要としていた。

今回の試みで
いろいろ思うところがあったし、
とても勉強になった。

物価高で和紙も絵具も版木も
全てのものが高騰している今、
版数を落とし、
和紙の白の美しさを利用し
もっと賢く作品作りをすることを考えねば。

3巡目のこの作品は摺る枚数さえセーブし、
5枚しか和紙を準備しなかった。
途中で、
試し摺りとは違う色を何か所か使ったため、
結局、1枚は途中でボツにしたので
4枚だけしか仕上がらなかった。

まあ、タンスの肥やしをそんなにたくさん
作っても仕方ないので、
このぐらいの枚数がほどがいいのかもしれない。

自分の体力に見合った枚数だけ摺って、
無茶を信条とするのはもう辞めよう。

これが2日前に誕生日を迎えて
またひとつ歳をとり、
実感したことである。

腹八分目
何ごともほどほどに。
細く長く続けるコツは
こういうことかなと学んだところである。
(遅!)


































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