2019年10月18日金曜日

同じ悩み

 
 
 
 
 
 
知人の長谷川桑知子さんの個展に行って来た。
場所は横浜・元町から坂を上った上にある
岩崎ミュージアム。
 
以前、グループ展で随分お世話になった展覧会場だが、
グループ展が別の会場に移ってから、
久しく行っていないと思いながら、
丘の上に通じているエレベーターに乗った。
 
長谷川桑知子さんは、
たぶんほぼ同年代、
京都市出身で京都市立芸術大学を卒業している。
 
作品は写真の通り。
動物や子どもが出てくる不思議で幻想的、
ちょっと不気味な作風のテンペラ技法による作品だ。
 
色が彼女独特の世界をもっていて、
グリーンや青い色調に赤が差し挟まって、
微妙に不穏な雰囲気を醸し出している。
 
現実にあるようなないような、
擬人化されているけど、
まったくのファンタジーではない。
 
1980年に京都のギャラリーで初めての個展をし、
団体展に出品している時期もあるが、
今はそれは辞めて、
発表は主に個展という形のようだ。
 
私とは鎌倉のスージ・アンティック&ギャラリーという画廊で
個展をしたことのある作家同士ということで、
そのギャラリーのクロージング・パーティで
お目にかかったのが最初だ。
 
以来、数回、お互いの個展に足を運んで
作品を拝見するという仲で、
個人的なつきあいはないのだが、
私は彼女の作品の世界観がとても好きで、
案内状をいただいたときには観に行くようにしている。
 
今回伺った時は広い会場にポツンとひとりいらして、
だいぶ久しぶりだったにも関わらず、
すぐに顔を認知して、笑顔を見せてくれた。
 
お住まいは厚木市なので、
横浜の元町に毎日のように通うのはとても大変だと思うが、
穏やかな笑みを浮かべて、
以前と雰囲気は全く変わらない。
 
ひととおり作品を見せてもらってから、
初めて個人的ないろいろなことを話した。
 
団体展に出品するメリット・デメリット、
グループ展に出品して感じること、
作品作り以外にしている仕事など、
同年代の絵描きとしてどんなことを感じたり、
経験したりしているか話すと、
驚くほど共通項が多かった。
 
そして、その話のとどのつまりは、
この大量の作品は、自分が死んだらどうなってしまうのか、
そんな話に帰結した。
 
彼女も売れ残った作品(創った作品のほとんど)を
保管するために倉庫を借りている。
私も木版の版木を保管するために倉庫を借りている。
 
倉庫代を毎月支払うこともそうだが、
もし、自分達が死んでしまったら、
家族にとっては作品はゴミでしかない。
 
残されても困るだけのものが
大量に倉庫に眠っているのだ。
 
今はまだ制作意欲が残っていて、
毎年、数点ずつ新しいものを生み出しているが、
一体どうしたものか。
 
いつまで創るつもり?
家にある作品どうするつもり?
倉庫、借りてるけど、ただじゃないしね。
 
同じ悩みでため息が出る。
 
自分でいうのも何だが、
私の作品はまだ普通のおうちの壁にかかっていてもおかしくない。
しかし、彼女の作品は
普通のおうちの壁にかけるには
ちょっとシュールだ。
 
そこが彼女の作品のいいところだが、
観るのと家にかけるのでは違う。
 
だからといって「パン絵」を描くのだけは嫌だ。
パン絵とは食べるために自分の描きたいものではなくても
売れ筋を狙って描くような絵のことをいう。
 
急に寒くなったので、
衣類の衣替えをしながら、
今回は思い切った断捨離を断行して、
45リットルのゴミ袋パンパンに捨てる衣類を出した。
 
靴もスーパーの袋2枚分、
12~13足は廃棄処分することにした。
 
さて、
次は作品か?
 
これから来年の個展に向け、
まだ新作を創らねばと思っている最中に
こんな悩みはちょっと辛い。
 
創ったのに結局、作品も版木もゴミにしかならないなんて、
そんな運命はとても受け入れられない。
そこに費やした時間と労力は何だったのか。
 
「何のために作品を創るのか」
 
私と長谷川桑知子さんは、
共に根源的な問題にぶち当たった
悩める同世代の元・乙女達なのであった。
 

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