「大井川鐡道あぷとラインの旅」だった。
以前から山々に囲まれた大きな川にかかる橋を
赤い電車が走っていき、
途中、まるで中空に浮かぶような駅に停車するという
写真を何度か見る度に
いつか行ってみたいと思っていた。
それはドローンによる写真なので
本当に電車に乗っている人には
自分が中空にいるところは見えないのだが、
大自然の真ん中にいるという気分は味わえるに
違いない。
大井川鐡道井川線は奥大井に位置して
千頭駅と接岨峡温泉という駅を繋いでいる。
本来、途中の「長島ダム」の建設時に
資材を運んだり、建設関係者を運ぶために
作られた、いわばトロッコ列車だ。
ダムの建設が終わってからは
主に観光目的になっているが、
途中の急坂で「あぷと式」という
連結車両に連結したりはずしたりの作業が
この大井線に乗る醍醐味になっている。
バスは上流の接岨峡温泉駅まで
私たちを乗せていき、
私たちは電車で下り、バスは山道を下って
下流の千頭の駅で合流するという段取りだ。
電車は冷暖房もなく、ほこりにまみれ
昔の作業列車のまま、
動き出す時には「ゴゴンッ」と大きな音を立てる。
無人の駅に途中停車しては
「ゴゴンッ」となり、
発車する時も「ゴゴンッ」となる。
私たちはその度に大きく揺れ
「ワォ」と思わず叫ぶ。
1000分の90というのがその急勾配を示している
らしいが、1000m進む間に90mの高さまで登ると
いう意味だそうな。
その最も急な坂道だけは
あぷと式という連結車を電車の進行方向に連結して
登る時には引っ張る役目を果たし、
降りる時には電車が落ちてこないように制御する。
その作業がある時は電車に乗っている私達も
ホームに降りて先頭車両のところで
連結の作業を見学することが出来る。
そんないかにもローカルな作業と
周囲の美しい山並みと
静かな水面に逆さに映る山並み。
開け放たれた車窓を渡る清々しい風。
きっともう半月もすれば、
山々は赤や黄色に色づくだろう。
私たちが見た奥大井の山々は深い緑色だったけど
十分美しかったし、空気が何より澄んでいた。
千頭の駅には
お役目を終えた「機関車トーマス号」が何台かいた。
きっと夏休みの間中、
この山々に子ども達の歓声が響いていたのだろう。
今はダム建設のための貨物列車の役目を終えた
かもしれないが、
新たな役目を担って
奥大井の山懐を駆け抜けている。
旅の最後に目に鮮やかな緑と
美味しい空気を胸いっぱいに吸いこんで
帰りは静岡駅から
新幹線の鈍行列車「こだま」に乗って
帰路についた。
「こだま」の脇を猛スピードで
「ひかり」と「のぞみ」が何本も駆け抜けていく。
最近は「こだま」に乗る機会はなかってけど、
大井川鐡道のガタゴト列車の後だったせいか、
「そんなに急いでいかなくてもいいかも」
そんな気分で
最後の夕食に静岡の「鯛めし弁当」を頬張った。
命の洗濯
これにて完了!!
















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