2021年7月20日火曜日

猛暑の過ごし方 第2弾

 













7月20日火曜日、真夏の晴れ
横浜の気温33度

正に夏休みという感じのギンギンの晴れである。

こんな日に熱中症を恐れもせず、
ダンナが昨日からゴルフに出かけてくれたので、
こちらは家に引きこもって、
「トレぺ転写」という作業を決行。

トレぺ転写とは
木版画の原画を、まず作成し、
それをトレッシングぺーパーに写し、
トレぺ原画を作成する。
(ここまでを日曜日に行った)

そのトレぺ原画を新しい版木に転写したものを
「版」と呼んでいるのだが、
色数の多い多版多色摺りの私の作品は
版の数も当然、多くなる。

しかし、
30色使うから30版いるというわけではない。
それでも今回も12版、必要だった。

ただし、版木は2枚だけで、
両面彫りなので、
何とかこの2枚、つまり、4面使用して、
12版の版をとることが出来た。

版は「カギ見当」と「ひきつけ見当」という
紙の余白の端と版をカットし、
必ず、まずそこに合わせることで、
ズレを防ぐマークの1組をさして、1版と勘定する。

版木の1面には
1版しかない時もあるが、
あちこちずらして転写して
1面なのに4版あるなんていうこともある。

4版はいると、もはやパズルだが、
とにかく2枚しか板は使わないと決めたら、
その中でうまく収まるように転写することが
重要だ。

後の版の管理という点からも、
素材を大切に使うという点からも、
版画家として、これを自分に課している。

今回の雨のシリーズは幅4mmほどの雨の線が
画面の大部分に大量に走っている。

雨の部分は4mmの幅を彫り残さなければならないし、
雨のかかる背景や他のモチーフは
4mmの雨の部分を彫り抜かなければならない。

1枚だけ絵に描くのと違い、
版画の場合、この4mmがずれるリスクは
大きな画面になればなるほど大きくなるので、
トレぺ転写の精度と
摺りの技術が問われることになる。

まずは定規とペンの角度の均一さ、
そのラインに対してどこに定規を置くのか、
ペン先の太さとの兼ね合いが大事なので、
1本のラインを引くごとに
1mmに満たない
コンマ何mmの世界の緊張感が延々と続く。

カウンセリングの仕事は昨日の午後に
1本入っていただけなので、
集中力と持続力のもち加減を考慮し、
昨日の午前中と今日の午前中に作業を分けて行った。

そんな時に、
ダンナが泊りがけでいないなんて
これ以上ハッピーなことはないので、
当然、夕べは帰りに寿司折とぬか漬けを買い求め、
一切、火の前には触れず、ずぼら夕食を決め込んだ。

外は炎天下、
家にはひとり、
蝉の声だけがジージーとやかましいが、
夏休みの絵日記の宿題を思い出しながら、
ひたすらトレぺの画面を凝視し、
ミスのないようペンを走らせた。

これで、ただのシナベニヤの板が、
新作の版木になったので、
あとは夏中かかって、
チコチコと彫り進めるだけである。

言ってみれば、
これが私の夏休みの宿題だ。

4mmのラインだらけの難易度の高い彫りは
夏バテしている場合でもなければ、
ボケてる場合でもない。

ご褒美のビールに枝豆を思い描いて、
精進しようと思っている。























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