2025年10月8日水曜日

秋の旅1 鵜飼と美濃薬膳料理

 























10月5日から7日まで、2泊3日で
滋賀県・岐阜県・静岡県にまたがる旅行に行ってきた。

旅行のコース名は
「チャンピオン近江牛フルコースを食す
ぎふ長良川鵜飼鑑賞と大井川鐡道
南アルプスあぷとラインを愉しむ3日間」

旅のお供は最近このブログに最多出場のAさん。

タイトルには近江牛のフルコースとあるので
そこをメインに申し込んだ方も多いようだけど、
私たちの旅の目的は
何といっても今回は「鵜飼」である。

私としては半世紀ほど前に見たという記憶はあるが
あまりに昔のことでおぼろげな印象しかない。

しかし、年齢を重ねるごとに
旅に求めるものは日本の伝統文化や伝統工芸などに
移ってきていることを実感している。

旅行社から毎月届く冊子を見ていても
蟹やまぐろや牛肉など
美味しいものを食べに行くツアーは数々あるけれど、
それはそれでいいとして
何かもっと日本人としての誇りが感じられるとか
郷愁をそそられるといったコースに惹かれる。

旅行初日、新横浜からこだまに乗って
岐阜羽島駅で下車。
そこからは赤いきれいな岐阜バスに乗って
まずは『国宝・彦根城』へ。

雨が降ると「鵜飼」が決行されないのではと
数日前から、「長良川天気」とスマホで検索したけど
当日は晴れ女ふたりが束になっているのに
あいにくの雨。

しかし、
友人Aさんはコロナの時に彦根城に来ていて
天守の中には入れなかったというが、
ひこにゃんこそ雨に濡れないところにいたけど、
天守の内部に、今回は入場できた。

驚くほど急な階段を手すりにしがみつきながら
天守閣まで登り、
眼下に見渡す彦根の城下町は霧にけぶっていた。
昔の武将たちはここから甲冑を身に着け
戦に出ていったのかと思うと、
何だか身震いがする。

外は午後になると雨も降ったりやんだりになり、
心配していた『鵜飼』は決行されるという
お知らせが添乗員さんから入ってきた。
バスのご一行32名から拍手が起きた。

やはりこのツアーの目的に『鵜飼』をすえた方も
多かったということか、
何だか食べ放題ツアーのお客さんとは
ちょっと違う面々のような気がしてくる。

長良川の鵜飼いは5月11日から10月15日まで。
中秋の満月の日は月の光が明るすぎるので
お休みになるというほど夜のしじまに
篝火を焚いて行われる幻想的な行事である。

今年は10月6日が中秋の満月なので
私たちはその前日に「鵜飼」を申し込んだ。

長良の鵜匠さんはたったの6名。
「宮内庁式部職鵜匠」に任命された人だけである。

1300年以上前から行われている日本の伝統行事を
時代を越えて守り続けて今日に至っているそうな。

4発の花火を合図に川向うで篝火が焚かれ
お客さんを載せズラリと並んだ舟の前に
6艘の鵜飼舟が立ち現れる。
かなりのスピードでスマホのカメラ機能では
上手く捉えきれないが、
それはまるで絵巻物のような図で
装束を着た鵜匠があやつる綱の先で
鵜が水の中にもぐって鮎を捉えている。

水と鵜と鵜匠と篝火
船べりをトントン叩く音

まるでタイムスリップしたかのように
目の前に繰り広げられる光景は悠久の世界だった。

鵜飼観覧は夜7時から2時間ほどかかるので、
実は夕方5時から
宿泊先の岐阜グランドホテルで
夕食が用意されていた。

大体、夜、何か観に行く前の食事と言えば
簡便なものになりがちだが、
この日の「美濃薬膳」は今までの旅行の中で
三本指に入る美味しさだった。

Aさんはなんと3回目の「美濃薬膳」だったのを
私は旅行に行くまで知らなかったが
彼女はこのコースにこれが入っていることが
鵜飼関連のコースの中でこれに決めたというほど
このホテルの薬膳料理が気に入っているという。

料理長がマイクを手に
ひとつひとつのお料理にどんな食材が使われているか
地産地消の考え方であることはもちろん、
その薬効や効用を考え、
季節ごとに少しずつ変えて、
彩りよく丁寧に作られた料理の数々。

もちろん、岐阜野菜と桂皮白和え、
長良川の鮎の塩焼き、
奥飛騨の寒干し大根と炊いた豚肉柔らか煮
飛騨牛のしゃぶしゃぶなど
その土地の名前が並んでいるのだが、
なんといっても滋味深く美味しかったのは
「名物美濃薬膳飛騨牛のスープ」

このスープだけは季節を問わず出てくるようで
朝鮮人参と牛肉から摂るお出汁が素晴らしい。

Aさんもこのスープがまたいただけて嬉しいというし
私も香港時代に何度かいただいた
薬膳スープを思い出し、懐かしかった。

とても「鵜飼」の前にチャチャッといただくような
ものではなく
かなりの時間をかけていただいたのだが
大満足だった。

最後の水物の中のひとつ
無花果羅漢果漬けは今まで食べた無花果の中で
間違いなく金メダルだと思う。

こんな風に雨模様に気を揉む1日だったけど、
「鵜飼」も決行されたし
思いがけない「薬膳料理」もいただけて、
日本の伝統と歴史、
日本の秋の始まりを満喫した。

「あ~、日本人でよかった~」
そんな旅行初日だった。



































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