2026年10月2日金曜日

画廊にちょい寄り

 








東劇でシネマ歌舞伎を観た後
先日、個展を終えたばかりの
養清堂画廊に立ち寄ってみた。

前日に画廊からはカタログが届いていたので
ちょっとご挨拶がてらに
今週いっぱいまでやっている『柳澤紀子展』を
観たかったからだ。

銀座は久しぶりの晴天で
空が高く澄み切ったブルーだったせいもあり
行き交う人々の表情も晴れやかだった。

個展の時は1週間に2泊3日ずつ
計4泊6日
東銀座にホテルをとって泊りがけだったので
この東銀座から銀座への道は
何度も往復した。

9月初めは、毎日、曇天か小雨だったので
スーツケースをガラガラ引っ張りながら
傘を差して移動した日もあった。

こうして同じ道に陽が差して
歌舞伎座が輝いているのを見ると
個展はつい先日のことなのに
なんだかずいぶん前の出来事のように感じた。

映画を観終えて2時半ごろ
銀座5丁目の画廊に着いて
まず7階の企画展示のギャラリーに上がった。

柳澤紀子さんは藝大の大先輩だけど
面識はほとんどない。
ただ勝手に好きな作家さんなので
展覧会の時は観に行くようにしている。

さすがに80代半ばは過ぎていると思うので、
作品の大きさは小ぶりになっているけど
その洒脱でセンスのいい画面は健在だった。

作品は銅版の黒い線と色面の組み合わせで
人物や動物が描かれている。
絵肌から反戦や現代社会の闇に対する抗議など
重たいテーマが垣間見える。

それも垣間見えるのであって
あからさまな表現でないところがいい。

誰も鑑賞者がいないギャラリーで
ひとり作品を観ていると
6階から階段を上がってきて
画廊オーナーのAさんが顔をのぞかせた。

私も7階を見終えたら
6階にいくつもりだったけど、
監視カメラに映った私を見て
上がってきてくれたようだ。

お互いに個展の時のお礼をし、
自然に個展の時のお客様の反応や
作家たちの感想などの話になった。

私は40数年前から養清堂で個展をしているが
こんな風にオーナーさんと気軽に
後日談を話したことがなかった。

今まで私の作品は
養清堂の取り扱い作家の中では
半ば、忘れられた存在だったので、
展覧会の開催中はともかく
ふだんからふらりと立ち寄るような
関係性を築けていなかったからだ。

しかし、今回の個展は養清堂画廊の
”こけら落とし”であり、
その前段のプレオープンの企画展にも
参加させてもらったお陰で
だいぶその距離が縮まった気がしている。

そこでAさんから嬉しい報告があった。
個展終了時には
画廊買い取り作品が4点あったのだが
そのうちの2点が早くも売れたという。

「希望」と「ひなたぼっこ」の2点だ。
サイズは中ぐらい。

6階の売り場のケースに入れてから
まだ2週間しか経っていないのに、
とても早い動きがあって
画廊側も驚いたらしい。

また、インスタにアップした
カタログに載せてもらった作品
『花開く朝』の視聴が2万件を超えたとも。

その場でスマホを開いて
そのページを見せてくれた。

この作品を2万人の人が観たと思うと
ほんとに凄いことだなと思う。

こうした話をいろいろ伺うと、
何だか自分の作品が
銀座に残って活動を開始したような気分だった。

オーナーは、そのほとんどが外国の人だという
画廊のお客様の動向や、
趣味嗜好に関する話もしてくれたので
とても参考になった。

作家は受注生産をしているわけではないけど
やはり売り物である以上
買い手の思いや考えを汲む必要は感じている。

蓮のモチーフが
「日本にしかないものを海外の方は求めている」
という思いと計らずも合致し、
自分が考えている「日本人としての誇り」
みたいなものとシンクロした。

私の「雨のシリーズ」が
コロナ禍の心の雨に端を発して
ここまできたけど、
新たなシリーズの何かきっかけになるといいな、
そんな風に思えた。

絵描きとしては何もしていないような時でも
常に何かにアンテナを張り、
次を見据えて模索しているのが作家だ。

「画廊にちょい寄り」みたいなところから
何かが見つかることもある。
今後は何もなくても
銀ブラしてみようかなと思った。

















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